〈15~39歳の半数が子育てNO!〉国がどれだけ“子育て支援”をしても少子化対策にならない決定的な理由…SNSでは「こども家庭庁解体」の声も

日本大学の末冨芳教授らの研究グループが、若者が抱える困難の実態に関する調査を行なったところ、15歳~39歳の男女の52%が「子どもはおらず、子どもは育てたくない」と回答したという。この結果を受けて、2023年4月1日に発足して2年が経過する「こども家庭庁」の責任を厳しく問う声が多く上がっている。

出生数は過去最低を記録

女性1人が生涯に生むと予想される子どもの数を示す統計的な指標「合計特殊出生率」は下がり続けている。昨年、厚生労働省は2023年の「人口動態統計」の概数を公表したのだが、合計特殊出生率は1,20で、統計を取り始めて以降、最低を記録した。

また、2024年の出生数は72万988人で、こちらも統計を取り始めて以降、過去最少となっている。しかもこの数字は外国人を含んでおり、日本人に限定すると70万人を切ると予想されている。

そんな中で、これからを担っていく世代の約半数が、「子どもは育てたくない」と思っているという調査結果は衝撃的であった。

なぜ若者がここまで子育てに対して消極的になっているのだろうか。独身研究家の荒川和久氏に見解を聞いた。

「経済中間層に余裕がないことがひとつの原因だと考えます。例えば大企業に務めている人や公務員を見ると、彼らは1980年代、90年代と同じくらい結婚していて子どもを産んでいますからね。

問題は、ボリュームの多い年収300万円台の経済中間層の婚姻率が劇的に下がっていることです。10~15年ほど前までは300万円台でも結婚していましたが、今の婚活市場では300万円台だと相手にされません。若者の“意識上の結婚コスト”がインフレした結果、諦婚につながり、このような調査結果が出たのだと推察されます。

重要なのは、これは貧困化ではなくて、中間層が苦しい目に合っているのだということです。中間層が一番苦しい目にあっているが故に、その人たちが行動を抑制せざるを得ない。その行動の中には、恋愛も結婚もあるし、結婚して子供を育てるという行動も含まれているわけです」(荒川和久氏、以下同)

実際、今回の調査によると、年収が299万円未満、または世帯年収が399万円未満の人では、「子どもは育てたくない」と答えた人の割合が6割にまで上がるという。年収が低いほど、子育てを躊躇しているのだ。

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「新生児ひとりにつき1000万円の子育て支援金が出せる」

少子化の歯止めが利かないこともあり、2022年にはこども家庭庁が設立され、翌年から発足したのだが、その役割を果たしているとは言い難い状況だ。しかも、こども家庭庁の予算は膨大で、令和7年度の予算案は7.3兆円としているため、SNS上では怒りの声が多くあがっている。

〈こども家庭庁が中抜きしまくっている7兆円あれば、新生児ひとりにつき1000万円の子育て支援金が出せる。そうすれば一瞬で少子化は解決できるだろ〉

〈いや〜、終わってるよねほんま。少子化で年々人口が減っていってるから、異次元の対策とかいって、こども家庭庁作ったのにさ〉

〈こども家庭庁に7兆も注ぎ込むより減税して家庭の負担を減らせば出生率は自然に上がると思うんだが〉

〈財務省解体デモが話題になっているけど、こども家庭庁とかいう無能も解体しよう〉

こども家庭庁は少子化対策のほか、保育所の運営、児童手当の給付、保育士の処遇改善、大学の授業料免除など、子どもと家庭に関連するさまざまな課題を取り扱っているが、これがまさに、少子化対策になっていない原因だと荒川氏は指摘する。

「こども家庭庁は、結婚して子どもを育てている方を支援するべきだと思っているようですが、これは大きな勘違いです。なぜなら結婚して子どもを育てている家庭は、それなりに稼いでいて余裕がありますからね。

子育て支援をすること自体は、私は否定しません。ただ、1990年代に少子化対策の一環として、子育て支援を強化する“エンゼルプラン”を政策としてやって、2007年に少子化対策担当大臣を作って“子育て支援”をどれだけやっても、出生数は下がっています。

“子育て支援”は出生数の増加や出生率の改善には繋がらないことは、エビデンスとして証明されているのです」

確かにどれだけ子育てが楽になろうとも、そもそも子どもを作る選択を外されてしまえば元も子もない。こども家庭庁を設立して増税し、国民の手取りを減らし、その結果、子どもを産む余裕がないと考える人が増えてしまうことは本末転倒なのだ。