数あるアニメのなかには、豪華なキャスト陣に釣られて軽い気持ちで観てはいけないアニメ作品が存在します。耳は幸せだけど、目の前は地獄……という衝撃のアニメ映画を振り返ります。



悠木碧主演のアニメ映画『バイオレンス・ボイジャー』DVD(よしもとミュージック) (C)2020吉本興業

【画像】え…っ? 「パッケージの時点でヒイイ!」「顔溶けてる」 コチラがみんな忘れがたいトラウマアニメ映画です(11枚)

豪華なキャスト陣に釣られたばっかりに

 たとえあまり詳しくないアニメ作品でも、豪華なキャスト陣がそろっていると興味が湧いてくるものです。ただ、たまに閲覧注意なトラウマ作品も紛れ込んでいることもあり、名だたるメンツに惹かれていきなり視聴するのは少々危険かもしれません。

『アシュラ』

 1970年、ジョージ秋山先生のマンガ『アシュラ』は、あまりの過激さから有害図書として糾弾され世間を騒然とさせました。それから約40年の時を経て、2012年にアニメ映画化が実現しています。

 主人公の「アシュラ」は母に焼き食われる寸前で生き延び、飢えた人びとを襲っては食いつないでいました。やがてアシュラは美しい少女「若狭」と出会い、彼女のおかげで初めて人間らしさを身に着けます。しかしその幸せも長くは続かず、飢餓の悲劇が再び彼に襲いかかりました。

 作中には食人を思わせる描写や血しぶきなどのゴア表現が目白押しですが、本作がトラウマとされる真の理由はそこではありません。食人という罪を通して、倫理観を問う残酷さが強烈に描かれており、特にアシュラと若狭との間に生まれた悲しいすれ違いは、表面的なグロテスクさ以上にショッキングに映るはずです。

 またアシュラ役の野沢雅子さんをはじめ、北大路欣也さんや林原めぐみさんなど、豪華キャスト陣による迫真の演技も加わり、「胸がいっぱいでめちゃくちゃ苦しくなりました」「生と死がダイレクトに伝わってくる」などと高く評価されています。

『バイオレンス・ボイジャー』

『バイオレンス・ボイジャー』は、劇画とアニメーションを融合した表現方法「ゲキメーション」で制作された、初の長編映画としても話題となった異色のアニメです。

 田舎に暮らす少年の「ボビー」は友人とともに、偶然見つけたレジャー施設「バイオレンス・ボイジャー」に足を踏み入れます。そのなかでは、先客として迷い込んでいた子供たちや、謎の白スーツを着た子供との生死を賭けた攻防が繰り広げられていました。

 本作は新しいキャラクターが現れては次々と犠牲になる容赦ない展開で、さらに登場人物の多くが子供ばかりなのが居たたまれません。ある子は酸で顔を焼かれ、ある子は目玉が飛び出すなど、死因も凄惨なものばかりです。加えて登場人物から吹き出す血やゲロなどは、リアルなドロドロとした液体で表現されており、グロテスクさをさらに加速させていました。

 主演の悠木碧さんほか、キャストにはココリコの田中直樹さんやサバンナの高橋茂雄さんら人気芸人やベテラン俳優の田口トモロヲさんらもおり、豪華な方々が恐ろしくもどこかブラックユーモアもある物語を盛り上げました。

『あるゾンビ少女の災難』

 ライトノベル『あるゾンビ少女の災難』は、2018年に1時間半弱のWebアニメが配信されました。早見沙織さん、小倉唯さん、杉田智和さん、沢城みゆきさんなど、キャスト陣には人気声優が名を連ねています。

 本作を端的に表すと、ゾンビによるスプラッターホラーです。オカルト研究会の大学生が、ミイラとともに安置されていた不思議な石を奪ったことで、2体のゾンビが目を覚ましました。ゾンビは石を取り戻すべく学生寮を襲撃し、学生たちが次々と犠牲に……というストーリーです。

 ゾンビの猛追は容赦なく、人間たちは頭部破裂や、胴体が真っぷたつといった凄惨な手口で葬られていきます。内臓を掻きまわして石を探すシーンをはじめ、果ては犬の撲殺シーンまで登場し、「実験としてかわいいコーギーを撲殺するシーンが何よりダメ」「ワンちゃんが可哀想すぎた」などとダメージを受ける人も多くいました。動物好きの人は、覚悟をもって視聴すべきかもしれません。