連載が続く間に絵柄が変わったマンガは、序盤に描かれたキャラを見返すと、作者の成長や時代の変化も感じられて楽しいものです。今回は、そんな絵柄の変化などで、特にビジュアルが安定しなかったキャラを紹介します。
愚地克巳が表紙の『グラップラー刃牙完全版』第13巻(秋田書店)
【画像】え…っ? 一瞬「太った」かと こちらが『グラップラー刃牙』以降の愚地克巳です
さすがに髪型が変わりすぎじゃない?
連載中に作者の絵柄の変化などの影響で、何度もビジュアルが更新されたキャラは、その変化を振り返って楽しめます。今回は、そんな絵柄の変化などでビジュアルが安定せず、それも込みで愛されているキャラを振り返ります。
愚地克巳『刃牙』シリーズ
1991年から連載している格闘マンガ『刃牙』シリーズ(著:板垣恵介)は、その長い連載の間に絵柄が何度も変化しており、主人公の「範馬刃牙」や作中最強キャラである「範馬勇次郎」などの主要キャラも、容姿が変わってきました。そんな同シリーズのキャラのなかでも、空手の天才「愚地克巳」は特に見た目の変化が激しいといわれています。
第1部『グラップラー刃牙』から継続的に登場している克巳は、初登場時は七三分けのオールバックでした。しかし、第2部『バキ』ではセンター分けのオールバックに変わり、その後も無精ひげを生やしたり、火傷を負って丸坊主になるなど、巻き込まれる事件によっても容姿が変化しています。第3部以降も、ツーブロック風になったり角刈り風になったりと変化しており、顔の描き方の変化と合わせてビジュアルが安定しませんでした。
TikTokなどでその変貌の推移をいじられることもある克巳は現在、第4部『刃牙道』で死亡した盟友「烈海王」の右腕を移植され、髪型以上に特徴的な個性を手に入れており、その活躍が期待されています。
ベルダンディー『ああっ女神さまっ』
『サクラ大戦』や『テイルズ』シリーズなど、ゲームのキャラクターデザインでも知られる藤島康介先生は、時代に合わせて絵柄を変えてきた漫画家です。そして、1988年から2014年まで連載していたマンガ『ああっ女神さまっ』は、先生の絵柄の変化に合わせて、キャラの容姿が大きく変化した作品でした。
特に単行本の表紙を飾ることが多かったヒロインの女神「ベルダンディー」は、そのビジュアルが何度も変わっているのがよくわかります。とくに「目」の描き方が大きく変化しているため、ここに注目すると時代の変化を強く感じられるのではないでしょうか。
ただ、ビジュアルはかなり変わっていますが、どの時代においてもしっかりかわいいのも注目のポイントです。ベルダンディーだけではなく、主人公の「森里螢一」を始め、ウルドやスクルドなどの他キャラの容姿も変わっているので、比べてみても面白いかもしれません。
音無響子『めぞん一刻』
高橋留美子先生のヒット作のなかでも、1980年代に連載されていた『めぞん一刻』は、やや大人向けの作品として人気を博しました。そして、同作のヒロインである「音無響子」は、初登場時とそれ以降で大きくビジュアルが変化したキャラとしても知られています。
音無響子は若くして夫を亡くした未亡人という設定で、初登場時は化粧が濃く、色っぽい大人の女性として描写されていました。そのため、『らんま1/2』など少年誌掲載作品を先に知った方は、初期の響子を見ると少し面食らうかもしれません。
そんな響子は、初登場以降は徐々に絵柄が柔らかくなり、親しみやすい顔立ちへと変化していきました。そして、中盤以降は大人っぽさを残しながらも、少年誌の雰囲気に近くなっています。初登場時と最終巻の彼女を見比べると、その変化に驚く方も多いかと思います。