
2024年2月フィンランドのラウカーで毎年開催されている<ジョン・スミス・ロック・フェスティヴァル>のSNSにメンバーが秘密のベールに包まれたCemetery Skylineなるバンドの出演が発表になった。いろいろな憶測が飛んだあと3月末についにそのメンバーが公表になった。こちらがそのメンバーだ。
・ミカエル・スタンネ(Dark Tranquillity、The Halo Effect):ボーカル
・マルクス・ヴァンハラ(Insomnium、Omnium Gatherum):ギター
・サンテリ・カッリオ(Amorphis):キーボード
・ヴィクター・ブラント(Dimmu Borgir、Witchery):ベース
・ヴェサ・ランタ(Sentenced):ドラム
発表になったメンバーをみて、てっきりメロデス系のバンドかと思っていたところ、シングルがリリースになって聴いてみたら意外なことになんとゴシックロックではないか。2024年秋にリリースになったデビューアルバム『Nordic Gothic』はフィンランドのオフィシャル・フィジカルアルバムチャート1位、デジタルとの総合チャート3位と好調なスタートをきった。私の昨年度のお気に入りのアルバムの一つでもある。
彼らは2025年3月に待望のフィンランドツアーを行い、全4公演すべてソールドアウトという人気ぶりだ。

このツアー初日ヘルシンキの有名クラブTavastia公演の前にギタリストのマルクス・ヴァンハラが会場のバックステージでインタビューに応じてくれた。バンド結成のいきさつや、このバンドでの初めてのライブについて、大好きで自分でも作るという寿司についてまでいろいろ話してくれた。
──今日ソールドアウトのヘルシンキTavastia公演を皮切りにフィンランドツアーがスタートしますが、今の気分は?
マルクス:驚くほどいいよ。なぜなら新しいバンドで、俺達これまでに去年1度だけ<ジョン・スミス・ロック・フェスティヴァル>でライブしたことがあるだけで、今夜のライブはこのバンド初めてのクラブ公演。しかもレジェンドなクラブTavastiaでソールドアウトだし、すべての面でスペシャルだ。とても素晴らしい。
──今回のフィンランドツアー4公演あり、今のところその内3公演がソールドアウトになってますよね。
マルクス:そうなんだ。最後のラハティ公演もソールドアウトに近いとこまで今売れててどうなるかな(このあとソールドアウトに)。このバンドを始めた当初はその後のことは特に予想もつかなかったんだ。友達グループでこれまでやったことのないことを始めてみたんだけど、素晴らしく受け入れられたよ。
──さっきも少し話に出ましたが、昨年夏フィンランドのラウカーで開催された<ジョン・スミス・ロックフェスティヴァル>出演がこれまでの唯一のライブだったのですよね?
マルクス:そうなんだ。ミスター・ジョン・スミス・ロック・フェスティヴァルことヨンネ(主催者)に感謝しかない。最初はこのメンバーで音楽を作り始めただけで、ライブをやるかどうかまではわからなかった。これまでの人生の中で好きだった音楽を一緒にやってみるってのが主なポイントだったんだ。ところがヨンネから<ジョン・スミス>に新バンドで出演しろよと言われてしばらく迷ったものの出演したら、すべてがとてもうまくいって素晴らしかった。なのでライブもやろうってことになった。ただメンバーそれぞれ自分のバンドがあるから、スケジュールを合わせるのがちょっとばかり難しかったりはあるけど、驚くほど今年の夏フェスなど出演がすでに決まってきてる。
──ところでこのバンドを結成したのはあなただったんですよね?当初はCradle of FilthやAt the Gatesなどで知られるエイドリアン・アーランドソンがドラマーだったと聞きましたが、すべてはどうやって始まったのですか?
