
元警視庁捜査一課刑事の佐藤誠氏が、ジャーナリスト・丸山ゴンザレス氏のYouTubeチャンネル『丸山ゴンザレスの裏社会ジャーニー』に出演。女優・広末涼子容疑者が逮捕された件をめぐって感じた「違和感」に言及した。
■危険運転致傷の疑いで家宅捜索
広末容疑者は8日、新東名高速の掛川パーキングエリア付近で乗用車を運転中に追突事故を起こし、病院に搬送。看護師を蹴ったり、引っかいたりする暴行を加え、傷害の疑いで現行犯逮捕。9日に送検され、10日に勾留が決まった。
その後、静岡県警は危険運転致傷の疑いで、東京都内の広末容疑者の自宅の家宅捜索を行った。
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■どこから情報が出たのか
今回の件をめぐっては、広末容疑者が取り調べ時にも取り乱した様子があったことや、薬物検査が実施されたことなどが続々と報じられた。
丸山氏は、「逮捕されてからの数時間の間に、さまざまな情報がブワーッと出てきたじゃないですか。これ、記者発表というか警察がマスコミにちゃんと発表しているんですか? それともどこからか漏れてきているんですか?」と質問。
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■「警察のアピール」なのか
佐藤氏は、「知る権利があるんで、発表してると思うんですけど、私の個人的な考えでは『なんでこんなに捜査情報をダダ漏らしするのか』っていうのが、非常に一番違和感を感じたんですよ」と話す。
その理由について「だってまだ送検前で、取調室の内容…たとえば薬物検査を拒否しただとか、病院でウロウロしてただとか、そんなことは警察しか知らない情報。なんでこんな捜査上の秘密を、ぼんぼん出すのかなと。非常に警察がアピールしている、要はサービスしている…マスコミさんに。そんな感じを受けたんですよ」と指摘。
「そこまで出す必要ないだろう、と。『取り調べには応じています』とか、そんなもんでいいと思うんですよ。『取り調べ中です』とか『まだ供述は得ていない』とか。そんな簡単なのでいいのに、薬物検査を拒否しましたとか、大声を出しましたとか、ウロウロしてましただとか、そんなもんが必要なの? っていう感じが」と語った。
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■広報担当の「個人の裁量」
なぜ、わざわざ詳細な情報をマスコミに出したかについては、「警察のアピールもあるし、注目度…。逆にみんなが注目してるから知る権利もあるだろうと」とも語る。
また、「これは(情報を出しているのは)所轄(地域の警察署)ですよね。所轄っていうのは、広報担当は副署長さんなんですよ。副署長さんがどれぐらいしゃべるか、っていうのは個人の裁量なんですよね。どこまで言っていいよ、とか、デカい事件では本部から指導が入ると思うんですけど、その暇がないときに言っちゃったとかいうんだったら、よくペラペラしゃべる人だったら(情報を)しゃべる」とも。
さらに「捜査(担当)出身で、『これはちょっと捜査上まずいな』って思ってる副署長さんだったら、『これはちょっとしゃべれないな』と思ったらしゃべらない。個人によるんですよ」と明かす。
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■「逮捕事案じゃない」
「だからダダ漏れしてるっていうのは、警察全体の意思ではなくて、あくまでも広報担当、副署長の…。もうベラベラ言う人もいるし、まったくしゃべらない人もいるし。ただ有名人だから(マスコミが)ワーッと来るから、言おうかな、とか…。警視庁だったらあり得ないと思うんですけど、(所轄署が)あんまり大きい事件がないところだと思うんですよね。だから慣れてない、っていう部分もあると思う」と推測。
丸山氏が、「被害者がいるから言いづらいですけど、これって普通だったら大した事件じゃないじゃないですか」と問うと、佐藤氏は「大した事件じゃないっていうよりは、逮捕事案じゃないです。はっきり言いますけど」ときっぱり。
■所轄だけでは対応できず?
「私も何度もこういう事件やっていますんで。被害者の方がいるから、あまり『こんなもん』とは言えないんですが。実務上の話ですけど、これは2人をまず落ち着かせて…私がやるとしたら(被害者の)意思を聞いて、『加害者の方も反省してますけど、どうですか?』と。それで和解させる」と解説。「もし私が扱ってたら、有名人だから本部に聞かないといけないかもしれないんですけど、やっぱり逮捕事案ではないな、と」と強調する。
ただ、著名人が関係したケースでは、本部が捜査に関わることもあり、「彼女も、所轄だけでは対応しきれなかったのかもしれない」とも述べていた。
■元刑事が事情を解説
(文/Sirabee 編集部・しばたけろこ)