
スマートフォン(スマホ)が売れている。販売台数前年比は、24年3月以降13カ月連続でプラス。特に今年に入ってからの伸びが大きく、おおむね30%の水準で伸びている。好調なのがiPhoneだ。1月以降の販売台数前年比は、いずれも40%を超える伸びを示している。全国2300店舗の家電量販店やネットショップの実売を集計する、BCNランキングで明らかになった。
昨年9月、iPhone16シリーズが登場したことをきっかけに、前モデルのiPhone15の売り上げが急拡大。10月以降現在まで主力としてトップの売り上げを継続している。また2月には廉価版のiPhone16eが登場。アップルは大きなシェアを獲得することに成功した。3月現在、iPhoneのモデル別販売台数構成比は、iPhone15が40.5%、iPhone16が26.7%、iPhone16eが22.1%。これら上位3モデルで89.4%を占めている。一方昨年は、新製品のiPhone15の出足が鈍かったところに、それまでの主力だったiPhone13が急激に収束。旧モデルのiPhone14だけで売り上げを支えていた時期があった。そのためアップル全体の売り上げが伸び悩んだ。今回はこの教訓を生かし、iPhone14をできるだけ延命させながら、主力をiPhone15に切り替え。そこへ新製品のiPhone16を投入し、さらにiPhone16eでダメ押し、という作戦が奏功しているようだ。
Android勢はiPhoneに押されて後退している。OS別の販売台数構成比ではこの3月、iOSが67.6%と7割弱を占め圧倒的。Androidは32.4%と、ここ3年で最低だった、22年3月の25.8%に迫る縮小ぶりだ。Androidスマホは23年8月、Google Pixelが好調で51.4%の販売台数シェアを記録。iPhoneを上回った。しかしこれは「一月天下」に終わりすぐにiOSがシェアを奪還。以降安定的にトップシェアを維持している。昨年9月以降は特に好調で、7カ月連続でシェア6割超だ。どんぐりの背比べのようなAndroid勢では、Googleとシャープでトップ争いをする中、シャオミが絡むという構図が続いていた。しかし上位2社がシェアを落とす中で、混戦状態に突入。現在の注目はサムスンだ。2月に発売したばかりの廉価モデル「Galaxy A25 5G」の出足が好調。上位陣では唯一シェアが右肩上がりだ。ここしばらく息をひそめていた感のある同社だが、3月は20.4%とAndroidスマホでトップシェアを獲得。これは22年2月以来丸3年と1カ月ぶりだ。
米・トランプ大統領が打ち出す新たな関税政策に、世界経済は翻弄されている。この影響で、中国で製造しているiPhoneの価格も跳ね上がるのではないか、とささやかれている。一部では4割以上値上がりするのではと危惧する声もあるようだ。実際はどれくらいの影響があるのか、日本での売価がどれほど上昇するのかは不透明。しかし今後、駆け込み購入が生じるようなことがあれば、iPhoneのシェアは一時的に7割を超える場面があるかもしれない。(BCN・道越一郎)