マルクス:一番最初から話すと、カリブ海の<70000 Tons of Metalクルーズ>にOmnium Gatherumで出演した時だったかな。エイドリアンはAt the Gatesでクルーズ船にいたんだけど、バーに彼がいて力強くハグしてきて「俺たちは新バンドを結成する必要がある」と言われたんだ。笑いながら「わかった。のるよ。で、どんな音楽を?」ときいたら「ゴシックだ!」と言われた。自分もSisters of MercyやType O Negative、The Mission、Killing Jokeなんか好きだし、じゃそういうのやろうかってことになったんだけど、世界的なパンデミックがやってきてすべてが停止した。だけど曲をいくつも作るのにそれは俺たちにとってはちょうどよかった。そんな感じでこのバンドがスタートして、メンバーに友達を呼んだ。
──2024年にこのバンドのニュースを<ジョン・スミス・ロック・フェスティヴァル>の投稿で見かけて、最初はデスメタルバンドかと思っていたところ曲を聴いたらなんとゴシックロックではないか!とかなりびっくりしました。
マルクス:このバンドの発表を楽しくやりたいと思い、まず<ジョン・スミス・ロック・フェスティヴァル>が世界ではじめて当時このまだ誰も名前さえ聞いたことないバンドを発表することにして、Cemetery Skylineとバンド名だけが入った画像を最初に公開し、みんなにこれはどんなバンドだ?と予想させたらHIMのカムバックではないか?とかデスメタル?とかSentencedがカムバック?とかいろいろな予想が出て横からみてて面白かった。そういう反応を期待してもいたんだ。そして少しづつメンバーのラインナップを発表していったら、当然みんなこのメンバーならメロディアスデスメタルと思ったようだが、それは最もやりたくなかった(笑)。なぜなら俺はすでに2つのメロデスバンドやってるし、ミカエルもThe Halo EffectとDark Tranquillityの2つのメロデスバンドやってて、俺達にはこれ以上新たなメロデスバンドは必要なかったから、メンバーみんなが好きなゴシックロックで俺たちの違った面を披露することが出来たのは素晴らしい。最初の曲をリリースした時、想像してたのと違って皆ちょっと面食らったようだ。
──曲を聴いてミカエル・スタンネのクリーンヴォイスの歌声に魅了されました。彼の他のバンドとは違うスタイルのヴォーカルですが、彼はクリーンヴォイスで歌うことにすぐ興味を示しましたか?
マルクス:あぁ、すぐ興味持った。最初まずサンテリと純真に奥深く感情を表現できるゴスシンガーが必要だと話してて、ヴィッレ・ヴァロ(HIM)をこのバンドに呼ぶのは多分無理だろう(笑)ってことで、すぐにシンガーが浮かばなかったんだけど、たまたまDark Tranquillityのアルバム『Moment』を家で聴いてたら、ミカエルは20年来の良い友達で何度も一緒にツアーやったことあるし、突然稲妻にうたれたようにはっきり彼が頭に思い浮かんだんだ。彼らのアルバムにはクリーン・ヴォイスの曲は少ないんだけど、彼の声は息をのむほど素晴らしくて彼だ!と思い、他のメンバーに話したらいいアイデアだってことで、ミカエルにメッセージを送ったんだ。こういう感じのこういう曲を俺達作ったりしてるんだけど、興味あるか?って。そしたらもちろん興味あるって即返事が返ってきた。これもちょうどパンデミックで世界がストップしてたってのもあって、皆退屈してた時だったのもあるし。今ミカエルはすごく忙しくて、今だったら無理だったかもしれないと思うとラッキーだったよ。
──このアルバムはリモートで作ったと聞いたのですが、初めてバンドメンバーみんなが集まったのはいつだったのですか?
マルクス:そうなんだ。アルバムはリモートでレコーディングした。ミカエルはスウェーデンでレコーディングして、ヴィクターはフィンランドでした。みんな違うスタジオでレコーディングしたんだけど、俺はヴェサのドラム、ヴィクターのベース、サンテリのキーボードどれも一緒にいて、小さなグループでレコーディングした。とはいえ、みんなそれまでにそれぞれ会ったことはあったんだが、5人が一緒に一番最初に会ったのは「Violent Storm」のMVを撮影した時だった。正確には撮影場所の墓地に到着した時に初めてメンバーが一堂に集まった。実際に皆が顔を合わせたってことでスペシャルなMVでもあるよ。人によっては一見中年の男が墓地を歩いてるだけのつまらないMVに見えるかもしれないけど、アイデアは墓地に集まって一緒に歩いて出て行く。ハローハロー!ワールド!墓地(セメタリ―)からってね。
──2024年夏のバンド初めてのライブ、<ジョン・スミス・ロック・フェスティヴァル>出演前に充分リハーサルする時間はありましたか?
