
アジア最終予選で3試合を残し、“世界最速”で北中米ワールドカップ出場を決めた森保ジャパン。本大会まで約1年3か月。登録人数はカタールW杯を参考にすれば26名。熾烈なサバイバルがスタートした。本稿ではこのタイミングで、26年W杯メンバーを予想してみた。選者はフリーライターの元川悦子氏だ。
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日本代表が8大会連続ワールドカップ出場を決めた3月シリーズが終わり、森保一監督らは本格的に2026年北中米W杯への強化に乗り出す。4月以降はコーチングスタッフの欧州視察期間を長くし、指揮官もこれまで以上に頻繁に足を運んで選手個々のチェックを行なう構えだ。
こうしたなか、気になるのが、1年3か月後の本番に誰が選ばれるのかという点。森保監督は21日の記者会見で「代表は与えられるものではなく、自分たちで掴みに行くもの。経験値の低い選手にチャンスを与えないといけないと思うが、かなり高いレベルに来てもらわないとチャンスを掴み取れない」と語っていたが、新たな選手が既存戦力の牙城を崩すのは相当に難しい。となれば、やはり2022年カタールW杯に参戦し、その後の2年半も代表として戦い続けている面々が主体となるのは間違いないだろう。
そういう観点で各ポジションを見ていくと、GKだけは前回W杯とは3人全員の陣容が変わりそうだ。まずファーストチョイスは、最終予選でここまでの全試合に先発している鈴木彩艶(パルマ)が不動。欧州5大リーグで定位置を確保している22歳の守護神は経験・成長度を含め文句なしだ。
それに続く存在は大迫敬介(広島)。彼も第二次森保ジャパン突入後、コンスタントに招集されていて、2023年9月のドイツ戦などにも先発していて、いざという時に任せられる人材だ。
もう1枠はA代表未招集の小久保玲央ブライアン(シント=トロイデン)が食い込んでくるのではないか。今季はベルギーでコンスタントに試合に出場。昨夏のパリ五輪での圧巻パフォーマンスを含め、伸びしろはかなり大きいと見ていいだろう。
続いてDFに目を向けると、前回は8人だったが、今回は長期離脱中の冨安健洋(アーセナル)や谷口彰悟(シント=トロイデン)に不安要素があるため、安心材料として1枠多い9人で選んだ。
最終予選で全試合に出場の板倉滉(ボルシアMG)を筆頭に、伊藤洋輝(バイエルン)、町田浩樹(ユニオンSG)は順当で、そこに冨安、谷口が名を連ねるはず。25日のサウジアラビア戦で、A代表初スタメンで堂々たるプレーを見せた高井幸大(川崎)のメンバー入りも確実で、1月からスタッド・ドゥ・ランス入りした関根大輝も今後の伸びしろを考えると食い込んでくるだろう。
問題は昨年3月の復帰以降出番のない長友佑都(FC東京)と、最終予選出場2試合の菅原由勢(サウサンプトン)の扱い。やはり長友は過去4回の大舞台の経験、存在感、周囲のメンバーに的確なアドバイスができる点を踏まえると外せない。菅原も4バック時の右サイドバックとしての能力の高さを考えると、置いておきたい人材だ。
今は3バックで戦っているため、どうしても出番が少なくなり、サウジ戦でもプレーのダイナミックさが欠ける嫌いがあったが、本来の彼は大舞台でもっと戦える。そこに期待して、本大会メンバーにリストアップしたい。
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MFは、前回は11人だったが、今回はDFを1人増やしたため、10人とした。その顔ぶれは、キャプテンの遠藤航(リバプール)、堂安律(フライブルク)、三笘薫(ブライトン)、南野拓実(モナコ)、久保建英(レアル・ソシエダ)、守田英正(スポルティング)、伊東純也(スタッド・ドゥ・ランス)、鎌田大地(クリスタル・パレス)、田中碧(リーズ)という9人が前回メンバー。そこに最終予選参戦組の中村敬斗(スタッド・ドゥ・ランス)が入って10人になる。
となると、ボランチが1人足りない印象もあるが、鎌田にシャドーやトップ下と兼務してもらうことになる。最終ラインの谷口や板倉も一列上がってプレー可能。もちろん佐野海舟(マインツ)、藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)や松木玖生(ギョズテペ)といった20代前半の選手も選びたいところだが、FWを4枚にするなら、どうしてもMFにもう1枚は割けない。
森保監督がDFを8枠、あるいはFWを3枠にする決断を下すなら、特に佐野は食い込んでくるかもしれない。彼を呼ぶためには様々なハードルがあるだろうが、本人はA代表復帰の道が開かれることを信じて、結果を出し続けるしかないだろう。
そして、最後のFWだが、こちらも最終予選で主軸を担った上田綺世(フェイエノールト)、小川航基(NEC)、前田大然(セルティック)の3枚は固いところ。最後の1枠をサプライズ枠と位置づけ、2005年生まれのロサンゼルス五輪世代の後藤啓介(アンデルレヒト)の伸びしろに期待した。
実際、森保監督も2月の欧州視察から帰国した取材対応で、わざわざ彼の名前を挙げていて、熱視線を送っているのは間違いない。おそらく第一次森保ジャパンでともに戦った横内昭展コーチがジュビロ磐田を指揮していた時から情報を入手し、目をつけていたのだろう。「信頼する横内コーチが認める人材なら、ぜひ使いたい」と指揮官が考えるのも不思議はない。
もちろん、彼の場合は来季のアンデルレヒトで目覚ましい飛躍を遂げなければ、滑り込みは難しいが、そういう前向きな選考がないと既存グループも活性化しない。
若い力も加えつつ、スケールアップした日本代表が快進撃を見せることができれば理想的。後藤のみならず、20歳前後のタレントが現代表メンバーを脅かすような急成長を見せつけ、序列を変えてくれることを祈りたい。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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