![パナソニックLUMIX「S1RII」レビュー。6年ぶりに刷新されたスチル向けフルサイズフラッグシップ機[OnGoing Re:View]](https://assets.mama.aacdn.jp/2025/03/441242439_67d8f26458f693_76216496.jpg)
はじめに
まずはじめに今日紹介する「S1RII」が「先代S1R」の後継機なのかどうかという点を先に話したい。
S1RII発表後、ネット界隈では多数の称賛の声があがった反面、「もっと性能を静止画に振ったカメラが良かった」「6000万画素クラスのカメラが欲しかった」など、S1RIIを残念に思う声も聞かれた。
かくいう私も、スペックシートを見る限りスチルと動画のバランスのとれたS1RIIが、「高画素スチル機フラッグシップS1R」の後継機と名乗ってよいのかと疑問に思っていた。「S1RII」ではなく、バランスのとれたフラッグシップ機S1の後継機として「S1II」こそ相応しい名称なのではないか? そんな風にも考えていた。
しかし、あえて言おう。このカメラは間違いなく「S1RII」である。筆者としては先代「S1R」の後継機を待ち望んでいた人にこそ、このカメラを使ってもらいたい。本稿ではそんなS1RIIの魅力が少しでも伝えればと思い、書きしたためようと思う。
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新型4430万画素イメージセンサー

S1Rの後継機として皆さんが一番気にされている点はやはり撮像素子ではなかろうか。S1Rではカメラ有効画素数4,730万画素のセンサーが採用され、6年前当時でも「高画素のLUMIX」として話題になったのを覚えている。
それに対し新型S1RIIではカメラ有効画素数約4,430万画素と先代より画素数を減らした形で登場した。
S1RIIの発表前には「Laica社のSL3と同じ6000万画素を搭載してくる」という噂があり、登場したS1RIIの減った画素数に落胆して人もいたが、ほとんどの人がLUMIX開発陣の選択を好意的に受け止めていたように思えた。
今回S1RIIに搭載された新型4430万画素センサーでは、
- 像面位相差オートフォーカス
- メカシャッター時10コマ/秒(AFS/MF時)
- 電子シャッター時40コマ/秒(AFS/AFC/MF)
- ISO80~51200(拡張40-102400)
- ラチチュード最大14ストップ(ダイナミックレンジ拡張 ON時,V-Log)
- ブラックアウトフリー
と、他社のフラッグシップ機と比較しても遜色ない性能である。
LUMIXのマーケターはひたすらにこのセンサーの詳細を明らかにしないが、スペックを見る限り積層型センサーに匹敵する読み出し速度を実現しており、筆者が業界筋の方と話す中では積層センサーではないかという意見もある。ここは俗にいうセンサーの製造メーカーとの「大人の事情」があって明らかにできないのであろうと思うが、スペックだけが真相を物語っていると私は思っている。
中でも電子シャッター時40コマ/秒は群を抜いている。6000万画素を有するLaicaSL3は電子シャッター時15コマ/秒なので、その速度の違いをわかってもらえると思う。LUMIXは海外、特にヨーロッパでのシェアが非常に高い。特にツール・ド・フランスなどの自転車競技が盛んで、それらを写真に収める際もシャッターの高速化要望は高かったのだと推測する。今回S1RIIが更なる高画素化に踏み切らなかった理由はそこにあると思う。
その代わりと言っては何だが、得意とするS1Rで培ってきた4500万画素付近の画像処理能力を高め、より高精細で美しい色合いを追求してきたLUMIX開発陣に筆者は諸手で拍手を送りたい。そして6000万画素を期待していたLUMIXユーザーの方にもぜひS1RIIを手に取って試しに撮影していただければと思っている。
また、メカシャッターも金属部品などを使用して秒10コマを達成しているが、筆者の推しポイントはそこではない。最近LUMIX S9ばかり使っているせいかメカシャッターの振動とカチっとしたシャッター音が非常に心地よく感じる。最近手に取ったカメラの中では上位に入る品質の良さだ。このカメラを手に取る機会があったらぜひシャッターを切ってほしい。心地よい音が聞けるはずだ。