現在フェラーリ、ランボルギーニ、レクサスなどの高級スポーツカーを同時に5台所有し、車系YouTuberとして約30万の登録者数を誇るあま猫さん。難関として知られる「公認会計士資格」の保有者であり、現在は会社経営者でもあります。
天が二物も三物も与えたように思えるあま猫さんですが、実家は決して裕福ではなく、短大卒業後に入社したIT企業ではハラスメントに悩んでいたそう。なぜ1台数千万円の高級車を何台も所有するようになったのか。謎多き車系YouTuberの実態に迫ります。
フェラーリで颯爽と現れた美女。愛車のお値段は?
──本日乗ってきていただいた車、フェラーリですよね。だいたいおいくらぐらいするのでしょうか。
フェラーリの「812スーパーファスト」というFR(フロントエンジン・後輪駆動)のスポーツカーです。V型12気筒エンジンを積んでいて、フェラーリでも12チリンドリを除くと今後はもう生産されないかもしれない貴重な車ですね。先週納車されたばかりのホヤホヤです。購入金額は5,000万円くらいでした。
──5,000万円ですか……、こすったりできないですね。あま猫さんが現在所有している車の台数とラインナップを教えてください。
これまでは所有するのは4台で、新しい車を購入する際は買い替えをしていたのですが、今日乗ってきた「フェラーリ 812スーパーファスト」は買い替えではなくて増車でしちゃった、みたいな(笑)。なので、現在は5台所有しています。
ほかにはまず「スバル WRX STI タイプS」。この子は私が最初に購入したスポーツカーで買い替えずにずっといるんです。あと「ランボルギーニ ウラカン EVO スパイダー」「NISSAN GT-R プレミアムエディション Tスペック」「レクサス IS500 ファーストエディション」(2024年9月9日時点)。
──これまで総額でいくらくらい車に使ったのでしょうか?
いや、ちょっと考えたくないくらいですね(笑)。でも基本は買い替えをしているので、すべての車両の購入金額がそのまま負担になっているわけではありません。公認会計士試験合格後は監査法人にて勤務していたので、一般的な大企業に勤めるサラリーマンよりも自動車ローンの与信に強かったんですよね。監査法人だと新人でもフェラーリの与信が通るくらいで。YouTubeをはじめてからはそこからの収入もあり、監査法人の給与も安くないので、頭金を払うための現金もある程度ありました。
──「現金」と「信用」の組み合わせが、高級車を購入するのに適していたのですね。あま猫さんが最初に購入した車はなんですか?
18歳か19歳のころに購入した軽自動車ですね。私は岐阜県出身なのですが、栄養士の勉強をするために短大に通っている頃でした。まだ車にそこまで興味があったわけではなくて、田舎だと車がないと生活できなかったので。
──栄養士?最初から公認会計士を目指していたわけではなかったのですか?
そうです。高校生の頃はパティシエになりたくて、本当は専門学校に行きたかったんです。でも、実は実家があまり裕福ではなくて専門学校の学費は出せないから、学費が安くて食品に関連するところを探して、公立の短大に進学したんです。ただそこで栄養士の勉強をしてみたけれど結局自分のやりたいことではなくて、卒業後は名古屋で就職してOLになりました。
IT系の企業だったのですが、昭和気質な会社でセクハラやパワハラがひどくて……。それでこのまま会社にいたくないと、公認会計士の試験を受けることに決めたんです。特に会計士にこだわりがあったわけではないのですが、簿記は少し勉強したことがあって2級を持っていたので、案外いけるんじゃないかというノリで(笑)。
約3年かけて合格したのですが、平日は仕事が終わってから終電の時間まで、休日はほぼ缶詰になって勉強するという生活を続けました。
──車に興味を持ち始めたのはいつ頃なのですか?
IT企業ではたらいていた頃ですね。『頭文字D』『ワイルド・スピード』などのアニメや映画を観て影響されました。公認会計士試験の1次試験と言われる短答式試験に合格したときに、自分へのご褒美として、今も所有しているスバルのWRXを購入したんです。公認会計士試験の勉強をしているときは「合格したら乗りたい車に乗るんだ」ということがモチベーションになっていました。
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監査法人とYouTube、迫られた二者択一
──公認会計士試験に合格後、監査法人に入社。同時にスポーツカーライフがはじまったということですよね。YouTubeの配信をはじめたのはどういうきっかけだったのでしょうか?
私が監査法人に入社したのがコロナ禍の時期で、新入社員歓迎会も開催できなければ研修もリモートで、人とのつながりがなかったんです。それで寂しくて、車好きの人たちとつながることができればと考えたのがきっかけでした。
一人で車を運転するのも楽しいですけれど、車好きの人たちが大黒パーキングに集まっていたりするじゃないですか。そういうのも羨ましかったので。
──そこから一気にYouTuberとしてブレイクしたわけですね。
いや、最初はジワジワという感じでしたかね。当時はWRXしか所有していなかったので、WRXに関する情報を発信したり、ディーラーの試乗車の紹介企画をしたり。何かの投稿で爆発的に伸びたというよりは、徐々に伸びていきました。収益化を達成してからは監査法人にも副業として申請して、そうしているうちにYouTubeの配信からもある程度の収入を得られるようになっていきました。
そこで、「いっちょ、フェラーリを買ってみようか」と、ポルトフィーノというフェラーリの中でもエントリーモデルに近い、乗りやすい車を購入したんです。そこの反響は大きくて一気に再生回数も伸びていきました。ただ良い反応もあれば悪い反応もあって、「若いのにこんな車変えるはずない」「どうせパパ活だろ」なんて言われもしました。でも、それがきっかけでいろいろな人に観てもらえるようにはなったと思いますね。
──YouTuberとして地道な積み上げがあったのですね。約1年前に、YouTubeで監査法人を退職する旨を投稿してらっしゃいました。なぜ退職してしまったのでしょうか。
YouTubeのチャンネル登録者数が数千人、数万人規模のときは問題なかったのですが、チャンネルが成長していったことで、監査法人から「監査人の独立性の観点からリスクがある」と判断されてしまったのです。
というのは、監査法人のクライアントに某自動車会社があって、私がもしそのクライアントの自動車をレビューしてしまったら、監査法人の独立性が担保できない可能性があると。これは全てのクライアント・自動車メーカーに適用されるものではなく日本国内の証券市場に上場している他メーカーであれば問題ないのですが、今回のような米国証券市場に上場しているクライアントの場合はSEC(米国証券取引委員会)の基準を用いた日本より厳しいルールが適用されるため、監査法人としても保守的な対応をせざるを得なかったということですね。実際、私はそのクライアントの車も所有していますし、車系YouTuberとして活動する以上、某自動車会社を話題として触れないことはできません。
監査法人側も私を辞めさせたいという意図があったわけではなく、上司や監査法人の代表とも何度も面談をして落としどころを見つけようとしたのですが、結果的にYouTuberを辞めるか、監査法人を辞めるかの二者択一で、YouTuberを選んだという形です。
──YouTuberとして収入があると言っても、監査法人の安定も手放すのは惜しいように感じるのですが……。
そもそも監査法人自体はほかにもたくさんありますし、監査法人を退職することで公認会計士の資格が取り消されることもありません。一度キャリアを中断しても、また監査法人ではたらあこうと思えばいつでも再就職できるので、迷いはなかったです。そこはやっぱり資格を持っていることの強みだと思いますね。