直近作は15年前…77歳のジョン・カーペンター監督、現在の活動は?ポン・ジュノと驚きのタッグも

『パラサイト 半地下の家族』(19)以来の最新作『ミッキー17』が公開中のポン・ジュノ監督の特集上映が、ロサンゼルスにあるアカデミー映画博物館でスタート。その開幕初日となった現地時間3月22日、ポン・ジュノ監督のお気に入り作品の一つであるジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』(82)の4K修復版が特別上映され、その上映後にポン・ジュノ監督とカーペンター監督の対談が実現した。

この対談のなかでポン・ジュノ監督は、カーペンター監督に「これまで多くの映画で音楽を作曲されてきましたが、そのほとんどはご自身で監督された作品でした。ほかの方の作品の音楽を手掛けることに興味はありますか?」と訊ね、自身の“次の次の監督作”に作曲家として直々にオファー。するとカーペンター監督は「是非あなたの映画の音楽を担当したい」と即答し、2人は固い握手を交わしたという。


【写真を見る】音楽家として活躍著しい“マスター・オブ・ホラー”ジョン・カーペンター。監督復帰にも意欲!? / [c]Everett Collection/AFLO
現在77歳のカーペンター監督は、4月3日(木)にハリウッドのエンタメ界を代表する人物の名前が刻まれてきた殿堂“ウォーク・オブ・フェイム”に仲間入りすることが決まっている。『ハロウィン』(78)や『ゼイリブ』(88)などさまざまな傑作を世に送りだし、“マスター・オブ・ホラー”としてジャンルを超えて多くの映画人に絶大な影響を与えてきたのはもちろん、ホラー映画ファンから熱烈に愛されてきた。

しかし『ザ・ウォード 監禁病棟』(10)を最後に、15年ものあいだ長編映画を手掛けていない。先日行われた「Variety」のインタビューのなかでカーペンター監督は「適切な状況であれば、また監督をしたいと思っています」と復帰への意欲を見せつつも、「でも私はもう、お金があるからといって監督をするような年齢でもありませんし、予算が組まれることもありません。でも監督業は私の人生の愛であり、これからもずっと愛し続けるでしょう」と語っている。

今年2月には、自らプロデュースを務めるアンソロジーコミック「Tales of Science Fiction」のシリーズ最新作「PAUSE」が発売になるなど、監督業以外では精力的に活動をつづけているカーペンター監督。なかでも近年の活動の中心は、やはり“音楽”。昨年4月にはアルバム「Lost Themes IV: Noir」をリリースし、今年10月にはニューヨークとロサンゼルスでのライブも予定されているのだとか。

先述のポン・ジュノ監督の質問にもあった通り、長編監督デビュー作となった『ダーク・スター』(74)を皮切りに、自身の監督作の多くで自ら音楽を手掛けてきた一方、ほかの監督の作品では「ハロウィン」シリーズを除けば『炎の少女チャーリー』(22)など数作のみ。2023年11月にはA24が製作するアレックス・シャーフマン監督の『Death of a Unicorn』(北米公開中)の音楽を手掛けることが報じられたが、結局実現に至らず、公開目前の今年に入ってようやく正式に降板したことが明らかになっていた。


次回作はアニメ、その次の作品でカーペンターとタッグか!? / [c]Everett Collection/AFLO
『ミッキー17』のあとには韓国に戻り、ドイツ映画界の鬼才ヴェルナー・ヘルツォークをボイスキャストに迎え、自身初のアニメ映画『The Valley』を手掛ける予定のポン・ジュノ監督。その次の作品がどのような作品になるのかは不明だが、カーペンター監督が音楽を務めるならばシンセサイザーのサウンドがよく似合うホラー映画になる可能性も高そうだ。両者のタッグ実現を楽しみにしながら、続報を待とう!

文/久保田 和馬