マルクス:あぁ。フェス出演前に3日間リハーサルした。その前は1度も皆が集まって一緒に演奏したことなかったんだ。それでフェス出演4日前にどうなることかと皆ちょっと緊張した。レコ―デングでは編集できるけど、生ライブはそうはいかない。ところが始めたとたんとてもうまく行った。かなりタイトなスケジュールだったんだけど、幸いすぐにうまくいき3日間リハーサルした。その後のリハーサルは昨日だったよ。今この後ライブでうまくいくかどうか少しばかり緊張している。

──今日のライブが2024年夏の<ジョン・スミス・ロック・フェスティヴァル>に続く2度目のライブになるんですよね?
マルクス:そうなんだ。半年ほどクリエイティブな休憩が入ったよ(笑)。
──さっきも話に少し出ましたが、メンバー皆他のバンドで長年ライブをやってきてますが、このバンドでの初めてのライブはやはり緊張しましたか?
マルクス:もちろん緊張した。緊張すべきでもあると思うし。音楽にはそういう緊張があるべきだと思う。それは純真な、なんていうか健康的な緊張で、とても素晴らしくもある感じ。なんかこう下っ腹にくるような緊張は久しく経験してなかったが、とってもクールなフィーリングだ。特にミカエルは完全にパニックになっていた。なぜなら彼にとってすべての曲をクリーンヴォイスで歌う初めてのライブだったからね。彼はこれまでライブで続けて2曲でさえクリーンヴォイスで歌ったことがなかったんだ。そのあとミカエルとサンテリと一緒にニューヨークのソニーの事務所を訪れて、アコースティックライブをやった。それはアルバムが発売になる週にソニーで働いてる人達だけのためのライブだった。ニューヨークのメタルの聖地、メタルバーDuff’sでアルバム先行リスニングパーティとCemetery Skylineアルバムリリースパーティがありそこでもやったんだ。それもとても緊張した。普通のライブを1回だけやった後アコースティックライブをやることになったんだけど、アコースティックの曲というのは余分なものを脱ぎ捨ててあらわになりヘヴィなライブより難しい。なぜならすべての音が完璧でなければいけない。そこでまたミカエルが一番緊張した。彼はアコースティックライブをしたことがなかったんだ。今日のライブは俺達Cemetery Skylineのメンバーがそれほどひどく緊張しない初めてのライブかもしれない。なぜなら普通のライブはこれまでに1度やってるし。まぁ全く緊張しないってことはないけど、1回目ほどの緊張はないよ。
──このバンドを結成した時点ではライブをするかどうかははっきりしてなかったんですよね?
マルクス:ライブ予定はなかったし、最初はセラピーでちょっと違った音楽をやってみようってことで、アルバムを作ることも特に考えてなかったんだ。1990年代に俺たちが好きだった音楽を友達と楽しくやろうって感じで。曲作りがかなり進んだ頃、これはいいんじゃないかってことになり、デモを作ってレコード会社5社に送ってみたところ、数日後すべてのレコ社から良い返事が返ってきて、他のバンドでもなじみでうまくいってるセンチュリー・メディア・レコード / ソニーと契約することにした。そのあとで偶然にもライブをやることになり、2025年はすでに20公演ほど決まっていて、アメリカのフェス出演も決まっている。他にトルコ、マルタ、ハンガリー、スイス、メキシコとコロンビアもあったかな。
──2024年の初めてのライブでシンディ・ローパーの「I Drove All Night」を演奏しましたよね。最近この曲がデジタルでもリリースになりましたが、個人的にこのゴシックヴァージョンすごく気に入っています。この曲をカヴァーしようというのは誰のアイデアだったのですか?
マルクス:それは俺のアイデアだった。なじみの曲でずっと好きな曲だったんだけど、俺たちの世界にとてもうまくあてはめることができると思った。そして夜のドライブ!俺もドライブ好きで、夜はゴシックに関連するし、趣味で古い車が好きで夜のドライブも好きなんだ。そこに深くベースとなるものがあった。この曲には面白いストーリーがあって、ロイ・オービソンが書いた曲なんだけど、彼は亡くなり、最初にこの曲をリリースしたのがシンディ・ローパーだった。その後ロイ・オービソンのがリリースになり、さらにセリーヌ・ディオンもこの曲をリリースした。そしてその後に俺たちがこの曲をリリース。どのヴァージョンもそれぞれ違っている。
──個人的にはロイ・オービソンのヴァージョンはあまりなじみがなくて、シンディ・ローパーのヴァージョンがなじみで好きでした。
マルクス:もし聞かれたら俺もシンディ・ローパーのヴァージョンが一番好きだ。俺たちのこの曲のMVもうまくできあがったと思う。ニューヨークで撮影したんだが、MVの初めに見える映像はニューヨークの墓地で、セメタリ―(墓地)の背景にマンハッタンの高層ビルがみえて、俺たちのバンドCemetery Skylineがうまく表現されていると思うよ。女性が墓地から霊柩車で夜の街をオールナイトで夜通し走るってアイデアだ。Type O Negativeのピーター・スティールの行きつけのバーDuff’s がでてきたり、そういう細かいゴシックに関することが隠されてたりするよ。
──あなたたちのデビューアルバム『Nordic Gothic』にメンバーの他のバンド用に書かれた曲が収録されていたりしますか?
