「レッドブルの信頼にしっかり応えた」 初セッションで好パフォーマンス発揮の角田裕毅に専門メディアが賛辞!「やるべきことはまだ山積み」との指摘も

 2025年F1第3戦の日本グランプリが開幕、鈴鹿サーキットでは4月4日に2度のフリー走行(FP1、2)が実施された。

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 電撃的なレッドブル昇格でホームレースを迎えることになった角田裕毅は、多くの注目を集める中で迎えた最初のセッション、新たな車「RB21」に対しても冷静かつ的確なコントロールを見せ、25周回で計測したベストタイム1分29秒172は全体6番手。新たなチームメイトとなった王者マックス・フェルスタッペン(5番手)から0.107秒差という好パフォーマンスを発揮してみせた。

 続くFP2では、4度の赤旗中断によってフライングラップは叶わず、12周の走行で18番手の1分30秒625に止まったが、全体的にポジティブな印象を見る者に与える1日となり、チーム代表のクリスチャン・ホーナーも「ユウキにとっては、間違いなく良いスタートとなった。これまで慣れていたものとはかなり異なった感覚だったと思うが、それでも彼は車に上手く馴染んでいた。そして、非常に良いフィードバックを与えてくれた」と高い評価を下している(英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』より)。
  また、フェルスタッペンは新たなチームメイトについて「彼はFP1をかなり良い形でスタートしたと思う。FP2は誰にとっても混乱したセッションだった。まだやるべきことはたくさんあるが、初日としては全体的に上手くいったと思う」と語り(F1公式サイト『F1.com』より)、ヘルムート・マルコ顧問はスポーツ専門チャンネル『Sky Sports』の「角田はレッドブルに定着するだけの資質を示したか?」との問いに「今日、彼はそれを証明した。彼にとって非常に良い1日だった」と日本人ドライバーへの賛辞を交えて回答した。

『F1.com』は、角田の新天地におけるグランプリ初日を「開幕2戦では、リアム・ローソン(現レーシングブルズ)がフェルスタッペンに近づくのに苦戦していただけに、オランダ人ドライバーに0.107秒差に迫った角田のFP1でのパフォーマンスはより印象的なものとなった」と綴ったが、「『VCARB02』からレッドブルの扱いづらいRB21に乗り換えた今、彼はそれを乗りこなすという課題に直面している」とも付け加えている。

 各国メディアの反応では、『Sky Sports』が「角田はレッドブルでのデビュー戦で好調なスタートを切った」「彼のパフォーマンスはレッドブルにとっては励みになるものだった」とポジティブに報じる一方で、「現世界王者からわずかコンマ1秒差という結果は、母国レースでの心強いスタートとなったが、セッション後半のロングランでは、両者の間にはより大きな差が生まれたように見えた」と指摘した。

 一方、オランダのF1専門サイト『RN365』は、「角田は急速にRB21を理解してきている」「ホーナー代表はレッドブルの両ドライバーが同じエンジンモードで走行したことを明かしたが、それで角田がフェルスタッペンからわずか0.1秒遅れだったのは非常に印象的だ」「FP1のスターはジョージ・ラッセル(メルセデス)か、角田か? 前者は確かに感銘を与えたが、それはレッドブルでの初レースとなる後者も同様だ。彼はこのセッションで自信を深めたことだろう」と、角田にポジティブに言及している。
  続いてイタリアの自動車専門サイト『MOTORIONLINE』は、「ユウキはFP1でしっかりと結果を残した。ただ、これまでチームメイトだったアイザック・ハジャーには0.053秒差に迫られたこと、さらにFP2ではレーシングブルズ勢が上位につけ、ユウキは18番手に沈んだことに触れるのは少々意地悪だろうか……。これはレッドブルにとってのデジャヴなのか、それともただの偶然なのか。いずれにせよ、ユウキにはまだやるべき課題が残されている。注目すべきは予選である。目標は、少なくともQ1を突破することだ」と綴った。
  これに対して『THE RACE』は、「(FP2の結果)はローソンの苦戦を彷彿とさせたものの、現実は全くことなるものだ」と指摘し、赤旗多発の状況を説明した後、「ローソンとの比較は鮮明だ。2週間前、ニュージーランド人ドライバーの苦戦は明らかで、自信も欠けていたが、今日の2セッションを見た限りでは、レッドブルの2台目に対する見通しはずっと明るく、角田自身も自信を持っているように見え、まださらに伸びしろがあることを示した」と称賛している。

 また、「さらに重要だったのは、角田がチームとの明確なコミュニケーションで好印象を残したことだ。デフ設定やブレーキバランスなど、様々な調整をこなし、速いコーナーでは保守的に、遅いコーナーではすぐにプッシュし始めるなど、冷静かつ段階的なアプローチが見られた」と、別の評価点を挙げた。

 もっとも、良い点ばかりではなく、「FP1でのミニロングランではリアタイヤにより苦戦し、フェルスタッペンとの差が大きくなった」「スローコーナーでの進入時には不安定さが見られた」「FP1が良かったとはいえ、彼がやるべきことはまだ山積みである」との指摘も忘れてない。

 ただその上で、「角田は野心的だが、決して油断していない。フェルスタッペンでさえ、あまり自信を持てなかったと語った状況で、もし角田が『完璧だ』と感じていたら、それはむしろ危ういことだ。彼の姿勢とアプローチは、今後の大きな強みとなるだろう。総合的に見ても、金曜の内容はポジティブに捉えていい」と、合格点を与え、以下のように記事を締めている。

「まだ始まったばかりであり、金曜が良かったからといって全てが保証されるわけではない。予選で、その成果をしっかり示せるかが鍵となる。それでも、少なくとも角田はプレッシャーに圧されることなく、車を恐れることもなく、すぐにスピードを引き出せる能力を見せつけた。本当の試練はこれからだが、これまでのところ、レッドブルが遅ればせながら示した信頼に対し、角田はしっかり応えている」

構成●THE DIGEST編集部

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