これまで「週刊少年ジャンプ」で打ち切られた作品は数知れず……。たった15話での連載終了から2度の打ち切りまで、いまをときめく人気漫画家たちもかつては不遇な時代を経験していたようです。
主人公であるダイが描かれた『ドラゴンクエスト ダイの大冒険 第8巻』Blu-ray(エイベックス・ピクチャーズ) (C)三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東京 (C)SQUARE ENIX CO., LTD.
【画像】初対面で主人公に「小さい」…だと? こちらが素直すぎる『ダイの大冒険』ヒロイン「レオナ」です
意外と知らない人が多いかも?
「連載が続くかどうかは読者アンケートの結果次第」
そんな「アンケート至上主義」のウワサがささやかれる「週刊少年ジャンプ」(集英社)では、これまで数多くの作品が志半ばで連載を終了してきました。そのなかには有名漫画家たちのデビュー作などもあり、知られざる不遇な時代がうかがえます。
例えば大ヒットマンガ『サマータイムレンダ』で一躍有名となった田中靖規先生も、デビュー当時はあまり順風満帆とは言えませんでした。「ジャンプ」に掲載された初連載作品『瞳のカトブレパス』は、たった15話で打ち切りとなっています。
本作は、瞳に「カトブレパス」と呼ばれる妖魔を宿す少年「志村時生(しむら ときお)」の活躍を描いた退魔アクション作品です。田中先生はデビュー直前まで荒木飛呂彦先生のアシスタントを務めていたこともあり、そこで培った高い画力が存分に生かされていました。
しかし当時は『ONE PIECE(ワンピース)』『NARUTO -ナルト-』『BLEACH』の3強をはじめ、『アイシールド21』『家庭教師ヒットマンREBORN!』など人気作ばかりが連載されていました。そのなかで生き残るのは非常に厳しく、『瞳のカトブレパス』もあえなく連載終了となってしまいます。
なお田中先生は現在、デジタルマンガサービス「少年ジャンプ+」でホラーバトルマンガ『ゴーストフィクサーズ』を連載中です。この作品では成長した志村時生が学校の教師として登場し、超能力者の先輩として主人公たちを導くという大役を担っており、「もっと時生の活躍が見たかった」というファンの悔しい思いが報われる内容となっています。
「ジャンプ」では珍しい巨大怪獣ものとして話題を呼んだ『ジガ -ZIGA-』も、早々に打ち切られてしまった作品のひとつです。物語中盤で明かされた巨大生命体「ジガ」にまつわる衝撃の事実とダークな展開は、当時多くの読者を驚かせました。しかし、そのどんでん返しに辿りつくまでが長すぎたこともあり、連載はわずか14話で終了してしまいます。
当時、本作を手がけていたのは、原作者の佐野ロクロウ先生と作画担当の肥田野健太郎先生でした。なかでも佐野先生はマンガ賞の受賞歴などもなく、誰もが新人漫画家だと思い込んでいましたが、のちに「佐野ロクロウ」が三条陸先生の別ペンネームであることが判明します。
三条先生といえば『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』や『冒険王ビィト』の原作者で、『仮面ライダーW』などを手がけた脚本家としても知られる人物です。もし三条先生が名前を出していたら、もう少し違う未来になったのでしょうか?
『僕のヒーローアカデミア』は世界累計発行部数1億部を超える大ヒットマンガですが、その作者である堀越耕平先生もまた、デビュー作『逢魔ヶ刻動物園』で無念の打ち切りを経験していました。
本作は、呪いによってウサギの姿となった園長と動物好きの「蒼井華」が、「逢魔ヶ刻動物園」を天下一の動物園にするため奮闘していく物語です。動物たちの要素をうまく取り込んだ獣人たちのキャラクターデザインは、連載当初から多くの読者に絶賛されていましたが、残念ながらこちらも全37話とあまり長くは続きませんでした。
ちなみに先生の連載2作品目となる『戦星のバルジ』も全16話で終了しています。2度の打ち切りを経験しながら「ジャンプ」の看板作家にまでのし上がった堀越先生は、まさに『ヒロアカ』のキーワードでもある「Plus Ultra(更に向こうへ)」を体現した存在と言えるのではないでしょうか?