
レッドブルは、F1シーズン開幕からわずか2戦でリアム・ローソンをレーシングブルズの角田裕毅と交代させたが、アドバイザーのヘルムート・マルコ曰く、マックス・フェルスタッペンはそれに賛成していなかったという。
レッドブルはローソンが開幕戦オーストラリアGPと中国GPの両方でパフォーマンスを発揮できず、中国GPの予選ではスプリント予選含め2回とも最下位という致命的な結果に終わったことから、この決断を下した。
鋭い観察眼を持つ人は、ケータハムでF1を19戦戦った経験があるギド・ヴァン・デル・ガルデが公開したInstagramの投稿に、現役F1ドライバーが「いいね!」を押していることに気づいただろう。そしてその中には、角田の新しいチームメイトとなるマックス・フェルスタッペンも含まれていた。
ヴァン・デル・ガルデの投稿は以下の通りだ。
『F1はパフォーマンスの面で最も厳しいスポーツであり、期待通りの結果を残せなければその結果に直面しなければならないというコメントには少しうんざりしている』
『パフォーマンスを出さなければいけないこと、プレッシャーが半端じゃないことも正しいが、しかし私の意見では今回はアスリートとしての実績というより、いじめやパニックに近いと思う。彼らは十分に承知した上で決断を下し、リアムにわずか2レースしか時間を与えず、彼の精神を打ち砕いた』
つまり、フェルスタッペンはドライバー交代に反対だったということなのか? motorsport.comの姉妹サイト『Formel1.de』の独占動画インタビューで、この「いいね!」に基づく結論が妥当かどうか尋ねられたマルコは、次のように答えた。
「その結論は正しい。彼はそれを口に出していた。しかし、チャンピオンシップを勝ち取るためには、トップ10に2台のマシンを入れるために全力を尽くさなければならないとマックスには説明した」
レッドブルの2台目は、チームが圧倒的なアドバンテージを無くして以来、明確な弱点となっている。2024年は、フェルスタッペンが独力で4度目のワールドタイトルを獲得した一方で、セルジオ・ペレスはそれを全くアシストできず。昨季中盤以降の18戦で1113周中91周しかトップ5に入れず、第6戦マイアミGPを最後に表彰台どころかトップ5フィニッシュすらないままシーズンを終えた。
それでもフェルスタッペンは、レッドブルが選択肢を思案する中で、ローソンを支持。マシンが改善すればローソンのパフォーマンスも上向くはずだと主張した。
「マックスはマシンの運転が非常に難しく、マシンが良くなればローソンのパフォーマンスも向上すると主張した」とマルコは説明する。
「もちろん、我々はさらなる開発に取り組んでいるが、現時点ではそれがどれくらい早くやってくるのか予測するのは難しい」
レッドブルはドライバーに対して冷酷に決断を下すことで知られており、過去20年の間にメインチームから姉妹チームに降格させられたり、どちらかのチームから解雇されたりしたドライバーも少なくない。
ピエール・ガスリー、アレクサンダー・アルボン、ペレスの3人が様々な形で苦戦を強いられた後、フェルスタッペンにとってローソンは2018年末にダニエル・リカルド(フェルスタッペンと同等に戦える最後のドライバー)がチームを去ってから4人目のチームメイトとなった。
しかしマルコは、この決断を「降格」と表現するのは不正確だと主張する。
「まず第一に、彼は降格ではなく、非常に競争力があり、RB21よりも扱いやすいマシンを持つレーシングブルズに移籍したのだ」
「この交代は、むしろ不運としか言いようのないスタートの後に起こった。オーストラリアでFP3がキャンセル(信頼性の問題でローソンがほとんど走れなかった)され、そこから問題が始まった。それがリアムの自信に影響した」
「残念ながら、スプリントレースがあった中国でも状況は続いた。フリー走行が1回しかないんだ。そして同時に、RB21の運転が難しいことも認めなければならない。最速のクルマではないし、パフォーマンスの差はどんどん広がっていった」
「しかし”降格”の話題に戻れば、ガスリーはその後調子を取り戻し、今ではアルピーヌのドライバーとして大成功を収めている。アルボンも同様だ。マックスの隣では誰もが同じ運命を辿ったが、彼らは立ち直り、競争の少ない環境で再び調子を取り戻した」
ローソンは、2024年に角田を差し置いて昇格するのをレッドブルに納得させるほどのパフォーマンスを見せたレーシングブルズ(2024年のチーム名称はRBだった)で、F1キャリアを立て直し、軌道に乗せるチャンスを得ることになる。
マルコが中国GPの際、アルピーヌのホスピタリティを訪れたことで、アルピーヌのリザーブドライバーであるフランコ・コラピントがレーシングブルズで起用されるのではないかと噂されていたが、マルコはそれを否定した。
「(アルピーヌのチーム代表)オリバー・オークスとは良い関係なんだ」
「我々はジュニアカテゴリーで様々なチームにまたがって育成ドライバーを走らせているが、彼のチーム(ハイテック)も定期的に我々のドライバーを走らせていた。例えば今、ひとりイギリスF4に参戦している。それが彼と会った理由だ。コラピントは話題にならなかった」