皆さんには幼少期に観て以来、今もどこかゾッとするようなトラウマとなったアニメ映画はありますか? なかには地上波放送はもちろん、配信にもなく、映画館でもめったに上映されない衝撃作品もあります。
アニメ映画『地下幻燈劇画 少女椿』の原作となった『少女椿』コミックス(青林堂)
【画像】え…っ? 「R指定?」「無修正って何だよ」 こちらがいろんな衝撃アニメ映画です(7枚)
犬好きの人はご注意を
毎年数多く公開されるアニメ映画のなかには、万人向けの名作もあれば、強烈なエログロ描写や絶望的な状況が描かれる衝撃作もあります。国民的シリーズの予想外なほど恐ろしい劇場版や、なかなか観ることができないカルト映画を振り返ります。
『ドラえもん のび太とブリキの迷宮』
1980年より春休みの時期に公開され、多くの観客を動員するアニメ『ドラえもん』の劇場シリーズのなかには、いくつか子供に強い衝撃を与える「トラウマ作品」もありました。
1993年に公開された『ドラえもん のび太とブリキの迷宮(ラビリンス)』もそのひとつで、「ドラえもん」が敵にさらわれ拷問の末に破壊されてしまう展開や、生き物の気配が全くしない「ブリキンホテル」の不穏な雰囲気など、怖い要素が多々あります。
『ドラえもん』といえば、「のび太」がすぐにドラえもんを頼り、「ひみつ道具」で騒動を起こす……という流れが定番です。しかし、本作ではのび太たち4人がひみつ道具なしでドラえもんの救出に向かう必要があり、こちらもなかなか恐ろしい部分です。
また、クライマックスでは黒幕「ナポギストラー一世」がウイルスに感染し、ロボット軍もろともバグを起こした結果「いとまきのうた」を歌って踊りながら機能を停止します。この場面はいまも語り草で、SNSでは「小さいときにTVで観て、やたら怖かった」「少しずつバグが伝わっていって、おかしくなるのも不気味」といった声もあがっていました。
『地下幻燈劇画 少女椿』
アンダーグラウンドな作風のマンガを主に掲載していた雑誌「ガロ」出身の、丸尾末広先生の代表作『少女椿』は、1992年にアニメ映画化されています。
もともとは劇場公開ではなく、イベントでゲリラ興行されていた本作は、地上波放送はもちろんDVD化や配信もされておらず、観る機会も非常に限定的となっています。イベントで上映された際は舞台となる見世物小屋をイメージした装飾のほか、紙吹雪やスモークなどによる演出も施され、参加者からは軒並み好評を得ているようです。
本作は主人公の「みどりちゃん」が見世物小屋に引き取られ、異形の芸人たちに虐げられる展開もあり、強烈なエログロ描写が目立ちます。たとえばみどりが神社でこっそり飼っていた子犬を芸人の「カナブン」が殺すシーンでは、犬を地面に叩きつけたり、踏み潰したりする描写を生々しく描いていました。
さらにカナブンは一座の夕食に犬鍋を振る舞い、かわいがっていた犬であることを察して、みどりが涙を流すと「あんまり美味いんで泣き出したぜ」と煽ります。カナブンのあまりの鬼畜な所業には、「犬好きには確実にトラウマになる」「このほかにもきついシーンあるけど、やっぱりリアル過ぎて子供には絶対見せられない」といった声も出ていました。
『火の鳥 鳳凰編』
手塚治虫先生の代表作のひとつ『火の鳥』は、1986年に「鳳凰編」のアニメ映画が公開されています。
生きるためには人殺しをも辞さない「我王(がおう)」と、仏師として旅をする「茜丸」を中心に、壮大なスケールで人間の生と死を描いた「鳳凰編」は、シリーズのなかでも屈指の名エピソードとして推す人も少なくありません。
理不尽極まりない理由で盗賊に大切な右腕を傷つけられるも、必死の修行を経て彫物師としての才能を開花させた茜丸は、天皇に献上するための彫り物を、みすぼらしい僧と競い合って作るよう命じられます。その僧がかつて自分の腕を傷付けた盗賊「我王」だと知った茜丸は、負けそうになった際に我王の過去の罪を訴え、腕を切り落とすよう願い出ました。
わずか1コマで腕を切り落とされ、我王が呻き声をあげる程度だった原作とは異なり、アニメ映画では切り落とされた右腕が転がる様に加え、傷口から血を流しながら屋敷を後にする我王の姿も、生々しく描かれています。茜丸が、息も絶え絶えの我王の後ろ姿を見てほくそ笑むシーンもショッキングです。
また、茜丸は自らが作った鳳凰像とともに火に囲まれたとき、どこからともなく現れた「火の鳥」から「自分がもうすぐ死に、小さな魚に生まれ変わること」を告げられます。来世も人間を熱望する茜丸に対し、火の鳥が突きつける残酷な事実の数々も、見る者にトラウマを残しかねないシーンです。