マルクス:それはないな。すべてこのバンド用に書かれた曲だ。自分のは2020年以降短期間でこのバンド用に書きあげたものだ。「In Darkness」は何年か前にサンテリが書いた昔の曲だったかもしれない。でもそれはどのバンド用に書き上げた曲とかではなくて、すでに書き上げていた中にあった曲だ。InsomniumやOmnium Gatherumに書いた曲は入ってない(笑)。Semetery Skyline用に作った曲だ。
──次のアルバムの構想はすでにありますか?
マルクス:あぁ、あるが、まずは『Nordic Gothic』のセッションで未発表曲もあるし、アコースティックヴァージョンもあるし、リミックスヴァージョンもリリース予定だ。現時点ではそういうリリース予定がある感じだけど、自分はすでに次のアルバムの曲作りを始めてて、すでに出来上がってる曲もあるんだ。次のアルバムは最初のアルバムより良いものでなくてはならないし、急いでるわけではなく完璧なものが出来上がったらリリースになるよ。
──あなたのバンドOmnium Gatherumは2024年秋に来日してて、ミカエルはこの前Dark Tranquillityで来日、あなたのもう一つのバンドInsomniumは5月に来日が決まっていますね。Cemetery Skylineの方も国外公演にむけてブッキング・エージェンシーNMC Liveと契約したニュースを見かけましたが、来日を期待してもいいでしょうか?
マルクス:それは俺たちの願いでもあって実現できたらと思っている。来日についてブッキング・エージェンシーと話もしてるんだけど、メンバーそれぞれいろんなバンドやってるからスケジュール調整が難しくて、近い将来は無理かもしれないけど、もうちょっと先に予定して実現できることを願っている。来日したいって願いは俺達みんな強く持っているよ。
──あなたはこれまでに何回日本に行きましたか?何か特に思い出に残っていることはありますか?
マルクス:1、2、3、、、、8回ぐらいかな。東京はクレイジーな都市で毎回楽しかったよ。大阪のロックロックは素晴らしいバーだ。ライブの思い出で最高だったのはOmnium Gatherumで2013年東京STUDIO COASTでNightwishのオープニングアクトを務めた時、3千人ほどのとっても熱狂的な日本のファンが来てくれて、あれは素晴らしい思い出だ。日本はいつ行っても素晴らしいよ。他にもフィンランドとはちょっと世界が違ったりですべてがとても興味深かった。トイレの便器さえも(笑)。いろいろ機能がついててフィンランドにもあるべきだよ。個人的に日本食もとても好きで、先週の週末、土曜に家で日本食イブニングをして、自分で寿司を作った。寿司が大好きで寿司については厳しいんだ。もう何年も寿司の作り方を勉強してて、自分でいうのもなんだけどうまくできるようになったと思うよ。
──では寿司のネタで好きなのは?
マルクス:サーモンの表面を炙り焼きしてわさびをいれたニギリ。巻きずしにも色々入れて巻いてる。ソーセージとか。
──ソーセージは斬新ですね。フィンランドで時々見かける苺とかキウイがのったニギリはいけますか?
マルクス:フィンランドの寿司ビュッフェで見たことあるけど、あれはどちらかというとデザートみたいで寿司とは言えない。俺は伝統的な寿司の方が好きだな。魚やえび、きゅうりやアボカドとか。ちょっとゴマをふったり。
──今年初め、あなたの他のバンドInsomniumとOmnium Gatherum が一緒にフィンランドツアーをしてましたね。
マルクス:あぁ、してた。その前にその2バンドでアメリカツアーがあって、ヨーロッパツアーもあった。俺は一晩に2公演出演してたよ(笑)。
──ふと気がついたんですが、今年の夏ヘルシンキで開催される<Tuskaメタルフェス>にCemetery Skylineが出演する日にInsomniumとミカエルのバンドThe Halo Effectが出演しますよね。
マルクス:同じステージに3バンド続けて出るんだ。まるで俺たちのためのステージみたいだよ(笑)。
──これにもう1バンド自分のバンドがでて、同じ日または同じ夜に3バンドで出演はありえますか?
