
現地時間2月2日に行なわれたバレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガの2024-25シーズン後半第7節。男子日本代表の石川祐希が所属する首位シル スーザ ヴィム・ペルージャはホームで、11位ジョイエッラプリズマ・ターラントをセットカウント3-0(25-13、25-16、25-22)で下して、リーグ戦2試合ぶりに勝利を取り戻した。
【動画】両チーム最多の14得点をマーク! 石川祐希が躍動したターラント戦
ペルージャは、アウトサイドヒッター(OH)ウクライナ代表オレフ・プロトニツキが負傷で終盤に離脱した2節前のトレンティーノ戦で今季初黒星を喫して以降、チーム内に故障者が続出するという不安を抱え、チヴィタノーヴァにも敗れてコッパイタリアを準決勝敗退で終えるなど停滞。直近のCEVチャンピオンズリーグ(CL)4回戦のグループステージ最終戦は、チームをけん引していた石川が脚の違和感で一時コートを降りると勝利目前で失速し、公式戦直近の5戦で4敗目を喫した。
プレーオフ開幕まで残すところ約1カ月。なんとしても勝利を手にして復活の狼煙をあげたい一戦を、司令塔のイタリア代表シモーネ・ジャンネッリ、ミドルブロッカー(MB)の同胞ロベルト・ルッソとアルゼンチン代表アグスティン・ロセル、オポジット(OP)ワシム・ベンタラ、リベロの元イタリア代表マッシモ・コラチ、OH石川とポーランド代表カミル・セメニウクに託した。
この日のペルージャは、バリエーションを加えたサーブが随所で違いを生み、守備ではブロックリバウンドから展開したラリーで速さが際立つ攻撃を仕掛けてブレークを量産。第1,第2セットともに中盤から相手を引き離して連取した。第3セット、「ユウキ!ユウキ!」の大合唱に包まれて開始と同時にサービスラインに立った石川がいきなりエース。その後、ベンタラに被ブロックが続くなどして3点のビハインドを負うが、中盤に石川が流れを変える。まずは、ジャンネッリがサーブで相手守備を崩したところでレフトからの同点弾。サーブでブレークを引き寄せた後、終盤の入りにノールックに続きブロックに吸い込ませたレフト攻撃2打、ライトからもブロックアウトを奪う。圧巻のパフォーマンスで一気にリードを4点へ広げた石川をベンチに下げ、右大腿二頭筋の損傷で3週間にわたり離脱していたプロトニツキを投入。待ちに待った主軸の実戦復帰に沸き起こった本拠地の歓声を味方につけたペルージャが、リーグ戦2試合ぶりに白星を取り返した。
プロトニツキ不在で連戦フル稼働のOH2枚が気概を見せた試合だった。セメニウクは、2セット目の2連続を含むエース5本やレセプション(A+Bパス)54%で勝点3の奪取に貢献。石川は、多彩な活躍で両チーム最多の14得点(アタック12、エース1、ブロック1)をマークし、エラーと被ブロックを「0」に抑えたアタックは決定率80%を記録した。さらに、イタリアリーグ出場281試合目のこの日は、通算(レギュラーシーズン+プレーオフ+コッパイタリア)3000得点を樹立。記念すべき一打は、サポーターたちの大声援に応えて叩き込んだ通算237本目のエースだった。
試合を終えたばかりの石川は、「負けが続いていたので…3-0で勝てて良かった」と安堵の表情を浮かべた。4日前のCL戦後に、チームが取り組んでいると明かしていた“速いボールでの攻撃展開”。その成果がより顕著に感じられ、「気持ちよくアタックを打てているように見えた」と伝えると、こう返した。
「そうですね、早いトスは、僕は好きなので。チームがそういう方針にしてくれたのは、僕にとってはありがたいです。(だからこそ)決定率はやっぱり落とさないようにしたいです。Aパス、Bパスからのスパイクに関しては問題ないと思うので、今日は決めましたけど、前の試合とかはシャットされたりミスが多かったハイボールの処理だけは、しっかり対応したい。その辺は改善していけたらと思います」
一方、本人も言及してきたレセプションの向上は急務。
「僕たちの(アンジェロ・ロレンツェッティ)監督はレセプションに対して厳しい。それでも、コラチ選手やセメニウク選手はあまり言われないので、やっぱりプレッシャーというか、僕自身そういうものは感じながらやっています。でも、その中でパフォーマンスを発揮しないといけないので、いい練習になるというか成長できる要素だと思っています」
数日前、「今、ユウキに何を求めるか?」と同監督に尋ねた際、「レセプション!」と一択回答。それを伝えると、うなずいた石川は間髪を入れずに心情を述べた。
「それ以外は多分いいと思うので、まあそこだけは僕も一番大事にしてるというか、そこがしっかりと返せるようになれば、またチームの立ち位置も変わってくると思っています。プロトニツキ選手とセメニウク選手はレセプションがいいので、やっぱり彼ら以上の数字、彼らに近い数字に持っていけるようにしたいです」
対戦相手の素晴らしい戦いぶりの前に黒星を並べたペルージャ。1月中旬に始まり3週ほど続いた不遇は、複数選手のコンディション不良が重なったことも影響した。とりわけ、無敵を誇った大きな要因のひとつであるOH3枚戦略は、その一角を欠いて封じるしかなかった。セメニウクとOH2人で連戦をこなしてきた期間についてはこう振り返った。
「代わりがいないっていうのは、まあひとつ大変…というか、今までは僕が途中から出て流れを変えるとかできたのが、流れがなかなか変えられなかったので。プロトニツキ選手が復帰できたことで、悪くなったときでも流れを変えられる要素がひとつでもあるっていうのは、チームとして大きなプラスだと思います」
試合数の少ない2月に調整を重ねてチームが万全の状態で迎えたいのは、リーグ連覇を狙うプレーオフ。直近で不調のあった脚のコンディションを確認すると、石川は「問題ありません」と力強く答えた。
レギュラーシーズンは残り4試合。首位を守るペルージャは次戦の後半8節(日本時間2月10日午前0時開始予定)で、9位ユアサバッテリー・グロッタッツォリーナとのアウェー戦に臨む。
取材・文●佳子S.バディアーリ
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