歩(仲里依紗)から詩(大島美優)を引き取ろうとするのは甘かったかもしれないと聞いた結(橋本環奈)は、仮定の話を気にして一歩踏み出さないのはギャルらしくないと勇気づける。 さらに詩を一人で育てるのでは...

【朝ドラのツボ!】

最終週「おむすび、みんなを結ぶ」第125回

 歩(仲里依紗)から詩(大島美優)を引き取ろうとするのは甘かったかもしれないと聞いた結(橋本環奈)は、仮定の話を気にして一歩踏み出さないのはギャルらしくないと勇気づける。

 さらに詩を一人で育てるのではなく、みんなで育てればいいと言う結の言葉で、歩は決心する。

 そして1年後、結たちは糸島に移住した聖人(北村有起哉)たちを訪ねる。

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【本日のモヤっと】



4月期クールも連ドラ出演(C)日刊ゲンダイ

あちこちで伏線まき散らし

 ※※以下、ネタバレあります※※

 なんだか世間では、最終回は良かったという評判もあるそうですが、私だけ違うものを見てしまったのかと思うほど、モヤモヤが残ったままです。伏線回収という言葉がありますが、「おむすび」の場合は“伏線まき散らし”。伏線なのかと思っていたものが、未回収のまま終わってしまい、ポカンとしてしまいました。

 たとえば、大腸がんの患者・丸尾さん。結が大演説をぶって手術を延期する流れでしたが、あの後、どうなったのか。詩とナベベ(緒形直人)の再会もありませんでした。娘にそっくりな詩を見てナベベがどんな反応をするのか、ちょっと気になっていたのですが…。

 お次は、糸島です。「よねだイチゴ農園」の盛況ぶりには驚かされました。キッチンカーまで出して、愛子(麻生久美子)の手腕が光ります。推定年齢90代前半の佳代(宮崎美子)はとてもそんな年齢には見えず、愛子も歩も結も米田家の女性陣は年を取らない秘薬を手に入れたとしか思えません。ヒミコ(池畑慎之介)が、なぜ畑でトラクターを操縦していたのかも謎です。

 一番のモヤっとは、エンディングです。ドラマの中で、結と歩のいるリビングのテレビには朝ドラ「おむすび」が放送されています。“令和7年1月17日”というテロップが出ているのに、テレビからは「阪神・淡路大震災から17年。1月17日早朝5時46分、黙とうがささげられました」とリリー・フランキーのナレーションが聞こえてきます。これって、令和7年なの? 平成24年なの? 一瞬、よくわかりませんでした。

 しかも、彼女たちが年を取らないので、いったいいつの話なのか、検討もつかないのです。というか、いつから結はこの家に住みだしたのでしょうか。翔也にしてみれば、職住接近でしょうが、花(新津ちせ)の学校問やサッカークラブは大丈夫なのか、それも気になります。

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そして、モヤモヤが残った

 話は戻って、おむすびを握る結に「今年も行くの?」と歩。そして、結はいそいそと神戸の高台へ。ベンチにいるのは、雅美さん(安藤千代子)でした。結がタッパーに入れたおむすびを持って「はい、おむすび」と差し出します。「ありがとう」とひとつ受け取ると「まだあったかいねえ」と雅美さん。ラップを剥がして「いただきます」と一口、そして「おいしい」と微笑みかけます。「よかった」と結。

 雅美さんは震災の時、ボランティアで神戸までおむすびを持ってきたあの人です。それを貰って「おばちゃん、これ冷たい。チンして」と言ったことが結の後悔になっていましたが、5歳の時にボランティアで来た人といったいいつ再会したのでしょう。

 当時の記憶はそんなになかったはずなのに、どこをどうして雅美さんにたどり着いたのか。「探偵ナイトスクープ」の探偵にでも頼んだのでしょうか? そこがわからないのでモヤモヤします。

「今年も行くの?」という歩の台詞から推察するに、結にとっての恒例行事になっていたようですが、なにもかもさっぱりわからずじまい。毎年毎年、雅美さんに温かいおむすびを食べさせて何がしたいのでしょう。「ほら、やっぱりおむすびは温かいほうがおいしいでしょ」と言いたいのだとしたら、結、とんでもなくヤベ~やつです。雅美さんにとってこの日が恐怖の日でなければいいのですが…。

 今年の流行語に結の「食べり」、もしくは翔也の「大事か」がノミネートされるかどうか。楽しみにしつつ――。

(桧山珠美/TVコラムニスト)