この画像は、おとめ座の方向の一角を、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)」でとらえたもので、数多くの銀河が映し出されています。画像の中央付近にはダークマターのかたまりがあり、そこにはダークマターの強い重力に引き寄せられて、多くの銀河が集まっています。ダークマターは、可視光などの電磁波ではとらえることができませんが、周囲に重力は及ぼす正体不明の物質です。

画像中央付近をよく見ると、長く引き延ばされた銀河がみられます。手前側の天体の重力によって、奥にある天体からの光が曲がったことで、引き伸ばされて見えています。重力がレンズのようなはたらきをすることから、このような現象は「重力レンズ」と呼ばれます。

奥の天体の像がはっきりと歪んでみえるものは「強い重力レンズ」効果と呼ばれます。一方、見た目にはそれほど歪んで見えないものは「弱い重力レンズ」効果と呼ばれます。多くの銀河の弱い重力レンズ効果を統計的に調べることで、ダークマターの分布などを調べることができます。

すばる望遠鏡は、ハワイ島のマウナケア山頂付近に設置されている、口径8.2mの巨大望遠鏡です。すばる望遠鏡は、1999年1月のファーストライト以来、2024年で25周年を迎えました。25周年を記念して、国立天文台は2024年4月から毎月2枚ずつ、すばる望遠鏡が撮影した天体画像を紹介しています。今回紹介した画像は、2025年3月5日に、すばる望遠鏡のウェブページで紹介されたものです。

(参考)
すばる望遠鏡25周年記念画像

Image Credit: 国立天文台; 画像提供: 田中賢幸

(参照)すばる望遠鏡