「期待してほしいし、プレッシャーをいっぱいかけてほしい」レッドブルの角田裕毅、公の場に初登場。日本GPに向け意気込み語る

 角田裕毅が、ホンダ青山ビルのクロージングイベントに登場。集まったファンを前に、レッドブル・レーシングのマシンを駆って挑む意気込みを語った。

 長年親しまれてきたホンダの青山ビルは、建て替えのため3月いっぱいをもって閉館となる。このクロージングイベントに角田は、カート時代の師匠である道上龍と共に登壇。レッドブルに昇格した想い、そして日本GPに挑む意気込みを語った。

 この日のイベントには、幸運にも参加整理券を手にした約400人のファンが参加。イベント開始は13時だったが、中には早朝4時半から並んだ人もいたという。

 角田が会場に姿を現すと、集まったファンからは割れんばかりの拍手と歓声が上がった。レッドブルでの活躍に対する、期待の表れのようだ。

 しかし当の角田は至って冷静である。「まさか日本GPでいきなりレッドブルで走るとは思っていなかった」とは語ったものの、次のように語った。

「嬉しいって気持ちはありますけどチームが変わるんだなというくらいです」

 そう角田は語った。

「でもよくよく考えると、日本GPでいきなり(レッドブルで)走るというシチュエーションの現実味がないんです。最初に話があった時は『おお、これは面白くなるな』と思いました」

「これ以上のプレッシャーとチャレンジングなシチュエーションって、たぶん人生でそうないと思います。だからとてつもない、エキサイティングなレースになると思います」

 ただ、レッドブルに昇格することが決まった時、ひとつ焦ったことがあるという。それがシートだ。角田はレッドブルのリザーブドライバーではあったため、開幕前にシートは作ってあったという。しかし、実際にレッドブルのマシンで走ることはないだろうと想い、適当にシート合わせをしてしまっていたのだそうだ。

「既にシート合わせはしてあったんですよ。僕はレッドブルのリザーブドライバーではあったんで。でも、バーレーンテストの前にシート合わせした時の気持ちは、『なんでオレこんなの作ってるんだろう……どうせ走らないのにな……』と思ってました。だから、適当に作ってしまって、1回座って『ああ、これでいいよ』という状態でした」

「でも実際に決まった時には、ちょっと焦りました。あの時のシート使うのかなと思って……。だから今回決まってから、真剣にシート合わせをやって、良いシートが作れたと思います」

 そのシート合わせとほぼ同じタイミングで、レッドブルのマシンをシミュレータで走らせたという角田。しかし巷で言われているような、トリッキーなフィーリングは感じなかったという。

「シミュレータ上では、そこまでチャレンジングなクルマだというのは感じませんでした。よく言われる、フロントが曲がりやすいクルマというイメージはもちろんありましたが、トリッキーかというと、そこまで変な感じはありませんでした。シミュレータ上ですけどね」

「もちろん、どういうクルマにしたいかということはマックス(フェルスタッペン)とは違うと思うし、自分は自分で良いクルマを作って、そのクルマを理解して、徐々に走っていきたいと思います」

 そんな角田は、日本GPでの目標について、次のように語った。

「あまり期待値は上げたくないですけど、今回まず、日本GPで表彰台に乗りたいです」

「とはいえ、最初からそんなにうまくいくとは思っていないので、まずはクルマのことを理解して、レーシングブルズのマシンと比べてどうなのかをFP1から徐々に確かめていって、自然と僕が楽しんで乗れるようになったら、結果もついてくると思います。その結果が表彰台ならば、最高かなと思っています」

 そして角田らしい、こんな頼もしい発言もあった。

 トークショーの共に登壇した道上龍が「本人にプレッシャーをかけるわけじゃないですけど、期待しないわけにはいかないです。だから、良い活躍をしてほしい」とメッセージを送ると、それに応えるように角田も次のように語った。

「はい。期待してください。期待して、いっぱいプレッシャーかけてください!」

 角田は鈴鹿でレッドブルのマシンを駆り、どんな活躍を見せるのか? スタンドから、そして画面の前から、期待とプレッシャーを存分にかけて見守ろうではないか。