サッカーの世界では、試合中の判定をビデオで確認するVARが既に当たり前となっている。しかし、サッカーを進化させる技術はそれだけではない。プレーの質を高め、観戦体験を一変させる革新的な技術が次々と登場している。今回は、サッカーの未来を切り開く最新テクノロジーを紹介しよう。
選手のパフォーマンス向上を支援する最新サッカーデバイス
(画像はイメージ)
●左右の足の詳細なプレイデータが収集可能に!?
選手のパフォーマンス向上を支援する、新たな技術として注目を集めているのが足首装着型デバイス「Playermaker」。従来のGPSトラッカーは、上半身に装着して走行距離などを計測するのが一般的だった。
これに対し、「Playermaker」は足首に装着することでこれまでにない詳細なデータ収集を実現。左右の足の使用バランスはもちろん、ボールタッチの回数や保持時間まで、選手個人のプレースタイルを可視化できるのだ。
収集したデータは、選手の指導やプレーの改善に活用される。選手それぞれの特徴や課題がデータとして明確になることで、より効果的な指導やトレーニングが可能に。まさに、科学的根拠に基づいた効率的な練習を実現する革新的なツールと言えるだろう。
観戦体験においても驚くべき進化が起きている。2024年に銀座で開催された「GINZA STADIUM TOUR 2030」では、“未来のサッカー観戦”を先行体験できるイベントが話題を呼んだ。この先行体験ではXR技術を駆使した壁3面と床1面を映像に囲まれた空間で、まるで選手と同じフィールドに立っているような没入感覚を味わえる。
さらに注目を集めているのが、ARグラスを活用した新たな観戦スタイルだ。観戦者がARグラスを装着して試合映像を見ると、選手のポジションや身長などの情報、ドリブル成功率といった試合データをリアルタイムで表示。戦術の組み立てや選手の動きまで、より深く理解しながら観戦を楽しむことができる。
選手のパフォーマンス向上から今までにない観戦体験の実現まで、テクノロジーの力で新たなステージへと向かっているサッカー。近い将来にこれらの技術が当たり前となり、サッカーはさらに魅力的なスポーツへと進化していくに違いない。(フリーライター・佐々木剛)
■Profile
佐々木剛
大手メーカーに勤務後、一念発起してウェブメディア業界に転職。その後フリーライターとして独立し、現在に至る。メーカー時代の経験を活かし、テクノロジー、機械、技術系中心に執筆。