
▶<Tour WILD BUNNY BLUES> 18本目
▶2025年3月22日(土) 郡山HIPSHOT JAPAN
▶書き手:佐々木亮介 (Vo, G)
◆ ◆ ◆
どうも佐々木亮介です。
「おい佐々木くん、キミは郡山の日の担当だよ」──ということを失念し、新潟の日の担当のつもりで長文を書き終えたところです。
ここまで一生懸命書いた訳だし、もう一度書くのはいやだなあ。
と真心で思ったので以下の文章を掲載しますけど、
郡山のオーディエンスのみなさんありがとう大好きだよ嘘じゃないっす、ということで悪しからずよろしくどうぞ。

◆ ◆ ◆
新潟で「Beast Mode」という曲を演奏した。
2020年にリリースした曲。
今からこの曲について書こうと思う。
つまり昔話をするということ。
なぜか。
新潟で演奏した日にブログとして書き表すべき出来事がなかったから。
いや厳密には生きている限り毎秒どころか毎瞬なにかを感じているはずなんだけど、それらを具に手に取り掌で転がしながら様々な角度から眺め味わうというような、素敵な心の状態じゃなかったからだろう。
なぜか。
そりゃ老いとか慢心とか複合的な理由だと思うけど、要因は、酒気帯びで過ごしていたから、じゃないか。
いつでも感受性豊かな幼児のような状態に憧れるけれども、まあ実際そんなことを自称しているおじさんがいたらちょっと気持ち悪いし、自分には無理だ。
実際ほとんどの日は大雑把なことじゃないと掬い上げられない。
心の機微が歌になるとしたら“微”の部分をキャッチ出来ない。
だから自分の歌は大味になっていく。
サビにすぐ“I LOVE YOU”とか“夢”とか出てくるし。
心がぼんやりしているのが酒気帯びで、ぼんやりさせたくて酒気帯びなんだからこれは仕方がない。
あとは、大味な歌が悪かどうか、そこが問題になってくる。
最近なるべく正直でいることに努めようと思って過ごしているんだけど、そうすると「佐々木さんってネガティヴですね」と言われることありますが、自分ではそういうつもりはないんです。
なぜか。
俺は、大味、いいじゃん、とマジで思っているからである。
八百万の神というなら大雑把さに宿る神もいるはずでしょ。
あ、やばい、神が出て来てしまった。
何の話だったか。
「Beast Mode」だ。
—–
さて2020年と言えばコロナ禍の始まりの年で、冬の終わりのあたりからa flood of circleのスケジュールも次々に白紙になっていったと記憶している。
はあ?って感じだった。
だから緊急事態宣言が発令されてすぐの春、アオキテツと二人で組んだSATETSU名義で『Make Money』というアルバムを作ってリリースした。
全てをGarageBandという無料のAppで作ったアルバム。
古い曲をオンラインで演奏するってこともやったんだけど、それは“つらくってもみんなそれぞれに頑張ろうね”みたいなことであり、自分の中の“はあ?って感じ”は新曲じゃないと表せないと思った。
今聴いてもなかなか変なアルバムだし、すごく良い。
東京に暮らしていて車庫で爆音を鳴らせるのなんてとんでもねー金持ちだけじゃんという意味で、本当のガレージ・ロックなんて有り得ない訳で、かと言ってAppを使って音楽を作るからってインターネットを主戦場にしている作家風の曲じゃ俺たちが作る意味ない訳で、そうなると表題曲「Make Money」なんかはSATETSUなりのガレージバンド・ロックが出来たと思う。
夏が来る頃には、イライラというかイライライライライライライライライラしていた気分を共有できた山中さわおさんと『LOST DOGS E.P.』という作品を作った。
髭の宮川トモユキさんがベース、山口美代子さんがドラムという素晴らしい編成で。
今聴いてもすごく良いし、さわおさんの魂に共作という形で触れられたことははっきり言ってサイコーだった。
さわおさんの曲を聴くだけは分からない何かに触れたんだぜっ、という話じゃなく、さわおさんの曲を聴く時の感動と一緒に作る時の感動が同じ手触りのものでビックリした、という話。
さわおさんって信じられないくらい、いつもさわおさんなのだ。
俺は左左気量助みたいな日もある。
—–
本当にどん底にいるだけなら音楽なんか作らない。
というか立てないし何も出来ない。
だからどれだけネガティヴなことを扱おうとも歌っている時点でポジティヴだ。
—–
そのような二つの作品を作っている間に、a flood of circleも徐々に新曲に取り掛かろうというモードになってきて、9月にリリースしたのが「Beast Mode」。
つまり何となく出来た曲じゃなくて、蓄積したイライライライライ以下略をa flood of circleとして発露させたかったというハナシ。
自分の本懐はa flood of circleだから。
あ、いま、格好つけました。
ちなみにこの曲のミュージックビデオは番場秀一さんのディレクションで、最近の曲”ファスター”も監督してくれたんだけど、両作に通底するものがあるって一目で分かるところに彼の凄みを感じる。
やっぱ爆破ですよね、爆破。
