冬の移籍市場は、シーズン後半戦に向けての軌道修正の機会でもある。その意味で、現在ラ・リーガの首位争いを繰り広げる3強の中で、最もその必要性に迫られているのがレアル・マドリーだ。現地時間1月12日に行なわれたスーペルクラシコ・デ・エスパーニャの決勝でバルセロナに2-5の完敗を喫し、今シーズンが開幕してから何度目かの補強待望論が湧き上がっていることからもそれは明らかだろう。
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注目は、マドリー寄りのスポーツ紙『AS』が1月15日に「右SBの補強を巡り、内部で論争」と銘打った記事を配信しているように、強化を優先すべきポジションがCBから右SBへと移っている点だ。CBはラウール・アセンシオの台頭に加え、1年以上、試合から遠ざかっているダビド・アラバが全体練習に復帰している一方で、右SBは今シーズン、幾度となく守備の穴になっているルーカス・バスケスを起用せざるを得ない状況が続いている。
同紙によると、マドリーの狙いは、今年6月にリバプールとの契約が満了するタイミングでの加入で大筋合意に達しているトレント・アレクサンダー=アーノルドの加入を半年前倒しすることだという。しかし依然として契約延長を諦めていないリバプールの激しい抵抗に遭っており、そんな中、冬に補強はしないという近年の方針を例外的に覆すことを検討し始め、その間、レンタルでプレーできる選手を物色しているという。候補には、アレックス・ヒメネス(ミラン)、リース・ジェームズ(チェルシー)、フアンル(セビージャ)、バンジャマン・パヴァール(インテル)、セルジュ・オーリエ(無所属)らの名前が挙がっている。
一方でバルサは、大物の獲得が取り沙汰されている。マンチェスター・ユナイテッドで構想外状態のマーカス・ラッシュフォードだ。バルサ寄りのスポーツ紙『スポルト』によると、半年間のレンタルでの獲得を目指し、ラッシュフォードもバルサでのプレーを熱望と相思相愛の関係だという。
ただカンプ・ノウのVIP席の売却成立により、1対1ルール(選手の売却や給与削減で得た資金を、補強費に全額投入できる状態)での選手獲得が可能になったとはいえ、それも現有戦力の売却か給与の削減で資金を得ることが前提だ。『スポルト』紙は、ユベントスへの移籍の噂があったロナルド・アラウホの残留が確定したことに伴い、厳しい立ち位置で後半戦を迎えるエリク・ガルシアかアンドレス・クリステンセンのいずれかを放出することで650万ユーロを捻出し、なおかつラッシュフォードが減俸に応じることが加入の条件と報じている。
そのバルサの前線のポジション争いから、完全に弾き出される格好になっているのがアンス・ファティだ。バルサのご意見番のカルレス・レシャック氏をはじめレンタル移籍を勧める声が日増しに高まっており、『スポルト』紙によると、ジローナ、ベティス、セビージャ、バレンシアとその動向を注視しているクラブは事欠かない。ファティは昨シーズン、ブライトンへのレンタル移籍が失敗に終わった。その苦い経験に基づいて再度のレンタル移籍に反発していると伝えられているが、外堀は確実に埋められつつある。
3強の最後の一角となるアトレティコは、『AS』紙の番記者セルヒオ・ピコス氏によると、首脳陣は中盤MFの獲得を希望しているが、昨夏に大型補強を敢行したため資金的に余裕がなく、存在が希薄になっているトマ・ルマールの売却、あるいはサプライズの移籍がない限り、今冬は動かないという。むしろ活発に動きそうなのが、セビージャの2チームだ。
セビージャがすでにサイド攻撃を活性化するためにルベン・バルガスを獲得し、ベティスは正GKのルイ・シウバと若手のホープ、アサネ・ディアをそれぞれスポルティングとコモに売却し、資金を調達。ともに前線の強化が今後の最優先事項となる。地元一般紙『ディアリオ・デ・セビージャ』によると、セビージャはジュニーニョ(アゼルバイジャンのカラバフ所属)にターゲットを一本化して交渉を行なっていたが、フラメンゴの横やりが入って破談となり、軌道修正を余儀なくされているようだ。
文●下村正幸
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