現代の国境を描いたパンゲア大陸。/Credit:Massimo Pietrobon

今からおよそ3億年前、地球の陸地は1つにくっついた超大陸となっていました。これはパンゲア大陸と呼ばれています。

上の地図は、そんなパンゲア大陸に、現代の国境を描いたものです。

空から見た地球に国境線なんてない! と平和主義者が怒り出すかもしれませんが、こうして国境線を引くことで、現代の土地がかつてはどこにあったのかが非常に明快にわかるようになるのです。

知識として知ってはいても、大陸が大きく動きまわっているというのは、なかなかイメージが難しい話ですが、こうして国境のある地図で描かれると、いかに大地がダイナミックに変化したが理解できます。

日本はどこ?

この地図から日本を探すと、パンゲア大陸の北端(左上)に濃い緑色の領域で描かれているのがわかります。


Credit:Massimo Pietrobon

かつて、日本はあんな場所にあったんですね。

陸地が移動するという事実は、1912年にドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナーにより提唱されました。これは「大陸移動説」と呼ばれています。


Alfred Wegenerの肖像。/Credit:Wipedia Commons

ヴェーゲナーは世界地図のアフリカ大陸と南アメリカ大陸の沿岸線が、まるでパズルのようにピタリと噛み合うことから、「大陸移動説」を思いつきました。

実際は、もっと昔の地図製作者たちの中にも、こうした事実に気づいた人はいました。しかし地質学や、古生物学、地球物理学など学術的な資料を元にして、きちんとした論文として提唱したのはヴェーゲナーが最初でした。

日本では、物理学者で随筆家の寺田寅彦がヴェーゲナーの説に賛同して、日本列島が弓状に並んでいるのは、アジア大陸から分離して日本海が形成されたときに取り残された陸地だからである、という考えを示しました。

確かに上の地図を見るとそれも理解できる話です。

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大陸はなぜ動くのか?


パンゲア大陸の分裂アニメーション。/Credit:Geological Survey (USGS),en.wikipedia

パンゲア大陸は約2億8000万から2億3000万年前(古生代後期から三畳紀後期まで)の期間、形成されていた単一の大陸です。こうした現在より巨大な大陸は超大陸と呼ばれたりします。

ヴェーゲナーが大陸移動説を唱えた当時は、大陸を動かすほどの原動力がどこにあるのか明らかでなかったため、反対する意見も多く存在していました。しかし、こうした陸地の移動は、現在はプレートテクトニクス理論によって説明されています。

プレートテクトニクスは地下数十kmにある岩盤(プレート)の運動によって、地球の変動を説明する理論です。

地球は何枚もの硬い殻のようなプレートに覆われています。大陸移動は地球内部のマントルの対流によって、陸地の乗ったプレートがズレていくために発生しているのです。


ウィルソン(Wilson、1963、Sci. Am.)の模式図を元に作成された大陸移動のメカニズム。/©JAMSTEC

こうして地球の陸地はダイナミックに移動して、現在の世界地図のような形になったのです。

そのため、超大陸の存在もパンゲア大陸が唯一のものではありません。そのもっと以前、約10億年前には超大陸ロディニアが、そしてさらに約18億年前には超大陸コロンビアが形成されていたと考えられています。

こうした事実は、地質学・古地磁気学の調査によって明らかとされているものです。

地球の岩石には、残留磁化として過去の地球磁場が記録されています。これを分析すると、地磁気の変化や大陸移動の様子を復元することができるのです。