
食事の常識を覆す“オイルファースト”の衝撃
健康志向の高まりにともない、食事の最初に良質な油を摂取する「オイルファースト」という新習慣が注目されている。2025年3月26日に開催された勉強会では、北里大学北里研究所病院の糖尿病治療の第一人者である山田悟医師が、その有用性について詳しく語った。
(広告の後にも続きます)
脂質=悪は誤解
かつては「脂質=体に悪い」「脂質=太る」と考えられてきたが、近年の研究では、適切な種類と量の脂質摂取が健康維持に役立つことが示されている。山田医師は「植物油に含まれるリノール酸が、食後の血糖上昇を緩やかにする可能性がある」と述べた。
「オイルファースト」とは、食事の最初に良質な油脂を摂ることで食後血糖値の急上昇を抑え、痩せやすくするという新しい食べ方である。朝食に何でもオリーブオイルをかけて食べる「朝オリーブ習慣」や、ナッツ類を取り入れたりすることで、食後血糖値のリスクを減らし、1日の代謝を上げて痩せやすくする効果があるという。

「朝からあげ」も意外ながらオイルファーストの一例である。脂質によって満足感を得ることで、自然に糖質の摂取量が抑えられるのだそうだ。ゲストの有野いくは、「唐揚げにオリーブオイル・レモン・塩でオリジナルソースを作り、仕上げにかけてみたい」と笑顔で語り、山田医師もそれに賛同していたのが印象的だった。

さらに、緩やかな糖質制限として知られる「ロカボ」にも注目が集まっている。これは1食あたりの糖質を20~40g、1日合計で70~130gにおさえる食事法で、無理なく続けられる点が特徴である。

山田医師は「古くなった油やトランス脂肪酸を避け、魚の脂(オメガ3脂肪酸)やオリーブオイル、無塩バター、ごま油といった良質な油を選んでほしい。そして油の保存にも注意を」と呼びかけ、「脂質を味方にした食事こそ、これからの新常識になる」と締めくくった。科学的根拠に基づいた新しい食習慣を取り入れることで、より健やかな日常が近づくかもしれない。