「Beast Mode」はスタンダードなロックンロールというには小賢しく、でもa flood of circleとしてはシンプルな曲である。
キーとなるコードに向かって半音ずつ進むリフを繰り返して、まあサビがあって、そしてイライラしている。
歌詞なんかナシで3分くらい雄叫びを上げているだけの方が本当のビーストモードって感じになりそうなものだけど、あ、でもそれって、ビーストモードっていうかただのビーストじゃん、という感じで叫びに歌詞がついている。
—–
「Beast Mode」をシンプルな曲と感じているのは、自分の得意なことだけで構成しているからだと思う。
リフは単音でB→C→C#と演奏しているんだけど、コードを当てがうとBメジャー→Cディミニッシュセブンス→C#マイナー。
自分はついこのディミニッシュセブンスばっかり使ってしまうのだ。
最初にディミニッシュ的なものに感動したのはおそらく、スピッツの「夢じゃない」のAメロの三つ目に登場するのを聴いて鳥肌が立った時だと思う。
別段珍しいものじゃなくて、もちろん他にもいろんな曲に登場するんだけど。
なぜこればっかり使ってしまうのか。
単に好き、以外の理由を考えると二つ思いつく。
一つは、いつだったかセカイイチの岩崎慧さんにディミニッシュを教えてもらった時の感動があったから。
セカイイチの「あたりまえの空」という曲が好きで、ある弾き語りのライブで慧さんと一緒だった夜、本人にどうやって演奏しているか質問したのだ。
慧さんは丁寧に実演してくれて、曲中に登場するディミニッシュの存在を教えてくてくれた。
「ささっくん、あんな、ここがミソやで」みたいな感じで。
そのことがシンプルに嬉しい思い出として心に残っている。
ディミニッシュって言葉そのものの響きも格好良いし。
ディミニッシュ使ってる俺カッケーと思えた。
それでその当時の新曲だった「コインランドリー・ブルース」という曲にすぐ使ったし、以来お気に入りのコードになったんだと思う。
もう一つは、ある時ウエノコウジさんとセッションする中で「お前のバンドの曲、ディミニッシュ多いよなあ。俺はロックバンドの曲のコードは三つくらいで良いと思ってやってきたよ」と言われたことを覚えているから。
ウエノさんは本当に何気なく言葉をこぼした感じで、決してイヤな説教じゃなかったんだけど、俺は能天気に”じゃあこれがあれば先輩と違うところに行けるってことかも知れない”くらいに思ったんすね。
だからいまだに逆張りで使っているところがあるかも知れない。
—–
とここまで書いていてふと、いや単に、「Beast Mode」のリフってVoidzのパクリじゃんと思い至った。
ジュリアン・カサブランカスのVoidz。
Voidzの曲を速くしただけだわこれ。
すいません。
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新潟でも一生懸命演奏したし、オーディエンスの皆さんからすごくエナジーを感じました。
嘘じゃないっす。
みんな元気でいてほしい。
ありがとう。
──佐々木亮介
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■<a flood of circle Tour 2024-2025>
▼2024年
11月28日(木) 千葉LOOK
11月29日(金) 千葉LOOK
12月06日(金) 堺FANDANGO
12月07日(土) 堺FANDANGO
w/ THE CHINA WIFE MOTORS
▼2025年
01月23日(木) 名古屋CLUB UPSET
02月09日(日) 京都磔磔
02月11日(火祝) 広島SECOND CRUTCH
02月13日(木) 松山Double-u Studio
02月15日(土) 高知X-pt.
02月16日(日) 高松DIME
02月18日(火) 静岡UMBER
03月06日(木) 神戸太陽と虎
03月08日(土) 鹿児島SR HALL
03月09日(日) 大分club SPOT
03月11日(火) 岐阜ants
03月16日(日) 横浜F.A.D
03月20日(木祝) 新潟CLUB RIVERST
03月22日(土) 郡山HIPSHOT JAPAN
03月23日(日) 盛岡CLUB CHANGE WAVE
04月05日(土) 長野J
04月06日(日) 金沢vanvanV4
04月10日(木) 奈良NEVER LAND
04月12日(土) 出雲APOLLO
04月13日(日) 福山Cable
05月09日(金) 仙台MACANA
05月10日(土) 水戸LIGHT HOUSE
05月15日(木) 八戸ROXX
05月16日(金) 八戸ROXX
05月18日(日) 山形ミュージック昭和SESSION
05月23日(金) 岡山PEPPERLAND
05月25日(日) 福岡CB
05月30日(金) 札幌cube garden
05月31日(土) 旭川CASINO DRIVE
06月05日(木) 名古屋CLUB QUATTRO
06月06日(金) 梅田CLUB QUATTRO
06月13日(金) Zepp DiverCity TOKYO
06月21日(土) 沖縄output
