地元の日本酒&クラフトビール
島根西部の旅に欠かせないのが「酒」。日本酒の発祥地とも言われる島根県は、酒づくりに欠かせない「水」と「米」に恵まれた土地。何百年と続く伝統の酒蔵から、地元食材を活かしたクラフトビールを生み出すブルワリーまで、多彩な酒文化が根付いている。地元の酒蔵やブルワリーを巡れば、その土地ならではの味わいや造り手のこだわりに触れられるのも魅力。ここでしか飲めない日本酒やクラフトビールを楽しめば、旅の余韻がさらに深まるはず。
300年続くこだわりの酒造り『華泉酒造』
津和野町にある『華泉酒造』は1730年創業の老舗酒蔵。地元・青野山の伏流水と、最高級の酒米を使い、昔ながらの手作業で仕込まれる酒は、どれもキレのある芳醇な味わいが特徴。
代表銘柄は、華やかな香りが楽しめる「大吟醸 華泉」や、すっきりとした飲み口が魅力の「㐂津禰(きつね)純米吟醸酒 白狐」。伝統と革新が詰まった一杯をぜひ味わってほしい。
試飲して衝撃を受けたのは、甘酒。これまで甘酒が得意ではなかったが、「これなら飲みたい!」と思うほどの美味しさ。大吟醸を造る過程で出た天然醸造の酒粕だけを使い、防腐剤や保存料は一切なし。自然な甘さと香りが際立ち、後味もすっきり。
特にハマったのがゆずベリー味。まるでフルーツスムージーのようで、甘酒が苦手な人でもゴクゴクいけるレベル。これは友達や家族へのお土産にも即決。ほかにも、香ばしい風味の「まめ茶味」、甘酒好きの方に大人気の「プレーン味」もあり、どれもクセになるおいしさ。ちなみに、まめ茶味は牛乳で割ると和風ラテみたいになるらしい。これは次回試すしかない!
SHOP DATA
『華泉酒造』
島根県鹿足郡津和野町後田ロ221
TEL:0856-72-0036
https://kasen1730.ocnk.net/
※蔵見学は事前予約制。
ローカル食材×クラフトビール『高津川リバービア』
島根県益田市にある『高津川リバービア』は、地元の食材を使ったクラフトビールが評判のブルワリー。実はオーナー上床絵理さん、島根とは無縁の元公務員。ビール好きだったことと、都会での生活に一区切りつけ、地方で新しい挑戦をしたいという強い思いから、思い切ってこの地でビール作りをスタートさせたそう。また、シニア層やIターン者の雇用にも力を入れていて、地元と人をつなぐ場としても注目されている。
ラインナップには、地元のシャインマスカットを使った「益田マスカットエール」、香木くろもじの香りが広がる「クロモジギャルド」、美都町産のいちごを使った「美都いちごセゾン」など、どれも個性的で地元らしさが感じられるビールが揃う。
店内は、古民家をリノベーションした落ち着いた雰囲気。季節ごとの生ビールやライトなおつまみを楽しめるスペースもあり、立ち飲みできるスペースと、奥には座敷も完備。カフェのようにゆっくりくつろぎながら、島根の自然と人々が作り出すビールを楽しめる。

SHOP DATA
『高津川リバービア』
島根県益田市高津2-3-19
TEL:0856-32-9641
https://riverbeer.jp/
話題性のあるお酒が豊富!「日本海酒造」
浜田市にある「日本海酒造」は、1888年創業の歴史ある酒蔵。代々受け継がれる伝統技法を大切にしながらも、新たな挑戦を重ね、地元産の米と水を活かした個性豊かな酒を生み出している。代表銘柄「環日本海」は、純米大吟醸や純米吟醸など、多彩なラインナップを展開。毎年進化を続ける限定酒「渦」や、浜田名物の脂がのった「のどぐろ」との相性を考えて造られたキリッとした辛口の「純米吟醸 のど黒」も人気が高い。
また、昨年発売された「いと美し」(「いとうまし」と読む)は、美肌効果が期待できる成分を多く含む日本酒として注目を集めている。コラーゲン産生成分であるα-EGを豊富に含んでおり、飲みながら美容にも気を使えるという、まさに現代のニーズにマッチした一品。女性へのお土産にもぴったりで、話のネタにすれば盛り上がること請け合いだ。

SHOP DATA
『日本海酒造』
島根県浜田市三隅町湊浦80
TEL:0855-32-1221
https://www.kan-nihonkai.com/
「まだ誰も知らない島根西部の旅」、いかがでしたか? 旅をすると、その土地の歴史や文化がぐっと身近に感じられる。そして、食を通じて地域の暮らしや風土に触れるのも旅の醍醐味。現地で味わう料理やお酒の背景を知ると、同じ一杯、同じ一口でも、より深い味わいが生まれる。出雲大社や松江城だけじゃない、まだまだ奥深い島根の魅力。次の旅先に、ちょっとディープな島根西部を加えてみるのも、きっと面白いはず!
文・撮影/鈴木恵理子