
3月27日、フジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングスが定例の取締役会を開き、日枝久氏が取締役相談役から退任することを発表した。これがフジテレビの変わるきっかけになるだろうか。
フジテレビの人気番組が続々と打ち切り
元タレントの中居正広氏と女性との間に起こったトラブルにより、スポンサー離れなどが問題となっていたフジテレビ。1月に10時間超の記者会見を開いたもののスポンサーは戻らず、いまだにCMのほとんどはACジャパンという状態だ。
1月には港浩一社長らが辞任し、新たな経営体制で改革に臨むとしていたが、株主からはフジテレビの最高実力者である日枝氏の撤退がなければ何も変わらないとの声も上がっていた。
そんな中、ついに日枝氏の退任が発表された。ネット上ではフジテレビの決断を支持する声が多く上がっている。
〈これでクリーンな会社になることを願う〉
〈とうとうサヨナラか これでまたフジテレビも大きく変わるな〉
〈遅すぎたとは思うけどとりあえず大きな一歩。変わってくれることを望む〉
〈退任しても後ろで糸を引いていれば何も変わらないので本当の変革を求む〉
また今回の騒動を受け、フジテレビは社内に20代から40代までの若手社員で構成するフジテレビ「再生チーム」を設置したと発表している。古い体質を変えて、若手を積極的に起用する方向に舵を切っていくようだ。
その手始めとも言われているのが、この春の番組改編。『オールナイトフジコ』『ワイドナショー』『だれかtoなかい』『千鳥のクセスゴ!』『はやく起きた朝は…』などが終了(『はやく起きた朝は…』は地上波レギュラーが終了で、CS放送に移行)。さらに1974年から続く特別番組『FNS歌謡祭』が今年は放送中止となった。
「これはまだまだ序の口で、今後も旧態依然とした番組をどんどん切っていくと予想されます。アラ還の芸人が仕切るクイズ番組、MCの高額なギャラがネックになっている情報バラエティー、最近では動物のびっくり映像ばかりを流すようになったドキュメンタリーなどなど。
制作費が高いのに結果を残せていない番組は、容赦なく打ち切り対象になります。その分、若手が熱を込めた企画をやっていこうとなるわけです」(テレビ局関係者、以下同)
そんな中で、伝説的な番組を復活させるというプランも浮上しているという。
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フジテレビ復活のカギを握るのはタモリ?
「『トリビアの泉』(2002年~2006年までレギュラー放送)です。いまだに雑誌などで『復活してほしいテレビ番組』アンケートを取ると、ほぼトップ3に食い込んでくるほど人気が根強い。このタイミングで復活すれば話題性は抜群ですし、多くの視聴者がフジを見直すきっかけにもなるでしょう。
ただし、制作費の高さも打ち切りの要因のひとつといわれていたため、同番組を瀕死のフジで復活できるのか? との疑問もありますが、いまはお金をかけてきちんと一つのコンテンツを作るべきというフェーズにテレビ界全体が変わっていますからね」
視聴率低下でCMによる広告収入がガクンと落ちたテレビ局だが、ここ数年はバラエティーよりも制作費が高いドラマを量産している。
その理由は、ドラマのほうが動画配信での再生回数がバラエティーよりも圧倒的に高く、さらに動画配信サービス『FOD』など自社コンテンツの有料動画配信サービスの会員増加に繋がるからだ。
「今回スポンサーが離れたことでフジテレビは、番組に対して直接視聴者にお金を払ってもらえるシステムへの早期移行を視野に入れたでしょう。『トリビアの泉』はドラマではありませんが、動画配信サービスで無類の強さを誇ることは確実視されています。さらに、うまくいけば海外にも番組を売ることができる可能性があると思います。
実は『トリビアの泉』は、もともと海外でも放送されていたほど世界にも通用するフォーマット。復活した際は、より海外向けを意識することでしょう。もし海外で売ることができれば、製作費なんて微々たるものです」
『トリビアの泉』は放送当時、タモリ、八嶋智人、高橋克実らがレギュラー出演。彼らがそろって再登板することはあるのだろうか。
「また、フジ内では『笑っていいとも!』の復活を望む声もあるといいます。『トリビアの泉』も『いいとも!』も現在、テレビ制作の第一線で活躍する現役バリバリ世代が見ていた番組で、復活となれば彼らも相当な力を入れてくれると思いますからね。
そうなると、フジ復活のカギは“タモリさん”ということに。現在79歳のタモリさんにどれだけ任せるのか、若返りとは矛盾もしそうですし、実現度は低そうですが、タモリさんのような柔軟な思考を持つ熟練者が、今の若手と組んだときの化学反応はぜったいに面白いはずです」
大きな変革期を迎えているフジテレビ。テレビ界全体が、次の一手に注目しているだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部