
自動車メーカーのアストンマーティンは、同社の名前を関するF1チームの一部株式を売却する計画を発表した。
今回アストンマーティンが発表したのは、業績の落ち込んでいるアストンマーティン本社の立て直しに関係した計画だ。同社は資金確保のため、F1チームの株式を7400万ポンド(約143億円)で売却する予定だ。
同時に、アストンマーティン会長のローレンス・ストロールが率いるアストンマーティン主要株主のユーツリー・コンソーシアムが、同社へ約5150万ポンド(約100億円)を投じ同社の持株比率をこれまでの27%から、約33%へと増加させる予定にもなっている。
このふたつの計画によって、グループの流動資産は1億2500万ポンド(約241億7000万円)以上増加することになるという。
なおローレンス・ストロールはアストンマーティンの企業価値が著しく過小評価されているとも考えており、非公開化の可能性も否定しなかった。彼はBloombergに次のように語った。
「会社は著しく過小評価されており、株式市場における6億5000万ポンド(約1258億円)という評価額は冗談だ」
「将来的に(株式の非公開化は)あるか? 可能性としてはイエスだ。ありえないとは言わない。では今後2週間でやろうとしているのか?となればノーだ。だが、ありえないとは言わない」
今回のアストンマーティン/ローレンス・ストロールは、今回F1チームの株式を売却することについて、むしろチームをグリッド上位へ押し上げるための助けとなる、アクティブな投資家を惹きつけることができると確信している。
なお誰に売却するかは、「慎重になる可能性がある」とローレンス・ストロールは認めた。
F1チームの株は、スポーツに特化したプライベートエクイティ企業であるアークトス・パートナーズのような投資家を惹きつけており、同社は2023年にF1チームの少数株式を取得。これによって、チームの価値は18億ポンド(約3484億円)となった。
アストンマーティンF1にとって最もエキサイティングなのは、現代最高のF1マシンデザイナーと広く認められているエイドリアン・ニューウェイを獲得したことだ。レッドブルで20年近く働いてきた彼は、今年からアストンマーティンに加入し、既に2026年に向けた取り組みをスタートさせている。
その他にもアストンマーティンは新ファクトリーや風洞の設立したり、フェラーリやメルセデスといったライバルチームから優秀な人材を引き入れたりと、強力なチームの構築を進めている。
またローレンス・ストロールのアストンマーティンとF1への情熱は疑いようがない。彼は2020年にこのメーカーを救って以来、6億ポンド(約1161億円)以上を投資しているが、はっきり言ってしまえばもっと利益の出る投資分野は他にもたくさんあるし、実際彼はファッション分野で大金を稼いできているのだ。
なおアストンマーティン・ラゴンダのCEOであるエイドリアン・ホールマークは、この計画について次のようにコメントした。
「ローレンスと彼のユーツリー・コンソーシアムからの新たな支援は、彼らが我が社のチームと、会社の将来に大きな信頼を寄せていることの表れだ。バランスシートを強化することで、この投資が将来の製品開発とビジネスの変革に向けた取り組みを強化するためのさらなる柔軟性を我々にもたらしてくれるだろう」