『ONE PIECE(ワンピース)』単行本の大きな見どころである質問コーナー「SBS」では、本編では描かれない重要な情報やストーリーが明かされることもあります。さらに最新の111巻では、SBS以外にも貴重なことが語られています。
「Portrait.Of.Pirates ワンピースシリーズ NEO-DX 海軍本部大将 黄猿【ボルサリーノ】」(メガハウス) (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
【画像】え…っ? 尾田先生マジっすか? こちらがSBSで明かされた「黄猿が助けちゃった(?)」キャラです
本編で語られないなら「映画お願いします」
マンガ『ONE PIECE』は壮大で緻密な物語ゆえにさまざまな謎が残されており、なかには本編ではなくコミックスに収録される読者の質問コーナー「SBS」や、その他のコーナーで、意外な重要情報が明かされることもあります。最新の111巻では、本編で描かれない可能性が高そうなエピソードも語られました。
※この記事は最新111巻の内容を含みます。
ここ最近のSBSを振り返ってみると、110巻でも重要なことが書かれています。現在の「エルバフ編」の前の「エッグヘッド編」では、海軍大将「黄猿」こと「ボルサリーノ」の意外な背景が語られました。彼は、天才科学者「Dr.ベガパンク」や、そのボディーガードである海軍本部科学部隊隊長「戦桃丸」、さらに元「王下七武海」の「バーソロミュー・くま」らと、昔から親友のような関係を築いていたのです。
しかし、未来島「エッグヘッド」で発生した大事件により、黄猿は大将の立場として、戦桃丸を一時戦闘不能してしまう怪我を負わせ、ベガパンクを自らの手で殺害しています。また、「モンキー・D・ルフィ」とも衝突し、互角の戦いを繰り広げて両者ともに倒れこんでしまいました。
その後、怪物「牛鬼」の姿となった「五老星」のひとり「ジェイガルシア・サターン聖」が現れ、ルフィたちは絶望的な状況に追い込まれます。しかし、「ギア5」を使った反動で老人姿になっていたルフィの周りに、いつのまにやら大量の食べ物が置かれ、ルフィはそれを食べて一気に回復しました。これにはサターン聖も、「おい誰だそいつに食料を与えたのは!!」と焦ったようです。
誰がルフィに食べ物を与えたのか、本編では不明でしたが、110巻のSBSでは原作者の尾田栄一郎先生が「ほぼ答え」のようなコメントを残していました。
「1103話でルフィはお腹がへって動けなくなっていますが、1106話では満腹になっています。だれがルフィにご飯をあげたんですか?」という質問に、尾田先生は「あの場にいるサンジ、フランキーのどちらかでしょうか? 黄猿や戦桃丸もいますが…誰にもバレていない様です。つまり、その行動は目にも止まらぬ“光の速さ”で行われた様ですね。う~ん。僕にもわかりません。光の速さ……」(一部抜粋)と返答しています。
サターン聖が、ルフィが食料を食べていることに気付いた直後の場面では、がれきに寄り掛かる黄猿の意味深なコマも描かれていましたし、ルフィに食べ物を届けたのは「ピカピカの実」の能力者で光速で動ける黄猿で間違いなさそうです。黄猿もこれまでの「世界政府」の非道な行為や、親友たちを手にかける戦いには葛藤があり、ついに海賊のルフィたちに手を貸したのかもしれません。
そのほか、近年発売のコミックスだけ振り返っても、「『ジュラキュール・ミホーク」は海兵を恨むような過去と大きな裏切りにあってきた」(108巻)、「『ジュエリー・ボニー』の自分や他人の年齢を操作する能力の悪魔の実の名は『トシトシの実』」(107巻)、「『ロロノア・ゾロ』は『ワノ国』の大名の一族『霜月家』の子孫」(105巻)など、SBSでなかなか重要な情報が明かされています。
そして、最新111巻では読者が長年気になっていた「ロッキーポート事件」の詳細が語られました。こちらはSBSではなく、「週刊少年ジャンプ」2024年49号(集英社)に掲載された尾田先生への一問一答のコーナーの情報を再度載せたものです。
海軍の英雄「コビー」、「最悪の世代」のひとり「トラファルガー・ロー」、四皇の一角「マーシャル・D・ティーチ(黒ひげ)」、かつてロックス海賊団」にいた伝説の海賊「王直」という、重要キャラたちがからんだとされるロッキーポート事件には、以前から大きな注目が集まっていました。
「麦わらの一味」が、それぞれ修行をしていた2年間のうちに起きたこの事件は、
「ロード歴史の本文(ポーネグリフ)」を求めるローが、海賊島「ハチノス」(現在の「黒ひげ海賊団」の拠点)に忍び込むために、巨大客船「ロッキーポート号」をジャックした。
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その客船にはとある国の王と要人たちが乗っており、さらにこの船は当時ハチノスにいた海賊たちと取引をする予定の密輸船だったため、大きなトラブルになった。
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ローが海賊たちと対立するなか、何かしらの別件でハチノスに乗り込んできた黒ひげとコビーがローと共闘し、海賊たち(おそらく王直も含む)を倒した。
という流れだったようです。
この結果、ローは海賊の心臓を100人分世界政府に差し出して王下七武海入りを果たし、民間人を多く助けたコビーは英雄と呼ばれるようになり、黒ひげはハチノスの王となりました。
尾田先生はこの事件について、「描くと長いので、本編には描かない気がします」とコメントしていましたが、密輸で何の取引をしようとしていたのか、3人がどのように共闘に至ったのか、王直はどのような人物なのか、など謎はまだまだ多いままです。ファンの間では外伝の小説化や、映画化を望む声がありますが、今後どうなるのでしょうか。