絶好調のマルク・マルケスに冷水。今季初めてのクラッシュに「1000分の1秒で状況は変わってしまう」と気を引き締める

 ドゥカティのマルク・マルケスは、MotoGP第3戦アメリカズGPのFP1でハイサイドを起こし、今季最初の転倒を喫した。彼はこのクラッシュが、目覚めの一撃になったという。

 マルケスにとって、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)は通算7勝をマークしている大得意コースであり、今回のアメリカズGPも当然大本命に推されていた。

 FP1はあいにくのフルウエットコンディションだったが、マルケスはセッション開始から15分のところで暫定トップタイムをマーク。しかしその後、ターン2でハイサイドを起こしてしまった。幸い彼に怪我はなく、このセッション中に走行を再開することができた。

「午前中は、いい意味で目覚めの一撃になったよ」

 そう振り返ったマルケス。このクラッシュが、開幕から順調だった状況をひっくり返す可能性があることを自覚していたという。

「1000分の1秒でシーズンは変わってしまうんだ」と彼は認めた。

「クラッシュした時、1000分の1秒の間にコース上にそれほど大量の水があることが理解できていなかった。その瞬間までまるで水がないかのように走っていたんだけど、たくさんあったからアクアプレーニングを起こしたんだ。午後はQ2に進まなければならなかったからリスクを冒さなければならなかったが、午前中はその必要はなかった」

 マルケスの身体が宙を舞う、怪我をしてもおかしくないクラッシュだったが、マルケスはクラッシュの影響はなかったと話した。

「全く影響はなかったし、その後コースに出たときも速かった」

 その言葉通り、午後のプラクティスでマルケスはポテンシャルをフルに発揮。ところどころにウエットパッチが残るダンプコンディションの中、2番手のファビオ・ディ・ジャンアントニオ(VR46)に0.736秒差をつける大差でマルケスがトップとなったのだ。

「だんだん自信が持てるようになっていったんだ。それはみんなそうだったと思う。ここではペッコ(フランチェスコ・バニャイヤ)がレースをリードしながらクラッシュしている。それについて考えておく必要はあるけど、コースに出るたびに考える必要はないよ。そうでなければ速く走れないからね」

 マルケスはクラッシュした際、バイクの回収を積極的に手伝うと、ピックアップトラックの荷台に載せられたバイクにまたがったまま、ピットに戻った。

 あまり見られない光景ではあるが、マルケスはこうした行動をした理由について「できるだけ早くマシンをピットに運びたかったんだ」と答えた。

「リヤタイヤを交換する必要はなかったし、同じ作業スケジュールを続けたかった。だからあそこでそれをやりたかったんだ」

 マルケスはドライコンディションになると予想される土曜日以降に向けて、より僅差の戦いになると予想している。

「明日はもっとタイトになるだろう。今日のコンディションは”僕のモノ”だった。水が溜まっていたり、路面が乾いてコンディションが変化していたりね」

「でも明日は完全なドライコンディションで、すべてがよりタイトになるだろう。FP2では30分間で、タイヤとセットアップのすべてをテストし、フロントロウに並ぶことができるようにしなければならない」