
『THE NEW BEGINNING in OSAKA』エディオンアリーナ大阪(2025年2月11日)
棚橋弘至ファイナルロード〜縁 ○棚橋弘至vs真壁刀義×
棚橋が「ファイナルロード〜縁(えにし)」の初戦でデビュー戦の相手・真壁に勝利。バックステージで真壁から激励を受けると、涙ながらに全身全霊の引退ロードを見据えた。
2026年の1月4日に引退を控える棚橋は、これまで「棚橋弘至ファイナルロード〜継(つなぐ)」としてヤングライオンと対戦してきたが、今大会からはこれまで縁の深い選手と戦う「棚橋弘至ファイナルロード〜縁(えにし)」も始動。1999年10月10日、後楽園ホール大会で行われたデビュー戦の相手であり、IWGPヘビー級王座を懸けて対戦するなど数々の激闘を繰り広げてきた真壁との一騎打ちに臨んだ。
棚橋コールの中、ロックアップで組み合うとアームホイップで投げた棚橋は原点回帰するように腕の取り合いなど基本技による先手争いを繰り広げる。胸板へのチョップ合戦で火花を散らすと、真壁が場外でのラリアットで先制打を放った。
ここから真壁ペース。スリーパーで執ように絞め上げて消耗させ、手招きに呼応した棚橋がエルボー合戦に持ち込んでも押し返す。負けじと棚橋はフライングフォーアームで反撃。ジャンピングエルボードロップ、サマーソルトドロップを連続投下し、スリングブレイドを狙って突っ込んだが、真壁はパワースラムで迎え撃った。
再び劣勢となった棚橋は串刺しラリアット、コーナーでのパンチ連打、ノーザンライトスープレックスと真壁得意の流れに持ち込まれてしまう。真壁は若手時代の得意技ジャーマンスープレックスホールドで追い討ち。ラリアットも叩き込み、キングコングニードロップを繰り出した。
これは棚橋が回避して自爆させる。再びエルボー合戦で打開を図り、エルボースマッシュ、太陽ブローをお見舞い。ケサ斬りチョップで応戦する真壁がラリアットで突っ込んでも、棚橋は相打ちに持ち込み、スリングブレイドをさく裂。ハイフライフローが自爆に終わっても、ラリアットをかいくぐっての回転足折り固めで丸め込んで3カウントを奪った。
試合後、棚橋は真壁と握手を交わし、深々と一礼。抱擁を交わした。
「25年経っても、お互いこうしてシングルマッチできる関係っていうのは、ほんとにすごい奇跡だなと思う」と試合を振り返った棚橋は、「自分が引退を考えてしまったからこそ、今、自分よりキャリアを長くやっている選手の、ほんとにその気持ちの強さ、コンディション、全部の面で、尊敬の念が今、あふれてます」と真壁にリスペクトを示した。
その真壁がコメントスペースに現れて、「これで終わりじゃねえだろ、バカ野郎。まだ何試合も残ってんだ」と激励。その言葉を聞いた棚橋は、「素敵じゃないですか。こんなに温かく……気持ちよく……送り出してくれる先輩……」とたまらず涙を流した。
気持ちを新たにした逸材は「自分としてもね、レスラーとしての課題もいくつも見つかった試合だったんで」と前向きに語ると、「改めて棚橋弘至、ラストイヤー、全身全霊で、全エネルギーを、日本全国に、置いていきます。配り続けます」と誓ってみせた。
この日、メインイベントでIWGP世界ヘビー級王座初戴冠を果たした後藤洋央紀は、初防衛戦の相手に棚橋を指名。ファイナルロードで縁の深い荒武者とのタイトル戦が浮上した。