
バーレーン国際サーキットを舞台に開催されたF1第4戦バーレーンGP。4月13日(日)の決勝レースでは、マクラーレンのオスカー・ピアストリが勝利を掴んだ。
バーレーンGPは前戦日本GPから始まった3連戦の2戦目。サーキットには夜の帳が下り、無数の照明がコースを照らす中、スタートの時刻を迎えた。気温は27度、路面温度33度というコンディションだった。
決勝グリッドでは、ピアストリとフェラーリのシャルル・ルクレールがフロントロウ。予選手順違反で1グリッド降格となったメルセデスのジョージ・ラッセルが3番手、予選で上位に食い込む大金星を挙げたアルピーヌのピエール・ガスリーが4番手に並んだ。レッドブル陣営はパフォーマンスで苦しむも、マックス・フェルスタッペンが7番手、角田裕毅が10番手につけた。
スタートタイヤでは、ほとんどのドライバーがソフトタイヤを選択。トップ10では2番手ルクレールと、そのチームメイトである9番手ルイス・ハミルトンのみがミディアムタイヤを選択した。
57周の決勝レースがスタートすると、ピアストリが抜群の蹴り出しでホールショットを奪う。ラッセルは鋭い加速でルクレールの前に出ると、ターン1でピアストリにまで並びかける。しかしタイヤを軽くロックアップしてしまい、首位に躍り出ることはできなかった。マクラーレンのランド・ノリスは6番グリッドから3番手までポジションを上げたものの、スタート位置を誤ったとして、後に5秒のタイムペナルティが科された。
角田はオープニングラップでミディアムタイヤを履くハミルトンを攻略することを狙ったが、これは叶わず。2周目以降は各車がDRSトレインで連なって走っていたため、角田としてもオーバーテイクを仕掛ける決め手に欠いた。ただ9周目に、ペース不足でポジションを落としたウイリアムズのカルロス・サインツJr.をハミルトンが攻略するのに乗じて抜き去り9番手に浮上した。
この頃にはソフトタイヤスタート勢にタイヤデグラデーション(性能劣化)の傾向が顕著となり、多くのドライバーがピットイン。ノリスはここでタイムペナルティを消化した。
レッドブル勢もふたりをピットへ呼び込んだものの、ピットシグナルの不具合が発生。フェルスタッペン、角田共に2秒程度のタイムロスを喫した。また、今回のレースではアンダーカット戦略が強力で、角田は既にピットインを行なっていたレーシングブルズのアイザック・ハジャーやアルピーヌのジャック・ドゥーハンに先行を許した。
首位ピアストリは14周目終わりにピットへ入りミディアムタイヤに交換。フェラーリ勢が17周目にダブルピットストップを行なったことで難なく首位に戻り、タイヤをマネジメントしながら快走を続けた。
第2スティントでハードタイヤを履いたフェルスタッペンはタイヤとの相性が悪く、思うようにペースを上げることができず。メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリやハミルトンにコース上で交わされ、ドゥーハンにも接近を許した。
たまらずフェルスタッペンは26周目終わりにピットイン。ただ、クルーは右フロントのタイヤ交換に手間取ったことで、大きくトラックポジションを落とすこととなった。
それを機に、その他のドライバーも2回目のピットストップへ。多くがソフトタイヤ→ミディアムタイヤ→ハードタイヤと履き替える中、アントネッリはソフトタイヤ→ミディアムタイヤ→ソフトタイヤとする戦略を採った。
フェルスタッペンがハードタイヤで苦しんでいたのを見てか、ミディアムタイヤを履く角田は第2スティントを引っ張る戦略。ただペース自体はまずまずだったが、31周目のターン1で、鋭い飛び込みを見せたウイリアムズのカルロス・サインツJr.にオーバーテイクを許した。
ただ、この2台はバトルを展開した際に軽く接触。角田の左リヤタイヤのホイールカバーや、サインツJr.の右サイドポンツーン側面が壊れ、コース上にはデブリが散乱した。そのため、32周目にセーフティーカー出動が宣言され、タイヤ交換のためピットに各ドライバーがなだれ込んだ。
この時点で、トップ10はピアストリ、ラッセル、ルクレール、ノリス、ハミルトン、ガスリー、ハースのエステバン・オコン、フェルスタッペン、ドゥーハン、サインツJr.という面々。角田はユーズドのソフトタイヤを履いて11番手につけた。アントネッリは3回目のピットストップで再びソフトタイヤに交換したため後方に順位を下げた。
36周目からレースは再開したが、トップ3の順位は変わらず。ノリスはハミルトンから4番手を守る際にコース外を走ったとして一時ポジションを明け渡したが、すぐさま挽回。その後ハードタイヤで苦しむハミルトンを振り切ると、3番手ルクレールに接近し、激しいディフェンスを展開するルクレールを52周目に攻略した。そして最終ラップには、DRS周りのトラブルに見舞われたラッセルの後方まで迫ったものの、こちらは抜き切るには至らなかった。
先頭のピアストリはリスタート後もハイペースで飛ばし、無風のポールトゥウィン。2位のラッセルに対して15秒のギャップを築いてシーズン2勝目を挙げた。マクラーレンは3位にノリスが入ったことでダブル表彰台を獲得。コンストラクターズランキングでもリードをさらに拡大した。
なおラッセルはDRSを正しく使用しなかった可能性があるとして、レース後に聞き取り調査が行なわれることになっている。
フェラーリ勢はルクレールが4位、ハミルトンが5位。フェルスタッペンは苦しいレース展開が続いたものの、最終盤にガスリーを攻略し6位に入った。7位ガスリー以下はオコン、角田、ベアマンというトップ10だった。ハースにとっては嬉しいダブル入賞だ。
角田はレッドブル昇格後2戦目で初入賞を掴んだ。ただ、レースでは先行車の後方乱気流の影響を大きく受けたか、なかなかオーバーテイクを仕掛けることができない、もどかしい展開が続いた。1週間後のサウジアラビアGPでレッドブルは、ピットストップの不具合も含め課題を解消することができるだろうか?