
リモートワークから出社回帰へ……現状と課題
岡部 コロナ禍を経て、リモートワークが急速に普及しましたが、最近では出社回帰の動きも見られます。これについてどう思われますか?
石倉 正直、絶望感のほうが強いです。リモートワークが可能であることが証明されたにもかかわらず、「生産性」ばかりが議論され、柔軟な働き方の重要性が軽視されています。
岡部 確かに、多様な人が働きやすい環境という視点が抜け落ちているように感じます。
石倉 まさにそうですね。コロナ禍でリモートワークが普及したことで、これまで「いないもの」とされていた人たちが、実は働ける環境があれば十分に活躍できることがわかりました。それなのに、また元の働き方に戻ろうとしている。これでは何も変わりません。
岡部 今後、リモートワークをより定着させるためには、どのような取り組みが有効だと感じられますか?

石倉 企業の意識改革が重要です。また、政策的なアプローチも必要でしょう。たとえば、残業代の割増率を大幅に引き上げることで長時間労働を抑制し、短時間でも成果を出せる働き方にシフトさせるなど、制度そのものを変えていく必要があります。
岡部 リモートワークが特定の人だけのものではなく、社会全体にとって有益な制度として認識されるべきですね。
石倉 はい。制度を変えることも大事ですが、それを支える価値観の変革も不可欠です。次の世代がより良い社会で生きられるよう、これからも取り組んでいきたいと思います。
次回の後半記事では、スタートアップ業界のセクハラ問題やSTEM分野におけるジェンダーギャップの解消に向けた取り組みについて掘り下げていきます。
石倉 秀明(いしくら ひであき)● 2005年に株式会社リクルートHRマーケティングでキャリアをスタート。その後、リブセンス、DeNA、起業などを経て2016年より株式会社キャスター取締役COOに就任(2021年より取締役CRO)。創業期よりフルリモートワークで組織を運営し、複数の新規事業の立ち上げ、営業、マーケティング、広報などの管掌役員を歴任。47都道府県、23か国で800名以上がフルリモートワークで働く企業規模にまで成長させ、2023年10月の東証グロース市場上場に貢献。2024年2月より山田進太郎D&I財団COOに就任。
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