マルクス:3バンド続けて出演はないことを願う(笑)。同じ日に2バンド出演ってのもすごく楽しめるってわけでもないんだけど、今日は久しぶりに一バンドだけの出演だから、1バンドに集中できてこのほうがだんぜんいいな。
──一晩に2バンドに出演の場合はなにか少し変えているのですか?
マルクス:思考を変えて違う感じにしたり、あと違うギターでチューニングを変えたり、Omniumでは白い靴でInsomniumでは黒い靴だったり(笑)、小さな点で衣装を変えたりもある。そうして頭の中を別のモードに切り替えるんだ。全く同じ格好で同じ思考で出演するのはファンに対して悪いと思うんだ。ギタリストは同じだけどバンドは違うからね。
──最後にBARKSの読者にメッセージをもらえますか?
マルクス:ハロー・ジャパン&BARKSの読者のみんな!Cemetery Skylineのマルクス・ヴァンハラだ。もしまだ俺たちのニューアルバム『Nordic Gothic』と最新のシングルとMV「I Drove All Night」チェックしてなかったら、すぐにチェックしてくれることを願うよ。俺達日本で会えることも願っている。元気でね。
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この日は平日にしてはドアオープンが午後8時と遅く、まずはThe Eternalがオープニングアクトを務めた後、9時45分すぎぐらいに会場に流れていたBGMがとまりいよいよCemetery Skylineの登場だ。まずはドラマーのヴェサがステージに現れドラムの位置に座ると観客の手拍子が始まった。ナレーション付きの「Behind the Lie」のイントロが流れしばらくするとステージにマルクス、サンテリ、ヴィクターが登場し歓声が上がる。最後にボーカルのミカエルがスキップしながら登場!

アルバムをまだ1枚しかリリースしてないので、セットリストはそのアルバムから全曲とシンディ・ローパー/ロイ・オービソンのカヴァー「I Drove All Night」という構成だった。その中で「When Silence Speaks」と「Together Alone」はこの日ライブデビューとなった。

アンコールでステージに戻ってきた時「Violent Storm」に入る前のイントロが長いなと思ったら、修道院の教会の鐘の音をメロディにしたという古いカレリアの民謡「Konevitsan kirkonkellot」(コネヴィッサン キルコンケッロト)だったようだ。フィンランド人にはなじみの民謡のようで、ヴェサがいたバンドSentencedが2002年にリリースしたアルバム「The Cold White Light」 のオープニングトラックにインストゥルメンタルで収録されている。そのSentencedヴァージョンをカヴァーして披露したようだ。

ダークなゴシックなサウンドとメロディアスなメロディーが重なり合う。特にキーボードが入るとメロディアス感が増すように感じる。そしてミカエルのクリーンヴォイスが心地よく心に響き渡る。ゴシックな世界に酔いしれたあっという間の1時間だった。


<Cemetery Skyline:ヘルシンキ Tavastia 2025/3/19>
1. Behind the Lie
2. The Darkest Night
3. Anomalie
4. The Coldest Heart
5. Never Look Back
6. When Silence Speaks
7. Torn Away
8. I Drove All Night
9. In Darkness
10. Alone Together
~アンコール~
11. Konevitsan kirkonkellot
12. Violent Storm
ライブ後ふと会場内のホール横のバーがあるロビーをみたら、ライブ終わってご機嫌そうなミカエルがでてきててファンと話したりツーショット撮ったりニコニコ対応していた。フィンランドのライブハウスでは出演バンドがライブ後普通に出てきてファンと話したりの光景はよく見かけるものの、ソールドアウトのTavastiaでボーカルが出てきてファンサービスはちょっとびっくりだったけど、この機会にこの日のライブのお礼と来日実現を祈ってることを伝えることができてラッキーだった。メンバーのスケジュール調整がうまくできて来日が実現することを祈っておこう。余談だけど「Torn Away」のMVにも登場してるバンド名入りの缶ビール、会場で飲めたものの、ライブ後は売り切れでした。
Live photo by Jaakko Manninen
文:Hiromi Usenius