
パワハラを認めながらも自らへの処分はしようとしない斎藤元彦兵庫県知事。だが兵庫県では、そんな行政トップ以外にも、問題行動が明らかになったにも関わらず政治責任を取らない政治家が目立つ。いずれも昨年11月の出直し知事選で斎藤氏の“応援団”だった面々だ。
姫路市議会は高見氏の辞職勧告決議案を可決したが…
「私としては、間違ったことは一切していないという認識は変わりません。今後も議員としての職を全うしていく所存です」
3月26日に自身のXにそんなポストをしたのは姫路市の高見千咲市議(30)だ。姫路市議会はこの日、高見氏の辞職勧告決議案を可決した。まだ市議1期目の高見氏が退場を突きつけられたのは、SNSの投稿が問題視されたためだ。
「高見氏は昨年11月の知事選で『私は(斎藤陣営の)選対本部の人間』と主張した人物です。昨年11月以降、病気などを理由に市議会本会議をずっと欠席していながら、斎藤知事に都合が悪い発言をする人をSNSで批判してきました」(地元記者)
知事選では「斎藤知事を応援する」と言って立候補した立花孝志NHK党党首らが「疑惑は嘘で、斎藤知事はハメられた」と主張した。
その“黒幕”として名指しされた県議会調査特別委員会(百条委)のメンバーだった竹内英明元県議(享年50)は、SNSなどで猛烈な誹謗中傷を浴びる中で議員を辞職した後、今年1月18日に急逝した。自死とみられている。
その直後、立花氏は「竹内氏は逮捕される予定だったようです」と主張し、この発言もSNSで広まった。しかし兵庫県警の村井紀之本部長は1月20日に県議会で「全くの事実無根。明白な虚偽」と述べ、立花氏の主張の拡散を止めようとした。
これを知った高見氏が同じ日の夜に、「そもそも、兵庫県警の内部では知事選において、特定候補(斎藤知事ではない)の応援をするように通達されていたと聞いたんですけど」と、Xにポストしたことが辞職勧告決議の引き金になった。
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「県警が認めるわけないやろw」
放置できないとみた県警は高見氏が当時所属していた自民党県連にポストの削除や訂正を要請。すると高見氏は1月25日に「認めるわけないやろwすぎて話にならない。否定してるからって、事実じゃないってことにはなりません〜」と県警を非難するポストで返したのだ。
「高見氏は昨年11月には『完全犯罪で人コロすには5000万円あったらいけるらしい。これ皆覚えといて』とポストするなど奇行が目立っていましたが、さすがに市議会もだまっていられなくなり、高見氏に対する政治倫理審査会を設けました。ただ、有力者がバックにいるとささやかれる高見氏に議会が厳しい姿勢を示せるのか、疑問視する声もありました」(地元政界関係者)
だが、弁明の場に体調不良を理由に現れなかった高見氏に対し、政倫審では「以前から一般市民をストーカーとする投稿を繰り返すなど倫理観が欠落した投稿で社会に不安感を与えてきた」「自分自身を正当化して自己満足に陥っている」「問題行動は挙げればキリがない」などと厳しい意見が続出した。
「結局、委員8人の全員一致で、高見氏の行為は政治倫理条例に違反し、政治的・道義的に重大な責任があるため辞職勧告が相当だとする報告が3月7日にまとめられました」(地元記者)
高見氏は反発し「審査は委員たちの個人的な主観で進められ、事実関係は全く審査されていないため厳重に抗議します」との意見書を議会に送ったが相手にされず、辞職勧告決議が通ることになった。もっとも決議に法的拘束力はない。
「高見氏は辞めないと言っているので騒動は終わりません」と政界関係者はため息をつく。