近年、さまざまなジャンルの人気商品が転売の対象となり、入手が難しくなっています。2025年6月に発売される新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」も、転売の標的にされるのは確実で、メーカーの任天堂も複数の転売対策を講じている状況です。果たして、任天堂の試みは上手く行くのでしょうか?



発売日が決定した「Nintendo Switch 2」 (C)Nintendo

【グラフ】えっ、「応募可能な人」こんなにいるの? これが「Switch2」抽選資格についての調査結果です

かなり厳重な転売対策が明らかになったが……?

 近年、さまざまな分野において、人気の高い商品が転売の対象となり、入手が難しくなるという、いわゆる「転売問題」が起こっています。2025年6月5日(木)に発売される新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」も、転売屋に狙われているのは確実と見られ、任天堂側も厳重かつ複数の転売対策を講じています。果たして任天堂の試みはうまくいくのでしょうか?

「Nintendo Switch 2」(以下、スイッチ2)は、2025年4月2日に配信された「Nintendo Direct:」で、発売がアナウンスされました。正式な発売日の発表は大きな歓喜とともに受け止められましたが、同時に発表されたマイニンテンドーストアの転売対策にも大きな注目が集まっています。

 その内容は、「2025年2月28日時点でSwitchソフトのプレイ時間が50時間以上(体験版・無料ソフトを除く)、応募時点でスイッチオンラインに累計1年以上加入(ファミリープランの場合は、利用券の購入者のみが条件を満たす対象)、応募時にスイッチオンラインに加入している、ニンテンドーアカウントの「国/地域」設定が「日本」である」といったもので、かなり厳しい制限が設けられています。特に、発表前のタイムラインとなる2月末のプレイ時間が条件に入っているのは、転売屋にとってかなりの痛手であることは間違いありません。

 さらに、スイッチ2では記録媒体の拡張用に初代スイッチで使用されていた「microSDカード」に代わり、読み込み速度が速い「microSD Expressカード」を採用しています。転売屋は収納スペースを圧迫しない小型の品物に目を付ける傾向があり、スイッチ2の発表後に「microSD Expressカード」がストアによっては一時品切れを起こす状況となりましたが、任天堂は翌日にマイニンテンドーストアでの取り扱いを発表。転売屋を翻弄するような動きを見せています。



現行機種の「Nintendo Switch」は、転売の対象となり一時期入手が困難になっていた (C)Nintendo

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初代「スイッチ」を持っていない人が「買いづらい」問題は?

 なぜ任天堂はこれほどまでに厳しい転売対策をとったのでしょうか。これは初代「Nintendo Switch」が転売の対象となり、一時入手が困難となっていたことが理由でしょう。また、2020年に発売された「PlayStation 5」が転売の対象となった際には、販売台数のうちどれだけの数がユーザーの手に渡っているのか分からず、ゲームメーカーがPS5での発売を見込んでいたタイトルをPCに振り向けるなどの悪影響がありました。新型ゲーム機と新たなソフトの登場による初動を潰されるのは、メーカーにとって大きな痛手であり、ユーザーにとっても不利益しかありません。任天堂が警戒するのも当然と言えます。

 しかし、すでに海外のオークションサイトではスイッチ2が「出品」され、「落札」もされています。店頭販売される商品にはプレイ時間の基準などは無いため、そちらが狙われる可能性は高いでしょう。油断は禁物です。

 少々気になる点としては、マイニンテンドーストアでスイッチ2を購入する場合、「初代スイッチを持っていないと買えない」という問題もあります。とはいえ、初代は2024年2月の時点で国内累計出荷数3334万台という途方もない記録を打ち立てたゲーム機で、多くの家庭や個人に普及しています。

 1983年に「ファミリーコンピュータ」が登場して「家庭用ゲーム機」文化を定着させてから約40年が経過し、親世代どころか祖父母世代も子供のころからビデオゲームを楽しんできた、という時代が到来しています。家庭用ゲーム機に興味があるなら初代スイッチを持っている可能性は極めて高いため、さほど問題とはならないでしょう。任天堂が積み上げてきた家庭用ゲーム機文化への自信がうかがえます。