
東京の食の魅力発信2025実行委員会および東京都は、メディア関係者向けに東京の多彩な食の魅力を体験してもらうプレゼンテーション・イベント「東京の多彩な食と心を紐解く旅」を、2025年3月に都内で開催しました。予約の取れない人気店などの有名シェフたちが、【江戸】〜【現代】〜【未来】を表現した料理を順番に提供。目の前でシェフ自らがプレゼンテーション!その興奮のライブキッチンの様子をレポート。
ミシュランガイド掲載店や予約満席店など、そうそうたる顔ぶれ
左からサヘル・ローズさん、野村祐介シェフ、中山幸三シェフ、入江瑛起シェフ

今回のイベント全体を監修し、【未来】の料理を担当されたのは「ミシュランガイド東京2025」に2部門で選出されて注目を浴びる「精進料理 醍醐」(東京・神谷町)のオーナーシェフ 野村祐介氏。パリ2024パラリンピック競技大会パラ応援大使も務められ、東京観光大使であります。
鰆や鯛、昆布、鰹節、サバ節などイベントで使われた食材も展示されていた

そして【江戸】の料理を担当されたのは、日本料理「幸せ三昧」(東京・恵比寿)の店主 中山幸三氏、【現代】を担当されたのは会員制ラーメン会席「GENEI.WAGAN」 (ゲンエイワガン) (東京・恵比寿)のオーナーシェフ 入江瑛起氏。冒頭のトークセッションでは、日本文化に精通する俳優のサヘル・ローズさんも海外出身プレゼンターとして登壇されました。
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「青寄せ」や「煎り酒」など、伝統的な和の調理技法も実演
東京都港区で醸される「江戸開城」 (東京港醸造)が会場で振る舞われた

まずは【江戸の多彩性プレゼンテーション】。
「幸せ三昧」の中山氏は、1974年、東京都生まれ。27歳のときに「賛否両論」店主である笠原将弘氏と出会い、グラフィックデザイナーから料理人へ転身。笠原氏の一番弟子として「とり将」で修業し、2004年の「賛否両論」開店時から店をもり立てられました。2009年に独立し、現在に至ります。
中山シェフのプレゼンテーションで一番盛り上がったのは、シェフが手のひらに木の芽を乗せて、ポン!とたたくシーン。
手のひらに木の芽を乗せて、ポン!とたたくと会場からは歓声がわいた

「このようにして空気の圧を加えると、木の芽から爽やかな香りが出てくるのです。手のひらでつぶすのではなく、おにぎりを握るように手のひらを丸くするのがポイント」と中山シェフ。記者たちの手にも木の芽が配られ、会場にはポン!ポン!と音が鳴り響きます。
木の芽にほうれん草を加えて「青寄せ」する様子も実演

「筍の木の芽味噌和え」を味わうと、旬の筍がとても風味が豊か。先ほどの木の芽と白味噌、みりん、卵黄などをすりつぶした、美しい緑色の味噌だれが筍に和えてあります。木の芽の味噌だれにほうれん草を加えた「青寄せ」の技法で、鮮やかな彩りに工夫。
左が筍の木の芽味噌和え、奥が桜鯛の昆布締めと煎り酒、右が鰆の幽庵焼き。

春らしい食材といえば桜鯛。昆布・梅干し・酒・鰹節を煮たせて作った「煎り酒」を醤油代わりに、刺身に付けて味わいます。そして柚子を利かせた醤油だれで香ばく焼き上げた、鰆の幽庵焼き。これには東京の水道水を使って醸された日本酒「江戸開城」が絶妙にマッチ。
サワラは春の魚と書く、筍は竹が旬な時だけ採れるもの。

鰆(サワラは春の魚)、筍(竹が旬な時だけ採れるもの)といった漢字の解説には、外国人記者たちが一斉に納得してうなずきました。いかに日本人が四季折々を愛し、旬の食を探求してきたのかが、これらの漢字からも読み取れました。