2016年から2021年まで「ヤングアニマル」誌にて連載され、2017年に日本漫画家協会賞優優秀賞を受賞した、武田一義による漫画「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」(現在「ペリリュー外伝」を不定期連載中)が、終戦80年を迎える2025年に、超大作アニメーション映画として12月5日(金)に公開されることが決定した。

【写真を見る】原作は、2017年に日本漫画家協会賞優優秀賞を受賞した、武田一義による同名漫画 / [c]武田一義/白泉社
送り込まれた1万人の日本兵のうち、生き残ったのはわずか34人といわれる太平洋戦争の激戦の地、ペリリュー島を舞台に、若者たちがなにを想い生きたかを、親しみやすい三頭身のキャラクターでありながら、激しい戦闘や凄惨な場面を描き話題となった本作。昭和19年の夏、太平洋戦争末期のペリリュー島に漫画家志望の兵士、田丸はいた。そこはサンゴ礁の海に囲まれ、美しい森に覆われた楽園であり、日米合わせて5万人の兵士が殺し合う狂気の戦場でもあった。当時、東洋一と謳われた飛行場奪取を目的に米軍の精鋭4万が襲い掛かる。それを「徹底持久」を命じられた1万人の日本軍守備隊が迎え撃つ…。かわいらしいキャラクターで凄惨な戦場を描いた異色の原作コミックへは、ちばてつや、重松清など作家やクリエイターから絶賛のコメントが寄せられた。

監督を務めるのは、テレビアニメ「妖怪ウォッチ」などの演出や「魔都精兵のスレイブ」の監督を手掛け、アニメーション映画の監督は本作が初となる久慈悟郎。制作は「ドラえもん」、「クレヨンしんちゃん」のシンエイ動画と、テレビアニメ「ドッグシグナル」など話題作に携わる新規気鋭の制作会社、冨岳がタッグを組み、凄惨な戦場を一日でも長く生き延びようと藻掻くキャラクターたちを描きだす。

映画化に向けて原作者であり共同脚本を手掛けた武田は、「脚本は原作ファンの皆様にも自信をもってお届けできるものになりました。いまはスクリーンいっぱいに生き生きと動く田丸や吉敷ら、愛すべき登場人物たちに早く会いたい気持ちでいっぱいです」と、映像化への期待を寄せている。また、ペリリュー島のジャングルを描いたイメージカットと、音にだけによる超特映像も公開された。徐々に響き渡る銃声から、漫画で描かれたキャラクターたちが、この楽園のような地獄の島をどのように生き抜いていくのか、想像が掻き立てられる。

激戦の地を生き延びようと奮闘する田丸ら若者たちの姿を描く本作。続報に期待したい。

■＜コメント＞

●武田一義(原作)

「映画の制作には、私自身も監修とベテランアニメーション演出家の西村ジュンジ氏との共同脚本という形で関わらせて頂いています。脚本の完成までに、本当に長い長い時間をかけました。『ペリリュー』原作漫画は外伝を除く本編だけでも11巻、これをどのように映画に落とし込むか。原作のすべてを入れようとして味気ないダイジェストのようになってしまうのは、原作者としても望まないことです。原作の前半だけを丁寧に作りあげる案もありましたが、やはり物語的に少し物足りない。そしてなにより原作だけでなく、この作品にはベースとなる史実――80年前の戦争があります。そこで生きた人々がいます。様々なことに思いを巡らせた映画版『ペリリュー』の脚本は、原作ファンの皆様にも自信を持ってお届けできるものになりました。いまはスクリーンいっぱいに生き生きと動く田丸や吉敷ら、愛すべき登場人物たちに早く会いたい気持ちでいっぱいです。今年の年末12月5日公開のアニメ映画『ペリリュー-楽園のゲルニカ-』皆様、更なる続報をご期待下さい」

文/サンクレイオ翼