創作物、特に昨今はやりの異世界モノや多くのSF作品においては、現実世界の常識や物理法則がそのまま通用しないこともあるというのは大前提でしょう。「ガンダム」作品で、どこまで厳密になるべきか、どこから先はただの野暮か、というお話。
目と角のあいだの黄色い穴が「60mmバルカン」。「U.C.ガンダムBlu-rayライブラリーズ 機動戦士ガンダム」(バンダイナムコフィルムワークス) (C)創通・サンライズ
【画像】出番も描写もほぼナシ! けど超絶火力! こちら幻の「ガンダムの武器」です
「ガトリング」より通じやすい?
あの「60mmバルカン」、つまりは「ホチキス」や「(かつての)ファミコン」みたいなもの、ということのようです。
マグミクスは2025年3月16日、「『ガンダムのアタマのバルカンはバルカンじゃない←せいかい』…何をいっているのか?」と題した記事を配信、これに多数の反響が寄せられました。
記事は『機動戦士ガンダム』に登場する「RX-78-2 ガンダム」の頭部に備わる「60mmバルカン砲」の名称について解説するもので、「バルカン」という名称は本来、米ゼネラル・エレクトリック社によって開発されたM61「バルカン」機関砲を指すものであり、回転式機関砲全体としては「ガトリング」と呼ぶのが正確としています。
これに対し日常会話における誤用の例として、「装甲車も歩兵戦闘車も自走榴弾砲もぜーんぶ『戦車』」「どのゲーム機も『ファミコン』って言ってた母ちゃん」といった事例が挙げられています。
「ホチキス(ステープラー)」「テトラポット(消波ブロック)」など商標が一般名詞化している事例も挙げられ、なかには「ビクターの電子ピアノをエレクトーンと呼んで怒られた」という体験談も見られました。
また「ビームライフル」を挙げつつ、「ビームライフルもライフルの定義を満たしてないので正確にはビームカービン」と、厳密には異なるものであること指摘する声がある一方で、「用語としては誤っていても、言わんとすることは伝わっている」という意見も多く見られます。
記事においても、「バズーカ(ロケットランチャー)」と同様に「バルカン」が一般化していることに触れつつ、「過去の兵器の名声にあやかって同じ名前を襲名した」という解釈を述べ、「ガンダムの『バルカン』『バズーカ』は、厳密には『バルカン』『バズーカ』ではありませんが、それを気にしすぎるのも野暮な話かもしれません」としています。これには「未来の物語なんだから呼び方が変わっていくとかもありますからね」といった、多くの好意的な意見が見られました。
総じて、名称や用語の正確さよりも、わかりやすさを重視する声のほうが大きかったようです。つっこみすぎるのも野暮、というのは、ほかの作品にもいえることで、創作物を楽しむうえでのひとつのたしなみ、ともいえるでしょう。