PP逃したふたりの好対照な反応。いつになく悔しがるau TOMS坪井翔と、ノーウエイトでの3番手を喜ぶKONDO松田次生

 岡山国際サーキットで行なわれたスーパーGT開幕戦のGT500クラス予選は、Q1で全車のタイム差が0.739秒以内となるなど、非常に拮抗した戦いとなった。その中でポールポジションを手にしたのは14号車ENEOS X PRIME GR Supraだったが、惜しくも2番手、3番手に終わったチームのQ2担当ドライバーに話を聞いた。

 わずか0.075秒差で2番手となったのは、3連覇を狙う絶対王者1号車au TOM'S GR Supra。ただ彼らは事前テストの段階から、ドライ、ウエット、ショートラン、ロングランとどんな状況でも最高レベルのパフォーマンスを見せているため、決勝に向けてはあまり動じていないのでは……と思いQ2担当の坪井翔の元を訪ねたが、彼から出てきたのは悔しさを前面に出したコメントだった。

「結果という点で言えば2番手なので、決勝を見据えると良い位置ですし、あれだけの僅差だったということを考えてもポジティブです。ただ個人的にはポールを獲りたかったですし、獲れるだけのパフォーマンスがあったと思っています。それに貴重な(ボーナスポイント)1点も必要でしたから」

「ノーウエイトで予選をできるのは、ここ岡山と最終戦しかありません。そのQ2を託してくれたチームに申し訳ない気持ちもありますし、やっぱり悔しいという気持ちは大きいですね」

 悔しさを増幅させているものについて詳しく聞くと、特に同じスープラ勢に僅差で敗れた点が大きいようだ。「例えばポールがシビックやZなら、今とは違った感情があったと思います。やはりセットアップが多少違うとはいえ、同じクルマを使って負けることは、ドライバーにとってこれ以上悔しいことはありません」と坪井は言う。

 とはいえ、前述の通りロングランもどのチームより安定していることから、決勝に向けては心配はないと語る坪井。決勝は昼頃まで雨が降る予報なことから、「雨になってほしい」「ドライになってほしい」と各陣営の思惑が渦巻いているが、坪井は「どれでもいいかな(笑)」と王者の風格を漂わせる。そして「今日の借りはやっぱり返さないといけません。明日優勝して、今日のことは水に流す!」と力強く自らを鼓舞した。

 一方3番手に入ったのは、GT500ではマイノリティである非ブリヂストン勢、ヨコハマタイヤユーザーの24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zだ。

 ミシュランの撤退、ブリヂストンユーザーの増加に伴い、最近は苦戦に拍車がかかっている感のあるヨコハマ、ダンロップ勢。リアライズZは昨年も終盤戦にポールポジションを記録するなど予選で時折速さを見せていたが、ノーウエイト勝負の開幕戦でトップと0.178秒差の3番手に入ったのはポジティブな結果と言えるだろう。

 Q2を担当した松田次生も、「嬉しいというか、もうポールを獲ったような気分」と笑顔。NISMOからKONDO RACINGに移籍し、ヨコハマとタイヤ開発に取り組んで2年目だが、着実な進歩を実感している。

「オフシーズンの間に、クルマのセットアップだったり、ヨコハマさんとのコミュニケーションがしっかりとできたので、それが実を結んだような感覚がありますね」

 ヨコハマタイヤとのマッチングにおいては、耐久性の部分などまだまだ課題もある一方で、攻めの姿勢で積極的な開発をしているという松田。「守りに入って失敗するより、攻めの方向でやっていかなきゃいけない。今はパズルのピースを揃えている最中ですが、そこがしっかりハマれば良いタイヤになると思うので、僕たちはそこに向けて作業しています」と語った。

 また前述の通り天候が読めない決勝レースに関しては、ドライを希望。「今日みたいに晴れて、気温が上がればいいですね。ウエットはちょっと大変だと思いますが、今日持ってきている(ドライ)タイヤは悪くないと思います」とのことだ。果たして天候は味方するか?