竹下雄真氏(C)週刊実話Web

突き抜けた男たちの魂の叫びをお届けする連載企画「死ぬ前までにやっておくべきこと」。今回は、人類の進化を目指す会員制パーソナルトレーニングジム、『Deportare Club』代表、竹下雄真氏のインタビュー第2弾。医療との連携、トレーニングジムの未来について語ってもらった。

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2023年。東京に誕生した麻布台ヒルズのオープンと同時に、竹下雄真がオーナーを務める『Deportare Club(デポルターレクラブ)』は移転した。

麻布台ヒルズは「Green」&「Wellness」をテーマに森ビルが総力を結集して作り上げた新時代の健康都市である。

ウェルネスとは、肉体的・精神的に“よりよく生きる”ための健康維持を行う生き方のこと。

そのパートナーとして竹下らが選ばれたことは、従来のスポーツクラブの枠を超えたウェルネスの分野でこれまでにやってきたことが認められた証明でもあった。

「“よりよく生きる”ためにはWHO(世界保健機関)による健康の定義にもあるように、メンタルとフィジカル、そして社会的にも良好な状態に作り上げること。運動と食事、さらにはパーソナルジムのコミュニティーから人と人の社会的なつながりが生まれ、友人ができたりビジネスにも発展する。単純に筋肉をつけるなら筋トレをすればいい。痩せるためなら食事制限をしてトレーニングをすればいい。僕らがフィットネスジムと違うのは、身体と心と社会性、そのすべてを健全な状態で維持するためのアプローチをしているということです」

デポルターレクラブは創設以来、フィットネスの枠を超えた、“ウェルネス以上メディカル未満”を掲げ、身体と心と社会性の健全化に努めてきた。

そして今、15年の歳月を経てウェルネス最高峰の麻布台ヒルズという舞台を得る。

そこで竹下は温めていた念願のプロジェクトを始動させる。

“医療連携”。そのミッションは同フロアに入る『麻布台クリニック』との共闘。わが国ではまだ希少であるトレーナーと医者の本格的な医療連携である。

医者とジムがデータを共有

竹下氏が経営するパーソナルジム

「パーソナルトレーニングの先にあるものは、医療との連携だと常々考えてきました。病気になってから治すよりも、病気にならないためのアプローチをする“未病”の考え方は、病院にかかれば軽く数百万円が飛んでいく海外では当たり前のこと。国民皆保険制度のある日本では国も人々の意識もかなり立ち遅れています。さらに日本では昔から医療の分野には高い壁が存在し、他分野と連携するには難しいことの方が多かった。ただ、場所も環境も人材も、必要な要素が日本で一番集まっているのがこの麻布台ヒルズです。人と人との繋がり。そして、本当の意味での我が国における“医療連携”の第一歩は、この国の健康に対する考え方を根本から見直す契機になるかもしれません」

デポルターレクラブは、日本の医療連携の先駆けとして昨年末に「Medical+Wellness」コースを始動。パーソナルトレーニングの利点である「約束と習慣」は個人の身体の状態を常にチェックできることでもある。

異変があればすぐにクリニックへ送り精密検査ができることもあるし、逆にクリニックで健康診断したデータを基に、トレーナーが個人に向けたオリジナルのトレーニングメニューをオーダーすることも可能だ。

医者とトレーナーというスペシャリストにより数値に表れたデータ、現れない身体の状態を常に監視する。

あらゆる病気のリスクを軽減し、不測の事態にも最適の対応が行える。

それはやがて遺伝子検査から本人に合わせた最適な量の栄養素を提供して病気の予防をしていく『最先端の精密栄養学療法』のような、個人オーダーメイドされた完全な健康システムにも繋がっていく可能性も秘めている。

「これまでは健康診断で良くない数値が出ても、お医者さんが言うのは『食事に気を付けて運動をしてください』だけなんです。でも医者とジムが連携すれば、それ以上の具体策が取れる。トレーニングして身体の体組成が変わると、すぐに数値は良くなり、病気のリスクを軽減できる。これまで見えない壁によって阻まれていた“医者”と“パーソナルトレーナージム”が連携して情報を共有していけば、ほとんどの人の現在の健康状態を向上させ、維持継続していくことが絶対にできると思っています」

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いずれは庶民にも健康意識を根付かせる

ただ、健康に対してこれだけのバックアップ体制が取れるのも、身体が資本でお金をかけられるトップアスリートだったり、健康に対して意識の高い一部の人たちだけの話ではないのかという疑問も湧いてくる。

「人類を進化させる」と言うには、そもそも運動する時間もなく、食に気を遣えるような金銭的余裕もない一般庶民、いや、酒とたばことギャンブルまみれの不健康層にまで健康の意識を根付かせること…なのだろうが、できるのだろうか。

「どのジャンルでもそうですけど、こういうものは段階的に変わっていくもの。最初はトップアスリートやエリートサラリーマンが運用して、そこが根付いたら次は一般層と、カスケードダウンしていくものだと信じています。この10年を見ても、世の中の健康に対する意識は大きく変わったじゃないですか。誰しもがいつまでも健康で健全な生活を望んでいることは同じはず。やらないより、やった方がいいんですから、必ず根付きますよ。自分を高めようとしたとき、“意識高い系”と斜に構えてバカにする人もやった方がいい。力が強いネアンデルタール人よりも、知恵を持つホモサピエンスが生き残ったように、生き物が進化するためには、生き残るための何かを持たなければいけない。それが今の時代ではフィジカルやメンタルを整えること、だと僕は思っています」

(後編へ続く)

取材・文/村瀬秀信

「週刊実話」4月17日号より