シャシーナンバー1桁!? 超古株AMG GT3から車体入れ替えで大躍進、GT300予選6番手のPACIFIC冨林「僕らの本来の力を出せている」

 スーパーGT開幕戦岡山では、GT300のいくつかのチームが下馬票を覆すようなパフォーマンスを見せている。その筆頭が、予選6番手を獲得した9号車PACIFIC アイドルマスター NAC AMGだ。

 2023年からメルセデスAMG GT3でGT300クラスに参戦するPACIFIC RACING TEAM。しかしその間入賞は一度もなく、最後の入賞はCARGUYとジョイントしてフェラーリ488 GT3を走らせていた2022年まで遡る。

 今季はAMG GT3の使用を継続しつつも、車両を新しいものに入れ替え心機一転。その効果は早速表れており、岡山公式テストでは初日総合3番手タイムを記録。富士公式テストでも、2日目午後に2番手に食い込んできたのだ。とても前年下位に沈んだチームとは思えないパフォーマンスだ。

 そしてPACIFIC AMGは開幕戦の公式練習でも4番手につけると、迎えた予選でも阪口良平が順当にQ1を突破し、冨林勇佑がQ2で6番手タイムを記録した。グリッド3列目に並ぶのは大健闘と言えるだろう。

 しかしながら冨林は、これがチームの持つ本来の力であると語る。というのも去年のPACIFICは毎戦のようにトラブルが発生し、それが足を引っ張った。今季は車両入れ替えによってそういったトラブルは出ておらず、チームの持つポテンシャルをしっかり形にできているのだ。

 冨林は、去年まで使っていたAMG GT3がかなり初期に製造された個体であり、かなり古くなっていたと明かす。

「実は去年まで使っていた車両がシャシーナンバー9番で。しかもそれがAMG GT3 Evoだけで(の通し番号)というわけではなく、AMG GT3を通しての番号です。要するに超古い車両だったんです」

 今は軽く数百台がデリバリーされていると言われるAMG GT3。その中で9番目の車体なのだから、相当な長寿個体だったというわけだ。

「その中でもチームが頑張ってくれていたので、調子自体は良かったのですが、去年はトラブルがあまりにも多かったです。パフォーマンス的には良いものがあったのですが、それが噛み合わなかった感じです」

「新しくなった箱(車両)は、大きくは違わないとはいえ、“しっかり感”というか、ちょっとした振動などがなくなっているような印象です。何よりもトラブルが出ないことが良いことで、去年あったパフォーマンスがしっかり形になっています。ヨコハマタイヤさんも頑張ってくださっていますから」

「僕らの持っている本来の力を出せている状態だと思います」

 6番グリッドから迎える決勝は、天候が読めない状況。昼頃まで雨が降る予報のため、13時の決勝はウエット路面か、ダンプ路面か、はたまたドライ路面か……。冨林は低温コンディションが不安要素としつつも、とにかく次に繋がるレースがしたいと意気込んだ。

「今日と比べると路面温度が低くなりそうなので、色々不安要素はあります。でもAMGはタイヤのレンジが外れていてもクルマ側で受け止めてくれるような、懐の深いクルマです」

「確実に良いものを持っている状態だと思います。明日は表彰台以上行けたら最高ですが、レインでのパフォーマンスが分からないので、とにかくトップ10に生き残った上で、次に繋がるレースをしたいです。取りこぼしのないように、という点は徹底していきたいですね」