バルサ加入後9度負傷のペドリはなぜ変貌したのか。番記者が明かすシャビ時代とは“真逆”のアプローチ【現地発コラム】

 今シーズンのペドリはこれまで以上に走り、いつも通りのプレーをしている。1試合あたりの走行距離はラ・リーガでトップ5に入り、「いつもラウール(マルティネス:フィジオセラピスト)と一緒に居残りやジムでのトレーニングをしている」とクラブのスタッフが証言する努力の成果があらわれている。

「素晴らしい選手だ。彼のポジションでは世界最高クラスの選手だ。サッカーを心から楽しんでいる」とハンジ・フリック監督も賛辞を惜しまない。

 ここ数年のペドリはサッカーを楽しむことができていなかった。度重なる怪我に悩まされ、2021年夏にバルサに加入して以来、トータルで9度負傷し、そのうち8度は筋肉系のトラブルだった。食事を変え、日々の生活を見直し、さらにはフェラン・トーレスのアドバイスに従って、練習前に冷水浴を行うなどいろいろ試してみたが、効果はなかった。

 重要な転機となったのが、「私がまだ現役だった頃から、フィジカル面の管理から、トレーニングメソッドに至るまで、バルサは常に革新的な試みをするクラブだった。トゥスを招聘するというアイデアは、何か誤りがあったからではなく、進化の速度をさらにアップさせるためだった」とスポーツディレクター(SD)のデコが語るフリオ・トゥスをフィジカルコーチの責任者として迎え入れたクラブのプランだ。

【画像】日本代表を応援する「美女サポーター」を厳選!
 実際、トゥスに最初に与えられた使命はペドリのコンディションを取り戻すことだった。まず手始めに、筋組織を分析してもらうために採取した組織片をアメリカに送られたが、意外な結果が返ってきた。曰く、ペドリは継続的にトレーニングを行わなければならない体質の持ち主というのだ。

 シャビ政権時代にフィジカルコーチを務めていたイバン・トーレスはその真逆のことをしていた。怪我再発防止のため、練習にできるだけ負荷をかけないことに注力していたからだ。

「ペドリは中距離ランナーのような選手と仮定しなければならない。休まず身体を動かすことが彼には必要なんだ」と前出のスタッフは強調する。
 
 かくしてフリオ・トゥスが中心となって、イバン・トーレスとチャビの目の届かないところでのペドリの特別トレーニングがスタートした。EUROでトニ・クロースの激しいタックルで左膝の靭帯を損傷したことで、リハビリも兼ねてその密度はさらに高まり、借りた家の一室をジムに改造して夏のバカンスの間、たゆまず励んだという。

 当のペドリはその効果について、「フィジカル面で、以前よりもさまざまなことができるようになった。良くなっていると感じる」と手応えを口にし、さらにこう続ける。
 
「フリックからの中盤を牽引してほしいという言葉を常に念頭に置きながらプレーしている。バルサのリーダーになることの恐れはない。むしろ励みになる」

 心技体の充実が、ペドリにリーダーとしての自覚を促している。

文●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

【記事】「世界中が注目していなかった」“FIFAランク58位”が悲願のW杯初出場に王手!予想外の快進撃に海外驚嘆「歴史を作るチャンスだ」【アジア予選】

【記事】「代表で見たい」鮮烈2ゴールで“4戦4発”!高校サッカー界のスターだった21歳MFに森保ジャパン入り待望論! 欧州ではFW起用も「本田圭佑と重なる」

【画像】絶世の美女がずらり! C・ロナウドの“元恋人&パートナー”たちを年代順に一挙公開!