レッドブルの支配が崩れた瞬間……マクラーレンのブラウンCEO「2024年のゴタゴタで絶対的なアドバンテージ得た」

 マクラーレン・レーシングのザク・ブラウンCEOは、2024年初頭にレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表が関わったメールスキャンダルの調査中、最大の批判者のひとりだった。

 ブラウンは、マクラーレンが20年以上ぶりのコンストラクターズタイトル獲得に向けたシーズンを始めるにあたって、ライバルチームの「不安定さ」を利用したと語った。

「我々のスポーツは、おそらく他のスポーツよりも非情に競争が激しく、かつ政治的な側面を持っている」

 ブラウンは『TechStuff』のポッドキャストで語り、ホーナーの騒動でマクラーレンが「絶対に」「予期せぬアドバンテージ」を得たと指摘した。

「目標は可能な限り速くなることだが、競争相手を不安定にさせる戦略もある。それはF1に限ったことではないが、ここでは特に顕著だ」

「従業員やドライバー、スポンサーの争奪戦が絶えず、メディアの注目度も大きな役割を果たす。もしライバルチームを不安定にさせることができれば……それが常に自分たちに有利に働くとは限らないが、我々がスピードアップに集中している間にライバルチームのペースを落とすことができるだろう」

 ホーナーは昨年2月、同僚の女性スタッフに対する不適切な行為の疑いで調査を受けていた。当時、ブラウンCEOは調査中の透明性の重要性と疑惑の深刻さについて率直に語っていた。

「彼らは迅速に対処する必要がある。というのも、このような見出しはF1が望んでいるものでも、必要としているものでもないからだ」

「マクラーレンは、マクラーレン自身、そしてマクラーレンで働くすべての男女に最高の基準を課している。もちろん、多様性と平等性、包括性は我々にとっても、我々のパートナーにとっても、F1のすべての人にとっても、非常に重要なことだ」

 ホーナー代表は1ヵ月も経たないうちに外部の弁護士の調査によって潔白だと判断されたが、ブラウンや他のチームボス数人はレッドブルの対応に批判的だった。

「声明を読んだが、私が見た限りでは多くの噂や憶測、疑問が続いている」とブラウンは当時語っている。

「私は公認団体(FIA)にはこのスポーツ、ファン、そしてF1に関わるすべての人々に対する責任と権限があり、彼らには物事が完全に透明化されていることを確認する必要があると思う」

 ライバルのゴタゴタを利用するというのもF1では立派な戦略。コース上でもパフォーマンスを引き上げたマクラーレンは、1998年以来となるコンストラクターズチャンピオンを獲得し、レッドブルはシーズン序盤の勢いを失い、ランキング3位に終わった。