「ハッピーとは言いがたい展開や結末……でも、この主人公ならばヨシ!」と言いたくなってしまう、アニメ主人公の問題児たち。見ていて好きになれる主人公が幸せな結末を迎える作品も良いものですが、こういう作品も心に残りますよね。



『Scool Days 02』DVDジャケット (エイベックス・ピクチャーズ)

【画像】え…っ? 「顔ゲスい笑」「こりゃ恨まれるわ…」 こちらが“自業自得主人公”のゲス顔です(3枚)

後味の悪い末路だけど納得感しかない?

 異世界モノ、ラブコメ、SF……多種多様なジャンルのアニメが放送される昨今ですが、そんな令和においてもなかなか見られないのが「自業自得な主人公」です。あまりにも憎たらしいがゆえに記憶に残ってしまうアニメ主人公を振り返ります。

ショッキングな怪作『School Days』

 この手の話題で絶対に外せないのが『School Days』です。主人公の「伊藤誠」は、思いを寄せていた「桂言葉(かつら ことのは)」と晴れて恋人同士となるものの、すれ違いの積み重ねからやがて彼女を疎んじるようになります。

 そしてふたりの仲を取り持ってくれたクラスメイトの「西園寺世界(さいおんじ せかい)」とも肉体関係を持ってしまい、眼を背けたくなるようなドロドロの愛憎劇が幕を開けます。情念に満ちた物語を締めくくる、最終話の言葉と誠のデートシーンには誰もが絶句したことでしょう。

無様な散りざまを見せた『DEATH NOTE』

 自業自得な主人公といえば『DEATH NOTE』の「八神月(やがみ らいと)」も外せません。名前を書いた人物の命をたやすく奪えるデスノートを入手した高校生の月は、歪んだ世の中を正すべく、「キラ」と名乗って凶悪犯罪者たちの名前を次々に書き込みます。

 ここまでなら「悪」ではあっても「ダークヒーロー」とも言えたかもしれません。しかし、キラの正体に迫ろうとする捜査官の命も奪う頃には完全に道を踏み外しており、序盤のうちは「キラは必要悪かも」と思えていた視聴者も、月にもう共感できなくなっていたことでしょう。

 だからこそ、物語の結末にはスカッとした人も多いのではないでしょうか。本作は原作コミックが全12巻とコンパクトにまとまっており、いまからでも手を出しやすいのも魅力です。

たしかに幼女だけどかわいらしさはカケラもない『幼女戦記』

 最後に、『幼女戦記』の「ターニャ・デグレチャフ」を紹介します。現代日本のサラリーマンだった主人公は、冷徹なほどの合理主義者であることが災いして駅で線路に突き落とされ、命を落とします。

 他者への共感性や創造主への信仰心に欠ける彼は、神を名乗る超常的な存在によって魔法が存在する異世界の孤児ターニャ・デグレチャフとして転生させられてしまうのでした。

 タイトルだけを見ると美少女がかわいらしく活躍する戦記モノを想像するかもしれませんが、ターニャは現代の記憶をそのまま持っているので幼くとも憎たらしいほどに合理的で冷徹です。生きる手段を求めて軍に入隊してからは、ミリタリー映画然とした有能指揮官ぶりを発揮します。

「出世して後方勤務で安全な人生を送るために功績を上げるターニャ」と「本人の望み通り(?)に、愛国者あふれる戦闘狂を過酷な前線へ送り続ける軍上層部」という思惑のすれ違いは、まるでコントのよう。ターニャへの報いであると同時に、クスリと笑える要素としても機能しているのが魅力です。