テストのデータはゴミ箱へポイ!? ノリス、コンディションの違いを理由に「もう一度やり直すようなもの」

 マクラーレンはF1バーレーンGPのFP1、FP2ともにトップタイムを記録した。にもかかわらず、ランド・ノリスは他の多くのチームと同様、マシンのパフォーマンスに失望している。

 FP1をトップ、FP2をチームメイトのオスカー・ピアストリに次ぐ2番手で終えたノリスは、コンディションの変化を嘆き、チームのプレシーズンテストのデータは 「ゴミ箱に捨てられる」とまで語った。

 2月下旬に行なわれたプレシーズンテストは例年になく涼しく、気温は20℃を超えるのがやっとで、路面温度は19℃に届くかどうかといったところだった。一方で今週末のバーレーンGPははるかに気温が高く、FP1では路面温度が50度近くまで上昇。日が沈んだ現地時間18時の時点でも路面温度が38度に達しており、強風によりさらに複雑な状況となっていた。

 気温はクルマの性能のほとんどすべての側面に影響を与えるが、タイヤはそのなかでも特に影響を受ける部分だ。温度が高くなるとコンパウンドが柔らかくなりグリップは向上する。しかし十分に冷却できず、ブレーキとホイールハブ周辺の空気を効果的に活用していると思われるマクラーレンでさえ、タイヤは逆に作動温度領域から外れてしまう。

 ノリスはテストの時と比べ、タイヤのデグラデーション(性能劣化)は「信じられない」レベルだと表現した。

 バーレーンはタイヤの摩耗が激しいコースであり、前戦日本GPと同じコンパウンドのタイヤを使用しているものの、決勝レースは全く異なる展開となるだろう。

 ピレリのチーフエンジニアであるシモーネ・ベッラは、今週末のコンディションについて次のように語った。

「コースと天候のコンディションは(テストと)大きく異なり、今日のロングランでは、タイヤのサーマル・デグラデーション(熱劣化)のレベルがリヤアクスルだけでなく、場合によってはフロントも非常に高いことがわかった」

「3つのコンパウンドがそれぞれの役割を果たす可能性がある。昨年と違って、7チームがすでにハードタイヤを履いているのも偶然ではない」

 ノリスはこうしたコンディションにおける制約について、次のように語った。

「大きな課題は、リヤタイヤをいかにベストな状態に保つかということだ。プレシーズンテストから得た多くの情報を持ってこの週末に臨んだわけだけど、基本的にはそれをすべてゴミ箱に捨てて、もう一度やり直すようなものだ」

「難しいけど、週末に向けていいスタートが切れたと思う。チームも自分も取り組むべきことがたくさんある」

 そんな悲観論とは裏腹に、マクラーレンの両ドライバーはバーレーンGP初日、力強いパフォーマンスを見せた。ノリスはFP1で1分33秒204を記録し、ピアストリはFP2で1分30秒505のトップタイムをマークした。

 FP1とFP2で3秒近いタイム差があることに注目してほしい。それほど大きくコンディションが変わっている中でもマクラーレンはマシンのパフォーマンスを引き出し、タイヤの温度をなんとかコントロールできている。

 一方、ライバルのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)はこのエリアで特に苦しんでいる様子だった。もちろん、これがフリー走行だということを念頭に置いておく必要がある。

「みんながタイムシートとにらめっこしている」

 そうノリスは付け加えた。

「誰が来て、誰が来ないのか。誰も情報を持っていないんだ。差は0.35秒や0.4秒くらいだから、(ミスをしたら)すぐにメルセデスと同じポジションに戻ることになる」

「だから今のところ、僕たちの方が速いとは言えないよ」