
トレバー・バウアー(インスタグラムより)
中居正広氏のフジテレビ女子アナへの性暴力が球界にも飛び火。横浜DeNAトレバー・バウアー投手が退団し、NYヤンキース入りの可能性が浮上した。元ヤクルトの史上最強助っ人ボブ・ホーナーの悪夢が再び⁉
史上最強助っ人ボブ・ホーナー
今から38年前の1987年(昭和62年)、スポーツ新聞各紙の1面は年俸3億円でヤクルトに途中入団したメジャーリーガー、ボブ・ホーナー内野手の話題で埋め尽くされた。
同年5月5日の阪神戦でデビューし、いきなり来日1号目の本塁打を放つと、翌6日の同カードで衝撃の3本塁打。
当時、巨人のクロマティや近鉄のオグリビーなどメジャーで実績を積んだ選手もいたが、現役バリバリで来日したスラッガーは、この“赤鬼”と呼ばれたホーナーが初めて。
このおかげかヤクルト本社の株は上昇。「ホーナー効果」「ホーナー現象」「ホーナー旋風」と、いくつもの表現が生まれた。
打率3割2分7厘、31本塁打73打点と活躍したが、シーズン途中で戦列を離脱し、その後、一軍に戻ることはなかった。
戦線離脱の表向きな理由は腰痛だが、プレースタイルとレベルが違う日本野球に対する不満も大きかったという。
結局、日本でのプレーは規定打席に達しない93試合だけとなった。
もっとも、ヤクルトがホーナーを獲得できたのは、年俸高騰によりMLB各球団のオーナーが示し合わせてFA(フリーエージェント)選手を締め出し、ブレーブスからFAしたホーナーも、どの球団とも契約できなかったからだ。
あの黒歴史が今、よみがえろうとしている。
それがMLB復帰を目指したが、どこからも声がかからず、“2浪”を避け、1年9億円で古巣・横浜DeNAに戻った元サイ・ヤング賞投手のトレバー・バウアーだ。
3月29日の中日戦(横浜スタジアム)で初登板し、6回98球を投げ、6安打8奪三振1失点。打線の援護がなく、勝ち星こそ逃したが、申し分ないピッチングだった。
しかし、そのわずか2日後の31日に「上半身のコンディション不良」で出場登録が抹消された。
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バウアーに性的暴力疑惑の過去
まさかの展開だが、「ははーん」と思えるフシはある。
この日は中居氏とフジテレビの女性アナウンサーとのトラブルをめぐる一連の問題で、第三者委員会が調査報告書を公表した日だったからだ。
第三者委員会は中居氏による元女性アナへの「性暴力による被害があり、重大な人権侵害があった」と認定。
トラブル把握後、約1年半にわたって中居氏を番組に起用し続けたフジテレビにも「人権意識の低い企業体質や経営陣の責任」と断じた。
この指摘を重く受け止め、40年も社内の権力を握り続けた日枝久フジテレビ取締役相談役が退任を表明。
去年までフジテレビの編成担当の専務取締役で関西テレビ社長に就任した大多亮氏も辞任に追い込まれた。
「バウアーは過去(MLB時代)に性的暴力疑惑で騒動となった人物。法的には解決済み(和解成立・MLBの処分終了)であっても、世論の流れによっては親会社DeNAの株主から獲得を承認した南場智子会長(球団オーナー)の責任が問われる可能性がある。バウアーの出場登録抹消は、それを振り払うのが狙いです」(球界関係者)
本誌が入手した情報によれば、一部メディアが中居氏の第三者委員会の報告に合わせ、バウアーから2021年に性的暴行を受けたと主張する女性を取材。
性的暴行報道の再燃の可能性が強まっているからだ。
「プロ野球の戦いはグラウンドだけじゃない。スキャンダル搭載の“爆弾”が優勝の行方を左右する。これで利を得たチームも多々ある」(スポーツ担当記者)
中居氏問題でフジテレビは広告収入が200億円超も吹き飛び、今なお約7割のスポンサーがCM再開の判断を保留。
中居氏とバウアーの案件に直接関係はないにせよ、性加害に対する世間の目は厳しい。