「ザクマシンガン」に、強力な武器といったイメージはあまりないかもしれません。ところがその口径は120mmといいます。これ、現実世界でいうと、戦車に積む「砲」クラスの大きさになるわけで、つまりは相応にやべーヤツでした。
ザクといえばヒートホークとザクバズーカ、そしてこのザクマシンガン。「HG 1/144 ザクII」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
【画像】「口径120mm」のヤバさ少しでも伝われ! こちら陸自戦車の120mm砲です(3枚)
「マシンガン」で「120mm」がいかに脅威か
「機動戦士ガンダム」シリーズにおけるモビルスーツ(MS)の兵装といえば、ビーム兵器が主体であるというイメージが強いでしょう。しかし、実弾兵器も依然、主要な武装として搭載されていることが少なくありません。
そのひとつに「ザク」の携行する「ザクマシンガン」があります。この武装は、見た目こそ第一次世界大戦期の「ルイス機関銃」に似ていますが、その性能は比較にならないほど凄まじく、とりわけ、使用する弾薬の口径が120mmであるという点が、通常の機関銃とは一線を画しているといえるでしょう。
口径とは、砲身の直径すなわち発射される弾丸の直径を意味します。一般的に、口径が大きいほど発射される弾丸の威力も増します。ルイス機関銃の口径は7.7mmであり、これは機関銃として標準的なサイズでした。一方、「ザクマシンガン」の口径は120mmとされています。これはもはや機関銃というより、「大砲」の領域に入るものです。
陸上自衛隊の90式戦車や10式戦車に搭載されている戦車砲は、いずれも120mm砲です。これは現代戦車において主流の口径であり、敵戦車の装甲を貫通し、一撃で撃破するだけの威力を持ちます。つまり「ザクマシンガン」は、現代の戦車砲と同じ口径を持ち、それを連射可能な武器として運用していることになります。
戦車砲の弾丸は、速度エネルギーによって敵の装甲を貫通することを目的とした対戦車用の徹甲弾(APFSDS)と、着弾時に爆発をともなう多用途の対戦車榴弾(HEAT)等があり、ザクマシンガンも複数の弾丸を携行している可能性があります。
戦車砲が1発放たれるだけでも、その威力は甚大です。それを「ザク」は機関銃のように連射できるのですから、その火力は想像を絶するものとなります。戦場において、1機の「ザク」が何十両もの戦車と同等、あるいはそれ以上の火力を持つというのも誇張ではありません。
ただし、「ザクマシンガン」のような超大口径機関砲には、大きな課題もあります。そのひとつが「反動」です。現代の戦車砲は、発射時の強大な反動を抑えるために砲架やリコイルシステムを備えています。それでも発射時には数十tの車体が大きく揺れるほどの衝撃が発生します。これを手持ち武器として使用し、しかも連射するというのは、現実社会の現代の常識では考えられません。
はたして「ザク」がどのように反動を抑えているのかは明らかではありませんが、俗説によるとザクマシンガンは初速が200m/sと非常に遅いという設定がまことしやかに語られています。これは一般的な砲の5分の1以下の速度です。事実は定かではありませんがこれが正しいとすると、ザクマシンガンは機関砲の一種というよりもグレネードランチャーに近い兵器だといえるかもしれません。
いずれにせよ、もし現実世界においてこのような兵器が登場すれば、地上戦はすべてが根本から変化することになるでしょう。