「一貫して強力なパフォーマンスの成果」レッドブル昇格を果たした角田裕毅の凱旋レースにF1公式サイトも大注目! 一方で「厳しい状況」への指摘も

 F1はトリプルヘッダーに突入し、今週末にはその初戦となる日本グランプリが開幕するが、レッドブル昇格を果たした角田裕毅はこのホームレースで新天地デビューを飾ることになる。

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 これにはF1公式サイト『F1.com』も注目し、「日本GPを前に、我々が楽しみにしている5つのストーリー」と題した記事で鈴鹿サーキットでの注目ポイントを挙げているが、そのトップに角田を取り上げ、「彼はF1でキャリア5年目にしてレッドブルでレースをするチャンスを得た。これは、彼の一貫して強力なパフォーマンスの成果である」と称賛し、「このレッドブルの決定は、彼のホームレースである日本GPに対する興奮と関心を大いに高めている」と伝えている。
  続けて、「とはいえ、角田が易しいタスクに直面しているわけでないのは確かだ。開幕2戦でリアム・ローソンが、さらに昨季までのセルジオ・ペレスが味わったように、現在のレッドブルの車は非常にコントロールが難しい。チーム代表のクリスチャン・ホーナーは角田のマシン開発における経験の重要性を強調するが、王者マックス・フェルスタッペンですらしばしばペースを落としていることからも、状況の厳しさが窺える」と、日本人ドライバーに試練が待ち受けていると指摘する。

 そのうえで、「第2戦の中国GPでは、フェルスタッペンが最終スティントで非常に競争力のあるドライビングを見せており、その改善からはポジティブな要素を見出すこともできた。したがって、角田もこの週末、鈴鹿で圧倒的な声援を受けながら、可能な限り早く『RB21』に適応してペースを上げていくことを目指すだろう」とポジティブな点も挙げながら、彼のリスタートに期待を寄せた。

 同メディアに寄稿したジャーナリストのローレンス・バレット氏は「角田にとっては、操縦が難しい車を一度もドライブする機会がないまま、シーズン途中で突如トップチームへ昇格するという厳しい状況だが、彼はすでにF1で100戦近い経験を積んでおり、今季は勢いもある。開幕2戦ですでに良い成績(予選)を残している他、鈴鹿ではポイント獲得の経験があり、またF1デビュー戦でも同様の結果を残している」とポジティブかつ楽観的な見解を示している。

 しかし同氏は、「もし彼が結果を残せば、来季のシートを確保できる可能性は高いが、ローソンが復帰したレーシングブルズで圧倒的なパフォーマンスを見せ、レッドブルに再昇格を納得させるほどの活躍をすれば話は別だ。今、角田に求められているのは、過去に多くのドライバーが苦戦してきたような状況で、首脳陣に強い印象を与えられるかどうか。それを証明するのは彼次第だ」とも指摘しており、角田がトップドライバーへの足掛かりを掴んだ一方で、今なお生き残りを懸けた状況にあることも強調した。
  英国のF1専門サイト『GPFANS』も、角田がポテンシャルの高かったレーシングブルズの「VCARB02」から、これよりも遅いのではないかと一部で囁かれているRB21に乗り換えることに懸念を示しており、「このことは、彼が今後数週間から数か月の間に直面する可能性のある問題を浮き彫りにしている。RB21が噂通り本当に扱いにくいなら、レッドブルは彼のキャリアを終わらせてしまう危険性があるのではないか?」と綴っている。
  同メディアは、レッドブルが判断を早まったとして、これによって彼らも、ドライバーも追い込まれる状況に陥ったとの見解を示したが、当の角田自身はシミュレーターでの印象からRB21の操縦性について「さほど違和感を覚えなかった」と明かしているという(英国のF1専門サイト『PLANETF1.COM』より)。いずれにせよ彼がチャンスと試練の両方を迎えたのは間違いなく、これにどう対応していくのかが非常に興味深い。

 F1コメンテーターのアレックス・ジャック氏は『F1.com』で、「この週末は、角田のF1キャリアの功績を称える瞬間として幕を開けるだろう。家族と母国を素晴らしく代表してきた男への正当な報酬だ。(中略)F1の歴史の中で、日本人ドライバーが2位以内に入ったことは一度もないが、もし角田がRB21のポテンシャルを上手く引き出せれば、モータースポーツの歴史に刻まれる瞬間が生まれるだろう」と綴っているが、レッドブルのレーシングスーツに身を包んだ24歳の鈴鹿凱旋を、期待を持って見守りたい。

構成●THE DIGEST編集部

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