今年の川崎は強いぞ! 気がつけば3位まで浮上、長谷部監督が磨いた“新フロンターレ”に期待感が膨らむ

 いつの間にその順位に? 川崎フロンターレが怒涛の勢いを見せている。

 川崎は4月2日、J1第8節で湘南ベルマーレとホームで対戦。前から激しくボールを奪いにいくアグレッシブな姿勢を見せて何度もチャンスを作るも、前半はノーゴールに終わる。それでも後半開始早々の50分、テンポの良い繋ぎから脇坂泰斗が先制ゴールを挙げると、その後も攻撃の手を緩めず。終了間際には途中出場の宮城天が自ら得たPKを決め切り、2-0で完勝した。

 今季の川崎は、前半を最少失点にさえ抑えられれば、後半に途中からピッチに立った選手が結果を出して巻き返せる強さがある。湘南戦の宮城しかり、前節の3-0で快勝した多摩川クラシコでも、途中出場の伊藤達哉とエリソンがネットを揺らして勝利に貢献した。

「途中から出るときは、もしかしたらより、そこ(結果)へのこだわりが強いかもしれないです。先発で出るときよりも」

 FC東京戦後にこう語った伊藤の言葉にも、今の川崎の強さが詰まっている。
【画像】J1最新順位表 首位鹿島と2位町田が同勝点に
 今シーズンからチームを指揮する長谷部茂利監督は「できるだけ多くの選手を出場させたい」と度々口にするとおり、比較的スタメンを固定しすぎず、選手のコンディションを見極めながら、流動的に起用。アジア・チャンピオンズリーグエリート(ACLE)などの影響で連戦が続くことを考慮した背景もあるだろうが、それだけではなく、この采配が選手たちのモチベーション維持にも効果的に働いている。

 また、そうしたメンバーの入れ替えをしながらも選手層の厚さが光り、今シーズン、一時は8位まで順位を落としたが、気が付けば現在、第8節終了時点で暫定3位にまで浮上。リーグ戦ではここまで4勝2分1敗、直近は2連勝で首位の鹿島アントラーズを勝点2差の射程圏内に捉えている。それも1試合未消化の状況でだ。

 長谷部監督の就任当初、守備に定評がある新指揮官が、攻撃的なスタイルを志向してきた川崎を指揮して、どんなチームを作り上げていくのか。守備的なサッカーになってしまうのではないか、と不安に思ったファンもいたかもしれない。

 しかし実際、蓋を開けてみれば、攻守両面に重きを置いたバランスの取れたフットボールをしている印象。現在の順位表を見ても、得点数は20チーム中3位の多さの12ゴール、失点数は最も少ない3失点と結果にも表れている。

 もちろん、シーズンはまだまだこれからで、調子の波はあるかもしれない。それでも長谷部監督が磨き上げた今の川崎には、4年ぶりのJ1制覇を期待してしまう安定感がある。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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