長期休載していた作品の連載再開は、待ちわびていたファンにとってこの上ないご褒美といっていいでしょう。しかし、以前のようなペースの連載、単行本の刊行は厳しい場合がほとんどです。そんななかで数年に1冊は単行本を出してくれる漫画家もいます。
4年ぶりに刊行されて話題になった『よつばと!』第16巻 著:あずまきよひ(KADOKAWA)
【画像】米津玄師さんも欲しがる…かも? こちらが『よつばと!』主人公のちょっと笑える姿です(4枚)
数年に1冊ペースでも「ありがとう」
漫画家のやむを得ない事情で長期休載に発展するケースは、仕方がないとあたまでは読分かっていても悲しさをおぼえてしまうものです。ただそのなかには長期休載を経て、ゆっくりではあるものの作品を描き続けてくれる漫画家も多数います。
例えば、2001年から「月刊サンデーGX」(小学館)で連載が始まった、犯罪都市「ロアナプラ」を舞台に、裏社会に通ずる運び屋を描く『BLACK LAGOON』(作:広江礼威)は、2010年に発症した作者の鬱病によって約3年間の休載、その後は無理のないペースで制作が進められている作品です。
単行本は9巻まで1年に1冊ペースでしたが、その後は最新刊の13巻に至るまでは2014年、2018年、2021年、2023年の間隔で刊行されています。スローペースではあるものの、続きが描かれることのありがたみが身に沁みます。
また「月刊少年ジャンプ」(集英社)で連載開始された『冒険王ビィト』(原作:三条陸/作画:稲田浩司)も、長期休載ののちに連載が再開されました。同作は、「魔人(ヴァンデル)」と呼ばれる人類の敵を倒す「バスター」となった少年「ビィト」の活躍が描かれます。
2002年から始まった連載は2006年8月号の掲載を最後に、病を患った稲田さんの療養を理由に長期休載が発表されました。そして約10年もの歳月を経て、2016年に「ジャンプ SQ.CROWN」(集英社)で中断されていたエピソードの続きが描かれます。2018年には「ジャンプSQ.RISE」(集英社)で連載が再開されました。
単行本はもともと12巻まで1年に2冊の刊行ペースでしたが、長期休載後は最新刊の18巻まで数年に1冊という頻度です。10年もの間、更新がなかっただけに「数年なら待てる」というファンも多く見受けられました。
ほかにも、2003年から「月刊コミック電撃大王」(KADOKAWA)で連載が始まった『よつばと!』(作:あずまきよひこ)は、休載をしているうちに不定期掲載になった作品です。
同作は、ある町に引っ越してきた少女「よつば」に振り回される人たちの様子を描いた日常系マンガです。シンガーソングライターの米津玄師さんお気に入りの1作のようで、以前、SNS上でファンに好きなマンガを聞かれた際に、「いろいろありますが、しいて挙げるなら『よつばと!』です」と答えていました。
同作はたびたび休載しており、長い場合は2014年10月号から2015年6月号までの8か月にわたって連載がストップしました。単行本は10巻まで毎年コンスタントに刊行されていましたが、11巻から最新の16巻までの各巻は2年以上の間が空いています。そのなかでも2025年2月26日に発売された16巻は、前巻から4年ぶりの刊行とあって話題になりました。
ちなみに2025年2月22日から3月9日まで行われていた『よつばと!』のミニ原画展では、ファンが長蛇の列をなしていました。いまもなお多くの人に愛され続けている様子がうかがえます。