アニメでは、ときおり作画の品質が悪く「作画崩壊」と騒がれることがあります。なかには魅力的なヒロインの作画が乱れたことによって、賛否を呼んだ作品も少なくありません。



一部の作画がネタにされていた? TVアニメ『五等分の花嫁』キービジュアル (C)春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁」製作委員会

【画像】目が広がりすぎ… こちらが不憫な顔になってしまった『五等分』ヒロインです(5枚)

「作画崩壊」の波にのまれたヒロインたち

 アニメでは、時折作画の品質が一定以下の水準に落ちてしまい、視聴者から「作画崩壊」が指摘されることがあります。その対象はキャベツなどの野菜から、登場人物の身体のバランスなどさまざまです。なかには、ヒロインの魅力を前面に押し出すようなアニメなのにもかかわらず、作画の乱れで賛否の分かれた作品もありました。

 例えば、2019年に手塚プロダクションの制作で放送された『五等分の花嫁』は、話数によって作画が大きく乱れ、ヒロインの顔に「なんか違う」と感じるファンが少なからずいた作品です。

 同作は主人公「上杉風太郎」と、彼が家庭教師として教える同級生の「中野家」五つ子姉妹のラブコメディ作品です。

 なかでも作画に恵まれなかったのは次女の「中野二乃」です。彼女がメインの話となった第3話は、顔の輪郭と身体のバランスがいびつだったり、目が離れすぎていたりと作画の乱れた場面が目立ちました。

 一方、登場人物がアップで映される場面は、神作画といわれるほど綺麗なときもあります。そのため、制作会社がバイブリーアニメーションスタジオに変更されて「作画の評価が上がった第2期以降よりも、キャラクターデザインや色彩設定は第1期のほうが好み」という視聴者もいるほどです。

 また、2022年放送の『ようこそ実力主義の教室へ』第2期も、序盤を中心に作画崩壊が目立つ作品です。同作はポイント制で生徒の能力が判断される学校を舞台に、最悪の場合は退学になってしまう競争にまみれた学園生活が描かれます。

 当時視聴していた人からは全体的に画面が暗く、主人公「綾小路清隆」を中心に表情の乏しさが指摘されました。特に第2話ではヒロイン「軽井沢恵」の作画だけはバランスを保っていたものの、缶コーヒーがいびつに曲がっている場面がありました。

 また、第4話では「伊吹澪(みお)」の名前のふりがなに「れい」と表示されていたり、「一之瀬帆波」の名字が「一ノ瀬」になっていたりと、登場人物の名前ミスが数か所あります。さらに第6話では徒競走を繰り広げる場面で、ランナーが別のレーンを走る選手を追い越していく際、背中を踏みつけるように重なる作画ミスが話題となりました。

 もっとも序盤が放送されていたときこそ「作画崩壊しすぎ」との声があったものの、綾小路が諸悪の根源を殴り倒す場面など終盤の見せ場は丁寧な作画で描かれています。終わってみれば、序盤の作画崩壊を指摘する声に「全然気にならなかった」「高いものを求めすぎ」と反論する人もいる作品でした。

 そして、2020年に放送の『球詠』も作画に違和感を抱いた視聴者が多かった作品です。主人公「武田詠深」が、幼い頃にキャッチボールで遊んだ「山崎珠姫」と高校で再会し、一緒に女子ソフトボール部の一員として活躍する物語です。

 作画に関してはスポーツ作品だからなのか、女性キャラクターの肩幅が広めでガタイの良さが目立ちます。また、色彩が平坦で陰影が少なく、立体感の弱い場面もあり、メリハリのない印象を受ける人もいるかもしれません。

 しかし、作画が大きく乱れることなく、一歩手前で踏み留まる状況が続いて「作画崩壊しそうでしない感じ」「逆に安定感があるともいえる」といった声があがります。作画に対する指摘のほかには、少女たちが努力と汗にまみれて勝負を繰り広げるスポ根アニメとして高く評価する視聴者もいました。