1990年代から2000年代の平成アニメは、今では珍しくなった平日の早朝や夕方に数多く放送されていました。そのなかには当時のコンプライアンスがいまほど厳しくなかったためか、家族と一緒に見るにはやや刺激が強すぎる作品もありました。



複雑な関係の親を持つ小石川光希と松浦遊。TVアニメ『ママレード・ボーイ』メモリアルBD-BOX(フロンティアワークス) (C)吉住渉/集英社・東映アニメーション(C)吉住渉/東映・集英社・東映アニメーション1995

【画像】え…っ? キービジュ観たら「履いてください…」 こちらが令和とは思えない2025年春の過激アニメです(5枚)

子供が視聴するには過激すぎた平成アニメ

 平成の時代には、いまよりも多く夕方や早朝にアニメが放送されていました。なかにはコンプライアンスが緩かったためか、家族と視聴するには刺激的な作品も少なくありませんでした。

 1994年から翌年にかけてテレビ朝日系列で日曜日の朝8時30分に放送されたTVアニメ『ママレード・ボーイ』(原作:吉住渉)は、なかなかドロドロした恋愛模様が描かれました。主人公の女子高生「小石川光希」と同年代の男子高生「松浦遊」の両親は、偶然出会い親しくなるなかで、気分転換でもとの夫婦関係を解消し、互いのパートナーを交換して再婚します。さらに、パートナー変更後も両家の関係は続き、光希と遊を含めた家族ぐるみの6人での同居生活が始まりました。

 親だけではなく高校生の少年少女たちも奔放な恋愛関係を繰り広げ、光希と遊は次第に惹かれ合って秘密の恋に発展します。また、光希の親友「秋月茗子」は担任教師「名村慎一」と秘かに禁断の愛を育んでいました。登場人物の恋愛事情は、主人公たちと同年代の視聴者が観るには刺激的ですが、そういった過激さも高い人気を得た理由のひとつなのかもしれません。

 また、同じく少女マンガ原作で、1995年から翌年まで毎週木曜日の18時にテレビ東京にて放送されたTVアニメ『ふしぎ遊戯』(原作:渡瀬悠宇)も、ハードな内容の作品でした。主人公の女子高生「夕城美朱」は、図書館で見付けた本「四神天地書」の世界に入り込み、彼女を探しに親友「本郷唯」も後を追います。

 その後唯が純潔こそ失わなかったものの、暴漢に襲われたのは衝撃的な場面です。ほかにも、元娼婦で男女の交わりによって力を得る房中術が得意な「房宿」が思い焦がれる「心宿」との男女の行為や、美朱に従う「鬼宿」が術にかけられ、美朱だと思い込ませた房宿と交わろうとしてしまう場面など、過激な要素が多くありました。

 また「朱雀の巫女」の役割を持つ美朱と、「青龍の巫女」の唯が各陣営に分かれて対立し、争いのなかで彼女たちに従う美形な登場人物も次々と退場していきます。夕方放送のアニメとしては凄惨な登場人物たちの最期に、ショックを受けた視聴者も少なくないようです。

 そのほか、2013年にテレビ東京系で放送された『ムシブギョー』(原作:福田宏)も、放送時間が月曜日の18時だったにもかかわらず挑戦的な作品でした。本作は架空の江戸が舞台で、主人公「月島仁兵衛」や仲間たちの属する「新中町奉行所」(通称:蟲奉行所)は、巨大な蟲の脅威から町を守るために戦います。

 本作は災難に巻き込まれることが多い茶屋の娘「お春」をはじめ、トラブルで肌を露出させるなどのお色気シーンが頻繁(ひんぱん)にある作品です。第1話では蜘蛛の糸でがんじがらめにされたお春が逃れようと悲鳴を上げてもがき、さらに白い体液をかけられる姿まで描かれています。夕方放送とは思えない場面でした。

 ちなみに、原作者の福田さんは以前、自身のX(旧:Twitter)で露出度の高いキャラ「火鉢」の画像を添えて、「これ夕方6時からやってたんだなあ…とか色々感慨深いですね!」と投稿していました。